姫路市立水族館「ひめすい」完全ガイド|播磨の海と川の生き物と五感で触れ合う体験型水族館

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姫路市立水族館「ひめすい」完全ガイド|播磨の海と川の生き物と五感で触れ合う体験型水族館
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添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は兵庫県姫路市、手柄山中央公園の中腹に佇む「姫路市立水族館」のご紹介です。大型水槽もなく、イルカのショーもない。それでも半世紀以上にわたって市民に愛され続けてきたこの水族館には、他では味わえない独自の魅力が詰まっています。播磨の里地・里海という地域に根ざしたテーマのもと、サメやエイに触れるタッチプール、日本初の亀のふれあい展示、そして日本の動物園水族館協会から繰り返し繁殖賞を受けてきた高い飼育技術。「山の上の水族館」の愛称でも親しまれるこの施設の奥深さを、じっくりと解説します。

施設名姫路市立水族館(ひめすい)
住所兵庫県姫路市西延末440(手柄山平和公園内)
開館時間午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日火曜日(祝日の場合は翌日)・12月29日〜翌年1月1日
入館料大人600円/小・中学生250円
アクセス(電車)JR山陽本線「手柄山平和公園駅」より徒歩圏内(2026年3月開業)/山陽電鉄「手柄駅」より徒歩約10分
アクセス(バス)JR姫路駅南口より神姫バス「西延末・姫路市立水族館北」下車、徒歩約5分
姫路市立水族館の入館料・営業案内(2026年4月現在)
目次

大型水槽なし、ショーなし。それでも行く価値がある理由

混雑した姫路市立水族館「ひめすい」の新館2階
混雑した姫路市立水族館「ひめすい」の新館2階

近年の水族館トレンドといえば、天井まで届く巨大な円形水槽や、クラゲのアート的展示、チョウザメやペンギンとの撮影体験といった「映え」を意識した演出が主流です。姫路市立水族館はそうした潮流とは真逆の路線をとっており、ある意味では「地味」と感じる来館者もいるかもしれません。展示の中心はウナギやドジョウ、カメ、カエルといった身近な生き物たちで、熱帯の珍魚や深海魚のコレクションは多くありません。

また、施設は手柄山の山腹という立地にあり、長らく公共交通でのアクセスが課題とされてきました。2026年3月にJR山陽本線「手柄山平和公園駅」が開業したことで利便性は大幅に向上しましたが、駐車場は有料で収容台数も限られており、特にゴールデンウィークや夏休みの週末は混雑します。館内に売店やレストランは設けられていないため、長時間滞在する場合は飲食物を事前に用意しておく必要があります。

これらの点は事前に把握しておくべき注意点ですが、だからこそ「何を目的に訪れるか」を明確にした上で向かえば、この水族館は期待を超えた発見を与えてくれます。

姫路大博覧会から始まった60年の歴史

姫路市立水族館「ひめすい」の建物
姫路市立水族館「ひめすい」の建物

姫路市立水族館が開館したのは1966年(昭和41年)6月12日のことです。この年、手柄山では姫路大博覧会が開催されており、その会場整備にあわせて水族館も誕生しました。山の中腹という独特の立地は、この博覧会のレガシーとして公園が整備されたことに由来しています。

開館当初から、この水族館は全国的な注目を集めるある取り組みを行っていました。日本初のタッチプール、すなわち磯の生き物に直接手で触れることができる展示です。当時の水族館といえば水槽越しに魚を「見る」場所が一般的でしたが、ひめすいは来館者が生き物と「触れ合う」という新しい体験を生み出しました。このコンセプトは後に全国の水族館に広く普及しましたが、その先駆けがここ姫路であったという事実は、あまり知られていません。

その後も水族館は着実に研究・飼育の実績を積み上げていきます。1987年にはミナミイシガメの人工繁殖成功で日本動物園水族館協会の繁殖賞を受賞、1993年にはオーストラリアナガクビガメの人工繁殖でも同賞を受賞しています。これらの成果は、小規模ながらも高い飼育技術を持つ施設であることを証明するものです。

2008年10月には、老朽化が進んだ施設全体の耐震工事と拡張工事のため約2年8ヶ月にわたる休館に入りました。2011年7月に再開した際には、旧・姫路市モノレール線の手柄山駅跡を活用した新館(はりまの里地ゾーン)が加わり、敷地面積は改修前の約2倍の8,210平方メートルへと拡大しました。こうして現在の新館・本館・屋上ビオトープという3施設構成が完成しました。

五感で学ぶ、播磨の生き物たちの世界

姫路市立水族館「ひめすい」の本館の水槽
姫路市立水族館「ひめすい」の本館の水槽

姫路市立水族館の最大の特徴は「五感を使って体験できる水族館」というコンセプトです。見るだけでなく、触れる・嗅ぐ・聞くといった多感覚的な体験が随所に組み込まれています。館内は新館(1・2階)、本館、屋上ビオトープの3施設が連絡通路でつながっており、自由に行き来することができます。入場口は新館1階のみです。

新館1階:里地の淡水生物

姫路市立水族館「ひめすい」で日本ウナギの展示コーナー
姫路市立水族館「ひめすい」で日本ウナギの展示コーナー

入場口を抜けてまず広がるのが、田んぼやため池・川の生き物を展示する淡水ゾーンです。川をジャンプしながら遡上する魚を間近で観察できる水槽は、子どもだけでなく大人にも驚きを与えてくれます。水槽の下から見上げると魚やカメを底面越しに観察できるユニークな展示もあり、日常では気づかない生き物の姿に目が向くよう工夫されています。

新館2階:両生類・爬虫類と水生昆虫、モノレール展示

姫路市立水族館「ひめすい」の新館のメダカ水槽
姫路市立水族館「ひめすい」の新館のメダカ水槽

2階には両生類・爬虫類コーナーが広がり、カエル・サンショウウオ類・水生昆虫など、播磨の里地に暮らす生き物が揃っています。「秘密の引き出し」を開けるとカエルの鳴き声が聞こえる仕掛けがあり、何種類もの鳴き声を家族で当て合う参加型展示は子どもに大人気です。タガメやゲンゴロウなど水族館内で繁殖させている水生昆虫の展示も貴重で、昔は身近だった生き物との再会に懐かしさを感じる来館者も少なくありません。

2026年2月には、国内の動物園・水族館では初となるオオシマドジョウの自然繁殖成功が発表され、新館2階で展示が行われています。2025年11月には全身が真っ赤な珍しいアカハライモリの展示も始まり話題を集めています。また、2025年8月からは新種として独立したセトウチサンショウウオ(以前はカスミサンショウウオと呼ばれていた種)も展示されています。

姫路市立水族館「ひめすい」で子供たちが手を入れているドクターフィッシュの水槽
姫路市立水族館「ひめすい」で子供たちが手を入れているドクターフィッシュの水槽

ドクターフィッシュ(ガラ・ルファ)との触れ合い水槽も新館2階にあります。水に手を入れると古い角質を食べに小魚が集まってくる独特の体験は大人でも思わず声を上げてしまいます。手を入れる前には必ず手洗いをしましょう。

リクガメコーナーでは、アクアキャラバン(水族館の出張イベント)で人気を博したケヅメリクガメが展示されています。アフリカ原産の大型陸生ガメで、その堂々とした体格と人懐こい性格から多くのリピーターを持つ「ひめすい」の看板動物のひとつです。

姫路モノレールの車両
姫路モノレールの車両

2階には旧・姫路モノレールの手柄山駅ホームを活用した展示スペース(手柄山交流ステーション)が隣接しており、水族館から自由に行き来できます。昭和41年の姫路大博覧会にあわせて開業し、わずか8年で廃線となった市営モノレールの車両がそのままの姿で保存されており、昭和の鉄道ファンはもちろん、子どもたちにとっても格好の撮影スポットになっています。

本館:はりまの里海ゾーン

姫路市立水族館「ひめすい」の播磨灘大水槽
姫路市立水族館「ひめすい」の播磨灘大水槽

本館3階と新館1階が連絡通路でつながっています。本館では播磨灘の海水魚を中心に展示しており、ハイライトのひとつは「播磨灘大水槽」でのイワシの群泳です。小型ながらも銀色の魚群が一斉に方向を変える光景は、水族館の醍醐味をしっかりと体感させてくれます。チンアナゴやヌートリアの展示も本館の人気コーナーです。

来館者から特に支持を集めるのが、サメやエイに触れられるタッチプールです。泳いでいるエイの背中に直接触ることができ、そのなめらかな手触りは初めて体験する人には衝撃的です。ただし、館内には「かまれます」「トゲに注意」といった表示が随所にあり、生き物の扱いには十分な注意が必要です。また、ウニやヒトデ、小型サメに触れることができる磯のタッチプールも設置されています。タッチプールは小さな子どもに特に人気が高く、夢中になって触れていると衣服や袖が濡れてしまうことがあります。着替えを一式持参しておくと安心です。

姫路市立水族館「ひめすい」のペンギンの餌やりタイム
姫路市立水族館「ひめすい」のペンギンの餌やりタイム

本館の屋外プールでは、ウミガメとケープペンギンを飼育しており、飼育員による解説つきの給餌タイムが実施されています。ウミガメプールには産卵用の砂場も設けられており、時期と時間によっては産卵の瞬間を目撃できることもあります。2025年も当館内でアカウミガメの産卵が確認されており、毎年の恒例として来館者の注目を集めています。

屋上ビオトープ

本館の屋上には、播磨地方の自然の池を再現したビオトープが広がっています。ここでは季節によってさまざまな水生生物や草花の様子が観察でき、テーブルとベンチも設置されているため、穏やかな日には屋外でひと息つくことができます。

オオサンショウウオと絶滅危惧種の研究拠点として

姫路市立水族館が地味ながらも専門家から高く評価されている分野が、絶滅危惧種の保全研究です。日本の固有種であるオオサンショウウオは世界最大の両生類として知られ、その実物大模型は多くの来館者を驚かせます。単なる展示にとどまらず、飼育・繁殖研究においても長年の実績を持ちます。

「教科書に出てくる水生生物」コーナーや「絶滅の恐れのある生き物」コーナーも設置されており、生態系の現状と保全の重要性を学ぶことができます。ナゴヤダルマガエルの累代繁殖にも取り組んでおり、2025年秋には当館生まれの幼体の展示も始まりました。

博物館法に基づく兵庫県教育委員会の指定施設(博物館に相当する施設)であり、日本博物館協会の会員館でもあるこの施設は、単なる「見世物」ではなく「研究・教育機関」としての側面を持ちます。それが来館体験の質を一段と深めてくれます。

子ども連れ・ファミリーに嬉しい体験型展示の工夫

姫路市立水族館「ひめすい」のタッチプール
姫路市立水族館「ひめすい」のタッチプール

大型水槽がないからこそ生まれる工夫が、ひめすいの随所に光ります。生きた魚に触るのが怖い子どもでも、実物の魚から型を取って作られた模型を手で触ることで、ウロコの形状や体表の感触を学べるコーナーが設けられています。オオサンショウウオの実物大模型は抱き上げることができ、その重量感は実際の生き物を想像させてくれます。

館内はスロープとエレベーターを完備しており、ベビーカーや車椅子での移動もスムーズです。インフォメーションではベビーカーの無料貸し出しも行っています。当日に限り再入場が可能なため、隣接する手柄山中央公園で一度外に出てから再び館内に戻るといった自由な回り方もできます。

所要時間は給餌タイムやタッチプールを楽しみながら一周して約2時間が目安です。回り方の王道コースは「新館1階→新館2階→本館→屋上→新館1階」で、連絡通路でつながっているため施設間を自由に行き来できます。

合わせて訪れたい周辺の観光スポット

手柄山平和公園の案内マップ
手柄山平和公園の案内マップ

手柄山温室植物園

水族館と同じ手柄山中央公園内にあり、徒歩数分でアクセスできます。大小2つの温室には熱帯・亜熱帯の植物が四季を問わず生き生きと育っており、姫路の気候では見られない植物との出会いを楽しめます。隣接する「花の家」では花の苗やオリジナルグッズの購入も可能です。

姫路市平和資料館

手柄山中央公園内に位置し、水族館から徒歩数分の距離にあります。太平洋戦争中に姫路市が受けた2度の空襲の記録を中心に、戦争と平和について学べる施設です。爆撃の振動を体感できる設備や、実際の被爆物の展示もあり、歴史学習の場として地元の学校にも活用されています。

手柄山交流ステーション(モノレール展示室)

新館2階から直接行き来できる施設で、姫路大博覧会の開催にあわせて1966年に開業し8年で廃線となった姫路市営モノレールの車両と駅ホームが当時の姿で保存・展示されています。入場は無料で、博覧会当時のジオラマも展示されており、昭和の記憶を持つ世代から子どもたちまで幅広く楽しめます。

周辺のおすすめ宿泊施設

ホテル日航姫路

JR姫路駅直結という抜群の利便性を誇る大型シティホテルです。駅を出てすぐという立地は、姫路観光全体の拠点として最高のポジションです。宿泊者専用のサウナ付き温浴施設を完備しており、最上階クラブラウンジが利用できるクラブルームも好評です。種類豊富な朝食ビュッフェには姫路おでんなどのご当地メニューも揃っています。

ホテルモントレ姫路

JR姫路駅から徒歩約5分の立地で、手柄山方面へのアクセスにも便利なシティホテルです。欧州アールデコ様式を基調とした落ち着きある空間が特徴で、宿泊者専用のサウナ付き温浴施設「トリニテ」を完備しています。姫路城へも徒歩15分圏内で、姫路観光の拠点として使いやすい立地です。

ダイワロイネットホテル姫路

JR姫路駅から徒歩約2分という利便性を誇るビジネスホテルです。全室シモンズ製ベッドを採用し、バスとトイレが分かれたセミセパレートタイプの客室が標準となっています。朝食のクオリティへの評価が高く、姫路おでんや地元食材を取り入れたメニューが好評です。

JRクレメントイン姫路(旧ヴィアイン姫路)

JR姫路駅東口から徒歩2分という利便性の高い宿泊特化型ホテルで、2022年11月にリニューアルオープンしました。ロビーでの24時間フリードリンク、夕方のアルコール飲み放題、夜食のお茶漬けサービスなど、宿泊者向けの無料サービスが充実しています。朝食ビュッフェでは姫路名物のアーモンドトーストや姫路おでんも楽しめます。

まとめ

姫路市立水族館「ひめすい」で展示されているタコ
姫路市立水族館「ひめすい」で展示されているタコ

姫路市立水族館「ひめすい」は、半世紀以上にわたって播磨地方の自然と生き物をテーマに歩み続けてきた、地域密着型の体験型水族館です。日本初のタッチプール発祥の地として、また絶滅危惧種の繁殖研究施設として、その歴史と実績は他の施設には容易に真似できない厚みがあります。サメやエイに触れる感触、飼育員と生き物の距離が近い給餌タイム、日本の動物園水族館協会から認められた繁殖実績。これらはすべて、「五感で体験する」というひめすいのコンセプトが長年にわたって着実に実践されてきた証です。

2026年3月にはJR山陽本線「手柄山平和公園駅」が開業し、公共交通でのアクセスも格段に向上しました。姫路への旅では、世界遺産・姫路城の壮大さとあわせて、ぜひ手柄山の水族館で播磨の生き物たちとの静かで豊かな時間を過ごしてみてください。

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