添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は、九州を代表する観光列車「特急ゆふいんの森」で博多から由布院へ向かう旅をご紹介します。メタリックグリーンの車両が森の中を駆け抜ける姿は、まるで映画のワンシーンのよう。1989年の運行開始から35年以上にわたり、多くの旅行者を魅了し続けているこの列車には、移動そのものを特別な体験に変える数々の仕掛けが詰まっています。
予約の難しさと競争率の高さ
特急ゆふいんの森は、全車指定席の観光列車として運行されています。特に週末や連休、紅葉シーズンの11月、ゴールデンウィーク、お盆期間は、予約開始直後に満席になることが珍しくありません。
乗車日の1ヶ月前の午前10時に予約が開始されますが、特に人気の展望席(最前列・最後列)やボックスシートは、数分で埋まってしまうこともあります。外国人観光客からの人気も高く、平日でもほぼ満席という状況が続いています。

予約を確保する実践的なアプローチ
予約開始時刻の午前10時にJR九州インターネット列車予約サイトへアクセスし、希望の座席を素早く確保することが最も確実な方法です。しかし、第一希望の座席が取れなかった場合でも、諦める必要はありません。
キャンセルは乗車日の数日前に出ることが多く、特に3日前から前日にかけて空席が現れる傾向があります。満席表示でも、みどりの窓口に直接問い合わせると、システム上反映されていない空席が見つかることもあります。
また、博多発14:38の5号は、午前便に比べて予約が取りやすい傾向にあります。到着時刻が16:50と遅めになりますが、由布院で宿泊する場合は十分な選択肢となるでしょう。
平日の利用を検討することも有効です。特に火曜日から木曜日は週末に比べて予約が取りやすく、車内も比較的ゆったりとした雰囲気で過ごせます。
観光列車の先駆けとして誕生した歴史

由布院の町とともに歩んだ列車の物語
ゆふいんの森が運行を開始したのは、1989年(平成元年)3月11日のことです。JR九州が発足して間もない時期に、観光地・由布院への新たな移動手段として企画されました。
当時、由布院は「緑ゆたかな滞在型温泉保養都市」を目指しており、大型旅館やホテルではなく、自然と調和した小規模な宿を中心としたまちづくりを進めていました。列車の企画にあたっては、由布院の人々との対話が何度も重ねられ、町が目指す理想像を大切にすることが決まりました。
その結果生まれたコンセプトが「高原のリゾートエクスプレス」です。由布院の森をイメージしたメタリックグリーンの車体、ヨーロッパの高原リゾートを思わせるシックで洗練された内装、そして「列車に乗った時からゆふいん」というテーマが決定されました。
当初想定されていたコンセプトは「民芸風」でしたが、由布院関係者との話し合いの中で、より洗練された「欧州の高原リゾート」というイメージに変更されました。この方向転換が、今日まで愛される列車の個性を生み出したといえるでしょう。
当時としては画期的だった設計思想

1989年のデビュー当時、ゆふいんの森には当時の鉄道車両としては画期的な設備が数多く採用されていました。
最大の特徴は、床面を通常より高く設計した「ハイデッカー構造」です。座席の位置が高くなることで車窓からの眺めが格段に良くなり、観光列車としての価値を大きく高めました。JR九州で唯一のハイデッカー構造車両として、今も変わらぬ魅力を放っています。
また、車内に「ビュッフェ」を設置したことも大きな特徴でした。1990年代初頭、特急列車での車内販売は一般的でしたが、専用のビュッフェカウンターを設けて地域の特産品を販売するというスタイルは、観光列車の新しい形を示すものでした。
さらに、客室乗務員による車内サービスも導入されました。単なる車内販売だけでなく、沿線の観光案内や記念撮影のサポート、乗客とのコミュニケーションを大切にする姿勢は、今日の観光列車のスタンダードとなっています。
3つの世代を経た車両の進化
ゆふいんの森には、これまで3つの世代の車両が存在しました。
ゆふいんの森Ⅰ世(キハ71系)は、1989年のデビュー時から活躍している車両です。旧国鉄時代の急行列車で使用されていたキハ58系・キハ65系の台車や機器を流用しながら、車体を新たに製作して誕生しました。3両編成でスタートし、1990年にはギャラリー車両を追加して4両編成となりました。
レトロでクラシカルな雰囲気が特徴で、内装には木材がふんだんに使用されています。まるで欧州の古き良き時代の列車に乗っているかのような、重厚で落ち着いた空間が広がります。2003年にはリニューアルが施され、現在も博多~別府間の3号・4号として運行を続けています。
ゆふいんの森Ⅱ世(キハ183系)は、1992年から1999年まで活躍した車両です。長崎のハウステンボスへのアクセス列車「オランダ村特急」で使用されていた車両を改装して登場しました。Ⅱ世は1999年に運行を終了し、車両は特急「シーボルト」を経て、2004年から2011年までは「ゆふDX」として再び久大本線を走りました。その後、この車両は現在の特急「あそぼーい!」へと姿を変えています。
ゆふいんの森Ⅲ世(キハ72系)は、1999年に新造車両として登場しました。デビュー当初は4両編成でしたが、需要の増加に応えて2015年に4号車が新たに製造され、5両編成となりました。
Ⅲ世のデザインを手がけたのは、その後JR九州の数々の列車をデザインすることになる工業デザイナー・水戸岡鋭治氏です。「ななつ星in九州」や「或る列車」など、豪華列車のデザインでも知られる水戸岡氏の感性が、よりスタイリッシュで洗練された内装を生み出しました。
水戸岡氏の設計思想は、安価で加工しやすいプラスチック素材ではなく、天然の木材、ガラス、鉄、アルミなど本物の素材を使うことにありました。コストは高くなっても、利用者に本物の良さを感じてもらい、環境や物を大切にする意識を高めてほしいという願いが込められています。
Ⅲ世で特に注目すべきは、2015年に増備された4号車です。この車両のみエンジンを搭載していない「キサハ」という形式のため、走行音が静かで快適な空間となっています。他の車両とはシートのデザインも異なり、草花があしらわれた座席は、まさに「森の中にいるような」雰囲気を醸し出しています。
D&S列車ネットワークの礎

ゆふいんの森の成功は、JR九州が現在展開している「D&S列車」(デザイン&ストーリー列車)ネットワークの礎となりました。地域の物語を大切にし、移動そのものを旅の目的にする観光列車という考え方は、ゆふいんの森から始まったといえます。
その後、「はやとの風」「指宿のたまて箱」「あそぼーい!」「かわせみ やませみ」「ふたつ星4047」など、九州各地を走る個性豊かな観光列車が次々と登場しました。いずれも地域の歴史や文化、自然をテーマにしており、ゆふいんの森で確立された「地域と列車の物語」を受け継いでいます。
2013年に登場した超豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」も、ゆふいんの森の延長線上にある存在です。移動を単なる手段ではなく、特別な体験として提供するという思想は、35年前のゆふいんの森から脈々と受け継がれています。
自然災害を乗り越えた歩み
ゆふいんの森は、これまで何度かの試練も乗り越えてきました。
2012年7月の九州北部豪雨では、久大本線のうきは~日田間が不通となり、一時的に日田~大分・別府間での暫定運行を余儀なくされました。同年8月には復旧し、通常運行に戻りました。
2017年7月の九州北部豪雨では、再び久大本線が大きな被害を受けました。このときは、博多~由布院間を日豊本線経由(小倉・別府経由)で運行するという異例の措置が取られました。通常約2時間の行程が、迂回ルートでは4時間半から5時間50分もかかり、「特急」という名称とは矛盾する運行となりましたが、由布院へのアクセスを維持するため運行が続けられました。
2018年7月14日、久大本線の復旧作業が完了し、ゆふいんの森は本来のルートでの運行を再開しました。この日を待ちわびていた沿線住民や観光客から、大きな歓声が上がったといいます。
2020年には新型コロナウイルスのパンデミックにより、4月6日から6月18日まで運休を余儀なくされました。しかし、運行再開後は徐々に乗客が戻り、今では再び予約が取りにくい人気列車として、多くの人々を由布院へと運んでいます。
ハイデッカー構造が生む圧倒的な車窓体験

ゆふいんの森の最大の特徴は、床面を通常の列車より高く設計した「ハイデッカー構造」です。座席が高い位置にあるため、視線が自然と遠くまで届き、車窓からの景色をダイナミックに楽しむことができます。
2種類の車両編成
現在運行されている車両は、「ゆふいんの森Ⅰ世」と「ゆふいんの森Ⅲ世」の2タイプです。
ゆふいんの森Ⅰ世(4両編成)
1989年のデビュー以来活躍を続けるレトロでクラシカルな車両です。博多から別府まで運行する3号・4号で使用されており、ヨーロピアンスタイルの外観が特徴的です。
最大の魅力は3号車に設けられた「サロンスペース」。天井まで広がる大きな窓からは、外の景色がまるで額縁に入った絵画のように流れていきます。木材をふんだんに使用した空間は、まるで森の中にいるような落ち着きをもたらします。
豊後森駅から由布院駅の区間では、客室乗務員による由布院の観光案内が行われ、おすすめの店や温泉情報を聞くことができます。これから訪れる場所への期待が自然と高まっていく、特別な時間です。
Ⅰ世のもう一つの特徴は、車内に設置された生ビールサーバーです。客室乗務員が一杯ずつ丁寧に注ぐ生ビールを、車窓の景色を眺めながら味わう贅沢は、この列車ならではの体験です。
ゆふいんの森Ⅲ世(5両編成)
1999年にデビューした、よりスタイリッシュで洗練されたデザインの車両です。博多から由布院まで運行する1号・2号・5号・6号で使用されています。
工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が手がけた内装は、カジュアルながら上質な雰囲気を醸し出しています。車両と車両をつなぐ通路は、吊り橋のような構造になっており、まるで秘密基地を探検しているようなワクワク感があります。
4号車は特に注目すべき車両です。座席には草花がデザインされており、最も「森」を感じられる空間となっています。走行用エンジンが搭載されていないため、他の車両より静かで落ち着いた雰囲気の中、旅を楽しむことができます。
展望席を見に来る人やビュッフェへ向かう人の往来も少なく、ゆっくりと車窓を楽しみたい方に最適な車両です。
Ⅲ世では、生ビールサーバーの代わりに由布院の地ビール「ゆふいん麦酒」を販売しており、ワゴンサービスも実施されています。座席に座ったまま飲み物や軽食、お土産を購入できる利便性は、特に小さなお子様連れの家族に好評です。
座席選びで旅の満足度が変わる

最前列展望席の臨場感
列車の最も前方に位置する展望席は、運転席越しにパノラマのような景色を楽しめる特等席です。ハイデッカー構造により視点が高いため、迫力ある車窓が広がります。
博多発・由布院行きの場合、1号車1番A・B・C・D席が展望席となります。由布院発・博多行きの場合は、5号車(Ⅲ世)または4号車(Ⅰ世)の最後尾が展望席です。
展望席は予約開始と同時に埋まることが多く、最も競争率の高い座席です。しかし、その価値は十分にあります。前方に広がる景色は、まるで自分が列車を操縦しているかのような感覚をもたらし、特にお子様には忘れられない体験となるでしょう。
最後列展望席の静かな魅力
最前列の展望席が取れなかった場合、最後列の展望席も魅力的な選択肢です。座席を回転させて後ろ向きにすることで、流れゆく景色をゆったりと眺めることができます。
注意点として、後ろの座席と接するため、リクライニングを倒せないことがあります。しかし、後ろ向きに景色が流れていく独特の視点は、前方展望とは異なる趣があり、写真撮影にも適しています。
進行方向右側(C・D席)の優位性

博多発の列車では、進行方向右側のC・D席がおすすめです。車掌や客室乗務員が案内する見どころの多くが、右側に見えるためです。
具体的には、豊後森機関庫、伐株山、慈恩の滝といった主要な景勝地が右側に位置します。左側(A・B席)からも見えないわけではありませんが、最適な角度で景色を楽しむには右側の座席が有利です。
由布院発・博多行きの上り列車では、この関係が逆転し、A・B席が進行方向右側となります。予約時には列車の進行方向を確認して座席を選ぶとよいでしょう。
ボックスシートの団らん空間
3名以上のグループや家族旅行には、向かい合わせのボックスシートが最適です。中央に大きなテーブルがあり、ビュッフェで購入した食べ物や飲み物を広げながら、旅の話に花を咲かせることができます。
Ⅲ世(5両編成)では3号車に、Ⅰ世(4両編成)では2号車にボックスシートが配置されています。座席数が限られているため、早めの予約が必要です。
お子様連れの場合、向かい合わせの座席なら目が届きやすく、荷物の置き場所にも困りません。車窓を眺めながらトランプやゲームを楽しむ家族の姿もよく見られます。
車窓に広がる九州の原風景
博多駅を出発した列車は、鳥栖駅、久留米駅を経て、筑紫平野から次第に山間部へと入っていきます。久大本線は九州の内陸部を横断する山岳路線で、車窓の景色は平野、盆地、渓谷、高原と多彩に移り変わります。
耳納連山の屏風のような連なり
久留米駅を過ぎると、進行方向左手に耳納連山が姿を現します。屏風のように連なる山々は、標高300mから900m程度の穏やかな稜線を描いており、筑後平野を見守るように佇んでいます。
この山地は約30kmにわたって続き、山の向こうには八女茶で有名な八女や、美しい星空で知られる星野村があります。茶畑が広がる緑豊かな風景は、日本の農村の原風景を感じさせます。
日田の巨大な下駄モニュメント
日田駅のホームには、人の背丈ほどもある巨大な下駄のモニュメントが設置されています。日田は静岡県、福島県と並ぶ日本三大下駄産地の一つで、江戸時代から下駄作りが盛んな地域です。
列車が日田駅に停車する際、この巨大な下駄は進行方向右側に見えます。客室乗務員からも案内がありますので、ぜひ写真に収めてみてください。
ゆふいんの森1号では、日田駅到着に合わせて生産者が直接列車へ届ける「ゆふいんの森フルーツサンド」が販売されます。福岡県うきは市で採れた旬のフルーツと、地元のベーカリーで焼いたパン、ふわとろクリームの組み合わせは、1日数量限定の人気商品です。
慈恩の滝の迫力ある二段滝
天ケ瀬駅付近に差し掛かると、列車は大幅に速度を落とします。車内アナウンスと共に、進行方向左手に現れるのが「慈恩の滝」です。
上段20m、下段10m、合わせて約30mの落差を持つ二段滝で、玖珠川の上流に位置します。滝の水は豊富で、水しぶきが日光に反射してきらめく様子は圧巻です。
列車は滝がよく見えるように徐行運転し、車内では文字パネルによる案内も行われます。撮影時間も十分に確保されているため、慌てる必要はありません。ゆっくりとカメラを構え、この瞬間を記録しましょう。
豊後森機関庫の鉄道遺産
豊後森駅の手前では、進行方向右手に「豊後森機関庫」が見えます。昭和初期に建てられた扇形の車庫と転車台が現存する貴重な鉄道遺産で、現在は「豊後森機関庫公園」として整備されています。
かつて蒸気機関車の基地として栄えたこの場所は、今も当時の面影を色濃く残しています。レンガ造りの機関庫は、時代を超えた力強さと美しさを感じさせ、鉄道ファンでなくとも心惹かれる風景です。
伐株山の切り株のような独特な形状
豊後森駅を通過後、進行方向左手に見えるのが「伐株山」です。標高685mのこの山は、まるで巨大な切り株のように山頂部が平らになっている、国内でも非常に珍しい形状をしています。
山頂は自然のまま平坦で、約9ヘクタールの広さがあります。ハンググライダーやパラグライダーの発着地点として利用されているほか、春には菜の花、秋にはコスモスが咲き誇る絶景スポットとしても知られています。
ゆふいんの森同士のすれ違い

時間帯によっては、対向する「ゆふいんの森」とすれ違うことがあります。メタリックグリーンの車両同士が山間部ですれ違う瞬間は、まるで鏡を見ているかのような不思議な感覚です。
乗客同士が手を振り合う光景も見られ、一瞬の出会いが旅の思い出に彩りを添えます。客室乗務員からもアナウンスがあるため、カメラを準備しておくとよいでしょう。
由布岳の雄大な姿
列車が由布院盆地に入ると、正面に由布岳の雄大な姿が現れます。標高1,583mの由布岳は、「豊後富士」とも呼ばれる美しい円錐形の山で、由布院のシンボルです。
四季折々に表情を変える由布岳は、春には新緑、夏には深い緑、秋には紅葉、冬には雪化粧と、訪れるたびに違う姿を見せてくれます。この山が見えてくると、まもなく由布院駅への到着です。
ビュッフェとワゴンサービスの充実
ゆふいんの森には、九州内の列車では珍しくなったビュッフェ(車内販売カウンター)が設置されています。Ⅰ世では2号車、Ⅲ世では3号車にビュッフェがあり、客室乗務員が対応しています。
車内限定の特製弁当
ゆふいんの森では、事前予約制の特製弁当を3種類販売しています。いずれも車内でしか味わえない限定メニューです。
ゆふいんの森おおいた和牛弁当(3,000円)は、肉質4等級以上の「おおいた和牛」を使用した最上級の弁当です。ローストビーフ、しぐれ煮、厚切り肉の3種類の調理法で和牛を堪能できます。
ゆふいんの森弁当(1,500円)は、きのこ入りの炊き込みご飯と由布院の野菜をふんだんに使った和風弁当です。小分けのおかずがたっぷりと詰まっており、男性でも満足できるボリュームがあります。
ゆふいんわっぱ(1,000円)は、手軽なサイズの4種類のおにぎりが入った彩り豊かな弁当です。一口サイズで食べやすく、軽めの食事を好む方や小食の方に人気です。
これらの弁当は乗車日の3日前までに予約が必要で、JR九州の公式サイトから申し込めます。予約には座席番号が必要なため、まず座席を確保してから弁当を予約する流れとなります。
ゆふいんの森弁当は若干数が当日販売されることもありますが、確実に食べたい場合は事前予約が確実です。
地ビールとドリンクの種類
ビュッフェでは、由布院の地ビール「ゆふいん麦酒WEIZEN 淡色」をはじめ、各種アルコール飲料を取り扱っています。フルーティーな味わいが特徴のこのビールは、車窓の景色とよく合います。
Ⅰ世では生ビールサーバーが搭載されており、客室乗務員が一杯ずつ丁寧に注いでくれます。グラスに注がれた黄金色のビールを片手に、流れゆく景色を眺める時間は至福のひとときです。
ホットコーヒー、紅茶(ホット/アイス)、日本茶、ソフトドリンクも充実しており、アルコールを飲まない方も選択肢に困りません。
特におすすめなのが「柚子みつスカッシュ」(400円)です。由布院の老舗旅館「玉の湯」内にあるティールームニコルの直伝レシピで、大分県日田市から届く柚子みつを使用しています。程よい甘さとすっきりとした味わいが、旅の疲れを癒してくれます。
スイーツとグッズの楽しみ
ビュッフェのショーケースには、由布院産の牛乳を100%使用した3層チーズケーキや、地元の人気スイーツショップのケーキが並びます。アイスクリームも各種取り揃えており、デザートタイムも充実しています。
お土産用のグッズも豊富で、ゆふいんの森のキーホルダー、タオル、ポストカードなどのオリジナルグッズが人気です。お子様向けにはプラレールも販売されており、旅の記念に購入する家族も多く見られます。
Ⅲ世ではワゴンサービスも実施されており、座席まで飲み物やグッズを届けてくれます。小さなお子様連れや、座席でゆっくり過ごしたい方にとって便利なサービスです。
客室乗務員による心温まるおもてなし

ゆふいんの森の旅を特別なものにしているのは、客室乗務員によるきめ細やかなサービスです。一般的な列車にはない、観光列車ならではのおもてなしが随所に感じられます。
記念撮影サービス
車内では、日付入りの「ゆふいんの森」オリジナルパネルを借りて記念撮影ができます。客室乗務員がパネルを持って客席を回り、撮影を手伝ってくれます。
お子様向けには、制服と制帽の貸し出しサービスもあります。車掌の制服を着て撮影するもよし、スカーフを巻いて客室乗務員になりきるもよし。お子様の笑顔がはじけるひとときは、家族の宝物となる写真を残せます。
キャンディーの配布とアナウンス
慈恩の滝などの名所を通過する際には、客室乗務員による丁寧な案内放送が入ります。また、キャンディーの配布も行われ、まるで観光バスに乗っているような親しみやすい雰囲気があります。
乗客との会話を大切にする姿勢も、ゆふいんの森の魅力の一つです。由布院の観光情報やおすすめの店を尋ねると、親身になって答えてくれます。
出入り口でのお迎えとお見送り
列車が各駅に到着する際、客室乗務員は出入り口で降車する乗客を笑顔で見送ります。また、乗車する乗客を温かく迎え入れる姿は、旅の始まりを一層特別なものにしてくれます。
こうした細やかな心配りの積み重ねが、ゆふいんの森を単なる移動手段ではなく、思い出に残る体験へと昇華させているのです。
由布院駅到着後の楽しみ

博多駅から約2時間10分、列車はついに由布院駅に到着します。駅舎は木造の温かみあるデザインで、ホームには足湯が設置されています。列車を降りた後も、旅の余韻を楽しみながらゆっくりと過ごせます。
湯の坪街道の散策

由布院駅から徒歩約10分の場所にある「湯の坪街道」は、由布院観光のメインストリートです。約800mの通りには、カフェ、雑貨店、スイーツショップ、ギャラリーなどが軒を連ね、散策するだけでも楽しめます。
通りを歩いていると、至るところから温泉の湯気が立ち上り、温泉地ならではの風情を感じられます。名物の「湯の花プリン」や「由布院ロール」などのスイーツを食べ歩くのも、由布院観光の定番です。
金鱗湖の幻想的な朝霧
由布院を代表する観光スポット「金鱗湖」は、湯の坪街道をさらに進んだ先にあります。湖には清水と温泉が流れ込んでおり、一年中水温が高いため、秋から冬の早朝には湖面から湯気が立ち上る幻想的な光景が見られます。
明治時代の儒学者・毛利空桑が、夕日に照らされて泳ぐ魚の鱗が金色に輝くのを見て「金鱗湖」と名付けたと伝えられています。湖周辺は散策路が整備されており、四季折々の自然を感じながらゆっくりと歩くことができます。
宿泊する場合は、早朝に金鱗湖を訪れて朝霧を楽しむのがおすすめです。条件が揃えば、まるで水墨画のような幻想的な風景に出会えます。
由布岳登山とトレッキング
時間に余裕がある方は、由布岳登山に挑戦するのもよいでしょう。標高1,583mの由布岳は、初心者でも登りやすい山として知られています。
登山口から山頂までは約2時間半から3時間。途中、由布院盆地を一望できる絶景ポイントがいくつもあり、登る価値は十分にあります。山頂からの眺めは360度のパノラマで、別府湾から九重連山まで見渡せます。
本格的な登山が難しい場合でも、由布岳の麓を巡るトレッキングコースがあります。自然の中を歩きながら、由布院の豊かな自然を体感できます。
由布院温泉の泉質と効能
由布院温泉は、源泉数・湧出量ともに全国第2位を誇る温泉地です。泉質は単純温泉やアルカリ性単純温泉が多く、肌に優しく美肌効果が期待できます。
温泉街には日帰り入浴施設も多く、散策の途中で気軽に温泉を楽しむことができます。各施設で泉質や雰囲気が異なるため、いくつかの温泉を巡る「湯めぐり」も由布院ならではの楽しみ方です。
宿泊施設は、老舗旅館から現代的なリゾートホテルまで多種多様。どの宿も由布院の自然を活かした設計で、由布岳を望む露天風呂や、森に囲まれた静かな空間で、日常の喧騒から離れた時間を過ごせます。
由布院のおすすめ宿泊施設
由布院駅周辺には、温泉と自然を満喫できる質の高い宿泊施設が点在しています。ここでは、特に評価の高い5つの施設を厳選してご紹介します。
由布院 玉の湯
由布院駅から徒歩約12分の場所に位置する、由布院を代表する最高級旅館です。「湯布院御三家」の一角として知られ、1953年に臨済宗の禅寺の保養所として発足しました。
約13,000平方メートルの雑木林に囲まれた敷地内には、13棟の木造離れが点在しています。「湯けむりのたちこめる美しい自然にふさわしい田舎の宿」をコンセプトに、過剰な装飾を避けたシンプルで上質な空間が広がります。
全16室の客室には、それぞれ源泉掛け流しの木の風呂が備わっています。料理は地元の新鮮な野菜、農家と契約飼育している「豊のしゃも」、九州から選りすぐった和牛、清流で飼育した川魚など、豊かな食材で由布院の確かさを伝えています。
敷地内には、ティールーム「Nicol」やセレクトショップ「ギャラリー玉の湯」があり、宿泊者以外でも利用可能です。柚子みつスカッシュなど、ゆふいんの森車内でも販売されているオリジナル商品もこちらで味わえます。

亀の井別荘
由布院駅から徒歩約20分、金鱗湖のほど近くに佇む歴史ある旅館です。1921年に別府の観光開発に尽力した油屋熊八翁の別荘として建てられたのが始まりで、玉の湯、山荘無量塔とともに「湯布院御三家」の一つに数えられています。
約30,000平方メートルの広大な森の庭園に、本館の洋室6室と民家風離れ15室のみという贅沢な配置が特徴です。すべての客室に源泉掛け流しの温泉が備わり、それぞれ異なる造りとなっています。
料理は地元の食材を中心に、素材の味を活かした会席料理。豊後牛や地鶏、川魚はもちろん、特に野菜の美味しさに定評があります。朝食は和食と洋食から選択でき、5月から9月の季節にはレストラン「蛍火園」のテラス席でも楽しめます。
敷地内には、江戸末期の造り酒屋を移築した茶房「天井桟敷」があります。昼間はヨーロッパ好みの深い焙煎のコーヒーとデザートが楽しめ、夜19時からはイタリア映画「山猫」に因んだ「Bar山猫」へと変身。宿泊者でなくても利用でき、由布院の雰囲気を気軽に味わえます。

山荘無量塔(むらた)
由布院駅から車で約10分の静かな場所に位置する、古民家の再生をコンセプトとした旅館です。「湯布院御三家」の一つで、古き良き日本家屋の趣と現代的な快適さが融合した空間が広がります。
12の客室はすべて離れで、それぞれ古い日本家屋を再生させた蔵造りの建物が特徴です。個性が光る家具や湯処が揃い、プライベートな時間を大切にできる設計となっています。
料理は、関サバや関アジなどの大分の豊かな海の幸、旬の野菜や肉など、季節ごとの美味しい素材を厳選。食事は客室または個室の食事処で提供されるため、人目を気にせず大切な人との時間を過ごせます。
施設内にはレストラン、バー、美術館、セレクトショップを併設。美術館では、音楽をテーマにしたアートを展示しており、館内では絶えずクラシック音楽が流れる独特の雰囲気があります。

星野リゾート 界 由布院
由布院駅から車で約15分、棚田が広がる静かな高台に2022年にオープンした温泉旅館です。日本建築の巨匠・隈研吾氏が設計を手がけ、竹を要所にふんだんにあしらった和モダンな空間が特徴です。
客室からは四季折々に表情を変える棚田と由布岳を望むことができます。大分県国東半島で栽培される希少な植物「七島藺」を使用した「蛍かご照明」が客室に配され、揺らぎのある優しい光が心を落ち着かせます。
温泉は内風呂と露天風呂があり、由布岳を望みながらの湯浴みが楽しめます。棚田を見渡す湯上がり処では、アイスやドリンクが用意されており、湯上がりのひとときを快適に過ごせます。
星野リゾート「界」ブランドならではの「ご当地楽」として、閑農期に農家で行われていた「わら縄い」体験を提供。藁を手で捻り、お守りを作る貴重な文化体験ができます。
朝は棚田を眺めながらの体操プログラムも用意されており、高原の爽やかな空気の中で心身をリフレッシュできます。
ゆふいん花由
由布院駅から車で約5分の場所にある、全客室から由布岳を一望できる温泉旅館です。「朝霧のみえる宿」として知られ、早朝には幻想的な朝霧に包まれる由布院盆地の絶景を楽しめます。
客室は和室を中心に、それぞれ趣の異なる造りとなっています。すべての部屋から由布岳が見え、季節や時間によって変化する山の表情を間近に感じられる設計です。
温泉は源泉掛け流しで、大浴場と露天風呂を完備。特に露天風呂からは、由布岳を正面に望みながらゆったりと湯に浸かることができ、開放感抜群です。
料理は大分の地元食材を活かした会席料理で、季節の味覚を丁寧に調理した品々が並びます。朝食も和食膳で、地元の野菜や温泉卵など、由布院ならではの朝の味わいが楽しめます。
駅からのアクセスも良く、湯の坪街道や金鱗湖などの主要観光スポットへも車で数分と、観光の拠点としても便利な立地です。

由布院周辺の観光スポット
由布院を拠点に、周辺の観光地を訪れるのもおすすめです。
別府温泉
由布院から車で約30分の距離にある別府温泉は、温泉の湧出量日本一を誇る温泉地です。「地獄めぐり」と呼ばれる観光コースでは、海地獄、血の池地獄、白池地獄など、色鮮やかな温泉を見学できます。
砂湯や泥湯、蒸し湯など、別府ならではの多彩な入浴スタイルも体験できます。ゆふいんの森3号は別府まで運行しているため、列車で直接アクセスすることも可能です。
九重”夢”大吊橋
日本一の高さを誇る歩行者専用吊橋「九重”夢”大吊橋」は、由布院から車で約40分の場所にあります。橋の長さは390m、高さは173m。眼下に広がる渓谷と九重連山の絶景は圧巻です。
特に紅葉シーズンの10月下旬から11月上旬は、渓谷一面が赤や黄色に染まり、まるで空中散歩をしているような感覚を味わえます。
黒川温泉
熊本県との県境に近い黒川温泉は、由布院から車で約1時間の距離にあります。山間の静かな温泉地で、風情ある温泉街が魅力です。
「入湯手形」を購入すれば、複数の旅館の露天風呂を巡ることができ、それぞれ異なる泉質や雰囲気を楽しめます。由布院とは異なる、素朴で落ち着いた温泉情緒を味わえる場所です。
湯布院フローラルヴィレッジ
由布院駅から徒歩約15分の場所にある「湯布院フローラルヴィレッジ」は、イギリスのコッツウォルズ地方を再現したテーマパークです。石造りの建物が立ち並ぶ街並みは、まるでヨーロッパを訪れたかのような雰囲気があります。
園内には、ハリーポッターの世界観を楽しめる「フクロウの森」や、ピーターラビットのグッズショップなどがあり、写真撮影スポットとしても人気です。
まとめ:列車旅が生み出す特別な体験
特急ゆふいんの森は、博多から由布院へ向かう約2時間の旅を、忘れられない体験に変えてくれる観光列車です。ハイデッカー構造による迫力ある車窓、木のぬくもりあふれる車内、客室乗務員による心温まるサービス、そして車内ビュッフェの充実した品揃え。すべてが、移動時間を旅の目的そのものへと昇華させています。
1989年の運行開始から35年以上にわたり、由布院の町とともに歩んできたこの列車は、単なる交通機関ではなく、九州観光の象徴的存在となりました。JR九州が展開する「D&S列車」ネットワークの礎を築き、その後登場した数々の観光列車のモデルとなった歴史的意義も大きいといえるでしょう。
予約の難しさという課題はありますが、その競争率の高さこそが、この列車の魅力を物語っています。1ヶ月前の予約開始日を狙う、平日利用を検討する、キャンセル待ちを活用するなど、工夫次第で乗車のチャンスは広がります。
博多駅のホームに停車するメタリックグリーンの車両を見た瞬間から、旅は始まっています。展望席から見る迫力の車窓、慈恩の滝での徐行運転、客室乗務員との温かな交流、ビュッフェで味わう地ビールとスイーツ。そして、由布岳が正面に現れる感動の瞬間。
これらすべての体験が重なり合い、特別な旅の思い出を作り上げます。目的地である由布院での温泉や観光も素晴らしいですが、そこへ至る道のりそのものが、かけがえのない価値を持つのです。
九州を訪れる際には、ぜひゆふいんの森での列車旅を体験してみてください。車窓から流れる景色、森の香りを感じさせる車内、そして由布院で待つ温泉と美食。すべてが、心に残る旅の思い出となるはずです。

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