新潟県・湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」で川端康成の世界に触れる旅

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新潟県・湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」で川端康成の世界に触れる旅
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添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は、新潟県南魚沼郡湯沢町にある「湯沢町歴史民俗資料館 雪国館」をご紹介します。ノーベル賞作家・川端康成の名作「雪国」の舞台となった越後湯沢で、文学と歴史、そして雪国の暮らしが織りなす独特の世界を体験できる施設です。

目次

駅から徒歩圏内だが見落としやすい立地

雪国館はJR越後湯沢駅西口から徒歩約7分という好立地にあります。温泉通りと呼ばれる、おみやげ屋さんや旅館が並ぶ通り沿いに位置しており、アクセスは良好です。しかし、新幹線の開通によって発展した越後湯沢の街並みの中で、この歴史民俗資料館は比較的控えめな佇まいをしています。派手な看板や目立つ建物ではないため、初めて訪れる方は通り過ぎてしまう可能性があります。

館内は3階建てとなっており、各階で異なるテーマの展示が楽しめますが、規模としてはこじんまりとした施設です。大規模な博物館を期待すると物足りなく感じるかもしれません。また、展示の多くは文学や歴史に関する資料が中心のため、川端康成の「雪国」や湯沢の歴史に興味がない方には、やや専門的な内容に映る可能性があります。

隣には無料の足湯「かんなっくり」が設けられており(冬季は閉鎖)、雪国館の見学と合わせて温泉街の雰囲気を楽しむことができます。文学散策の休憩スポットとしても活用できる環境が整っています。

川端康成が愛した「雪国」の世界を体感

雪国館の最大の魅力は、日本を代表する文豪・川端康成の名作「雪国」の世界に深く触れられることです。1977年に開館したこの施設は、川端康成と小説「雪国」にゆかりのある関係資料を収蔵・展示しています。

1階「雪国」日本画ギャラリー

1階のギャラリー「雪国」日本画の世界は、雪国館の中でも特に見応えのある展示空間です。文化勲章受賞者である高山辰雄氏の「雪國の月」、同じく文化勲章受賞者である大山忠作氏の「勧進帳」をはじめ、小説「雪国」に出てくるさまざまな場面を描いた14点の日本画作品が展示されています。

これらの作品群は、小説を読む、映画や舞台を見るといった以上に、心に深く迫ってくる魅力があります。文字で表現された物語が、画家たちの繊細な筆致によって視覚的に再現され、読者が想像した世界観と重なり合う瞬間は、文学ファンにとって格別の体験となるでしょう。

川端康成の遺愛品と直筆の書

館内には、小説「雪国」のあまりに有名な冒頭の一文「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」を書いた川端康成直筆の書が展示されています。この書は、多くの日本人が教科書で目にした名文を、作家自身の筆跡で確認できる貴重な資料です。

さらに、川端康成が生前愛用した貴重な品々も展示されています。これらの遺愛品からは、文豪の日常や執筆活動の一端を垣間見ることができます。小説「雪国」の初版本や解説パネルも展示されており、作品の成立過程や時代背景を理解する手がかりとなります。

ヒロイン駒子の部屋の再現展示

1階には、小説「雪国」のヒロインである駒子のモデルとされる芸者・松栄が住んでいた置屋「豊田屋」の部屋を移築した展示コーナーがあります。この再現展示は、小説の世界観をより具体的にイメージする助けとなります。

窓の外を望む駒子の姿が、まるで実在していた人物のように感じられる空間です。小説の中で描かれた情景と、実際に松栄が暮らした空間が重なり合い、フィクションとノンフィクションの境界が曖昧になる不思議な感覚を味わうことができます。

雪国湯沢の暮らしと歴史を知る

雪国館は、川端康成の「雪国」だけでなく、湯沢の暮らしぶりや歴史を中心とした展示も充実しています。

2階 雪国の住生活コーナー

2階には、民家の茶の間を移築し、明治・大正・昭和初期頃までの生活の様子を再現したコーナーがあります。囲炉裏端に座り、先人の知恵が生きた昔懐かしい家具や道具に触れることで、当時へタイムスリップしたかのような気分を味わえます。

雪と共に暮らす、まさに雪国の知恵がつまった道具類が展示されており、荷物を運ぶための大きなソリ「山ぞり」などは、豪雪地帯ならではの生活の工夫を物語っています。冬の厳しさと向き合いながら生活を営んできた湯沢の人々の暮らしぶりが、具体的な生活道具を通じて理解できる貴重な展示です。

3階 湯沢町歴史民俗コーナー

3階には、湯沢の歴史や民俗に関する資料が展示されています。中でも注目すべきは、約27万枚という全国第2位の出土枚数を誇る「石白古銭」です。これらの古銭は、1971年と1974年に泉福寺跡とみられる道路工事現場から木箱に詰まった状態で発見されました。

石白古銭の発見は、戦国時代の上杉謙信の養子である景勝と景虎の後継争い、さらに直江兼続が父の追福のために泉福寺を再建したという歴史と深く結びついています。これらの古銭から、湯沢の歴史の一端を垣間見ることができます。

また、三国街道関係の資料やスキーの展示もあり、湯沢を多方面から知ることができる構成となっています。江戸時代には三国街道の宿場町として栄えた湯沢の歴史や、現在のスキーリゾートとしての発展の経緯を学ぶことができます。

2024年のリニューアルで生まれ変わった展示空間

雪国館は2023年6月から12月にかけて大規模な改修工事を実施し、2024年1月末にリニューアルオープンしました。この改修では、展示品のレイアウトを変更し、より見やすく分かりやすい展示空間を実現しています。

リニューアルの大きな特徴は、バリアフリー化の推進です。エレベーターを更新し、多目的トイレを設置するなど、さまざまな方が訪れやすい施設へと生まれ変わりました。また、休憩スペースも整備され、ゆっくりと展示を楽しむことができる環境が整っています。

さらに、プロジェクションマッピングを導入し、従来の静的な展示に加えて、動的で視覚的に訴える展示手法を取り入れました。これにより、町の魅力をより効果的にPRすることが可能となり、特に若い世代の来館者にも興味を持ってもらえるような工夫が施されています。

川端康成と越後湯沢の深い縁

川端康成が初めて湯沢を訪れたのは1934年6月13日のことでした。群馬県の大室温泉旅館から清水トンネルを越えて越後湯沢に降り立った川端は、良質の温泉や食事のおいしさなどから湯沢を大変気に入り、約2か月後に再訪しています。

川端が湯沢を訪れるたびに宿泊したのが、高半旅館(現在の「雪国の宿 高半」)でした。この旅館の2階にあった「かすみの間」で、川端は小説「雪国」を執筆しました。上越線の開通に合わせて建てられた新館の一室であったこの部屋からは、湯沢の街並みや山々を望むことができました。

川端は1934年から約3年の間、この宿へ幾度も足を運び、執筆を重ねました。小説「雪国」は1935年に発表され、その後も湯沢に通いながら執筆を続け、1947年に「続雪国」を発表しています。現在出版されている「雪国」は1948年に刊行された完成版です。

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興味深いことに、川端は豪雪時期の湯沢には訪れておらず、雪に埋もれて生活する場面の描写はそれほど多くありません。しかし、冒頭の一節に続く「夜の底が白くなった」という表現には、雪国特有のしっとりした暗さや重さが感じられます。深い山に囲まれた閉塞感のある寒村、そこで健気に生きる人々の上に雪がしんしんと降り積もる情景が、読者の脳裏に鮮明に浮かぶのです。

駒子のモデル・松栄という女性

小説「雪国」のヒロインである駒子には、モデルとされる実在の女性がいました。それが、湯沢で芸者をしていた松栄という女性です。諸説ありますが、川端が2回目に湯沢を訪れた際に松栄に出会ったのではないかと考えられています。

松栄は、無断で川端が自分をモデルにした小説を書いたことに当惑したと伝えられています。川端は雪国初稿の生原稿を松栄に届けて謝罪したそうです。その後、松栄は芸者を辞めて湯沢を離れる際、その生原稿や自分がつけていた日記をすべて焼いて、新潟の結婚相手のもとへ向かったといいます。

雪国館には、松栄のスキー姿の写真が展示されています。また、高半旅館には、松栄が芸者時代に愛用した硯箱と、結婚後ただ一つ身につけていたといわれる指輪が、松栄の夫から寄贈され保存されています。これらの品々は、フィクションの中のヒロインと実在した女性の人生が交錯する、不思議な縁を物語っています。

施設詳細情報

湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」
湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」
項目内容
施設名湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」
住所新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢354番地1
営業時間午前9時00分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
定休日毎週水曜日(祝日の場合は翌日が休館日)<br>※夏期期間中(8月1日~31日)は無休営業
アクセスJR上越線越後湯沢駅西口から徒歩約7分<br>関越自動車道湯沢ICから車で約5分
駐車場普通車10台、大型車2台(無料)

入館料

区分個人団体(15名以上)
大人500円400円
子供(小中学生)250円200円
雪国館の料金情報 (2026年1月現在)

周辺の観光スポット

雪国館を訪れた際には、周辺の観光スポットにも足を延ばしてみましょう。

ぽんしゅ館 越後湯沢驛店

ぽんしゅ館の唎酒番所
ぽんしゅ館の唎酒番所

越後湯沢駅構内にある「ぽんしゅ館」は、新潟全酒蔵の代表銘柄を気軽に試飲できる人気スポットです。500円で5枚のメダルを受け取り、ずらりと並んだ唎き酒マシーンから好みの地酒を選んで試飲できます。日本酒だけでなく、新潟の特産品やお酒をベースにしたお菓子も取り揃えています。

足湯 かんなっくり

雪国館の隣にある無料の足湯「かんなっくり」は、街歩きの合間に立ち寄りたいスポットです。電動で上下する座席が特徴で、疲れた足を温めながら温泉の効能を得ることができます。ただし、冬季は閉鎖されるため、訪問時期には注意が必要です。

雪国の宿 高半

川端康成が小説「雪国」を執筆した「かすみの間」が保存されている旅館です。現在も営業しており、宿泊者は無料で、外来客も見学することができます。川端が執筆した部屋や、文学資料館として整備された空間で、小説「雪国」の世界により深く触れることができます。

諏訪神社

小説「雪国」の中で、島村と駒子が語り合う場面に登場する神社です。樹齢約400年の大杉があり、湯沢町指定天然記念物に指定されています。川端康成が作品の構想を練った場所ともいわれ、文学散歩のコースに組み込むのがおすすめです。

湯沢高原ロープウェイ

全長1300m、世界最大級166人乗りのキャパシティーを誇るロープウェイで、パノラマパークまでをわずか7分で結びます。山頂パノラマステーション前には、湯沢の雄大な山脈を見渡す雲の上のカフェやコキアの群生が楽しめます。越後湯沢駅から徒歩約10分でアクセスできます。

大源太湖

紅葉の名所として知られる湖で、大源太山を背景にした景観が美しいスポットです。湖の周辺を徒歩でまわれる道が整備されており、自然を満喫できます。大源太湖キャニオンキャンプ場もあり、アウトドアアクティビティの拠点としても人気があります。

まとめ

湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」は、ノーベル賞作家・川端康成の名作「雪国」の世界を体感できる貴重な施設です。文化勲章受賞者による14点の日本画、川端康成の直筆の書や遺愛品、ヒロイン駒子のモデルとなった松栄が住んでいた部屋の再現展示など、文学ファンにとって見逃せない展示が充実しています。

また、雪国湯沢の暮らしぶりや歴史を学べる展示も魅力的です。明治・大正・昭和初期の生活の様子を再現したコーナーや、全国第2位の出土枚数を誇る石白古銭など、湯沢の歴史と文化を多角的に理解できます。

2024年のリニューアルにより、バリアフリー化やプロジェクションマッピングの導入など、より快適で魅力的な展示空間へと進化しました。越後湯沢駅から徒歩約7分という好立地で、温泉街散策や周辺観光と組み合わせて訪れることができます。

新潟県越後湯沢への旅行を計画されている方は、ぜひ雪国館を訪れて、川端康成が愛した「雪国」の世界と、豪雪地帯で育まれた独特の文化に触れてみてください。文学と歴史、そして温泉と自然が織りなす、奥深い魅力を発見できることでしょう。

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