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久須志神社|富士山頂に鎮座する浅間大社末社「東北奥宮」の歴史とご利益

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久須志神社|富士山頂に鎮座する浅間大社末社「東北奥宮」の歴史とご利益
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添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は静岡県富士宮市に鎮座する富士山頂上久須志神社をご紹介します。富士山本宮浅間大社の末社であり「東北奥宮」とも呼ばれるこの神社は、標高3,715メートルの山頂に建つ、日本でも屈指の高所にある社殿です。

目次

富士山頂に鎮座する社殿の概要

吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居
吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居

久須志神社は、富士山の登山道のうち吉田口と須走口の頂上にあたる場所に鎮座しています。富士宮口の頂上にある富士山本宮浅間大社奥宮とは火口を挟んで対をなす位置にあり、開山期間中はお鉢巡りの行程でどちらの社殿にも参拝できます。祀られているのは大名牟遅命と少彦名命の2柱で、いずれも国造りと医薬にゆかりの深い神様です。

行政上は静岡県富士宮市に属していますが、実際の登山口としては山梨県側の吉田口や、静岡県側の須走口からのアクセスが中心となります。どちらのルートを選んでも8合目付近で登山道が合流したのち山頂を目指す形になるため、須走口を利用する登山者にとっても吉田口を利用する登山者にとっても、久須志神社は共通のゴール地点の一つとなっています。

項目内容
施設名富士山頂上久須志神社(富士山本宮浅間大社末社/通称・東北奥宮)
営業時間開山期間中(例年7月上旬〜9月10日ごろ)の日の出頃〜16時頃、神職が奉仕
定休日閉山期間(9月上旬〜翌年の開山まで)は無人
住所静岡県富士宮市富士山山頂(吉田口・須走口側、標高3,715m)
アクセス須走口五合目または吉田口五合目から登山道を登り、山頂の火口北側へ到達

短い開山期間と入山手続きという制約

久須志神社の狛犬と吉田ルートの登山道山頂付近
久須志神社の狛犬と吉田ルートの登山道山頂付近

久須志神社を参拝する際にまず理解しておきたいのが、開山期間が7月上旬から9月10日ごろまでと非常に短いことです。この期間を過ぎると神職は下山し、社殿は翌年の開山まで無人となるため、御朱印や金剛杖への焼印を受けたい場合は開山期間中に日程を合わせる必要があります。

入山にあたっての手続きは、どのルートを使うかによって異なります。久須志神社へ最短で到達できる吉田ルート(山梨県側)では、通行予約と通行料の支払い、五合目での装備チェックが求められます。須走口をはじめとする静岡県側3ルートから入山する場合は、ルール・マナーの事前学習(eラーニング)を修了したうえで入山料を納めることが条例で義務づけられており、両ルートで手続きの内容が異なる点に注意が必要です。

吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居
吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居

標高3,700メートルを超える山頂は、麓とは比べものにならないほど気温が低く、天候の急変も珍しくありません。夜間に登り御来光を待つ登山者も多いため、防寒具やヘッドランプといった装備を整えたうえで、高山病への備えも忘れずに計画を立てたいところです。

また開山期間中は、富士スバルライン(吉田ルート)と須走口では、マイカー規制が実施されています。自家用車を直接乗り入れることができません。周辺の駐車場に車を停め、シャトルバスまたはシャトルタクシーに乗り換えて五合目まで移動する流れになります。シャトルバスはほぼ1時間毎と本数が非常に少なく、週末やイベント時は満員で乗れないこともあるため、時間に余裕を持ったスケジュールを組んでおく必要があります。

薬師堂から東北奥宮へ〜社殿が歩んだ歴史

久須志神社と石碑
久須志神社と石碑

久須志神社の起源は、須走浅間神社が管理していた薬師堂にさかのぼります。気候の厳しい山頂では建物の傷みが早く、元禄15年(1702年)には浅間大社が薬師堂の造営を行いました。しかし、この薬師堂の入仏権をめぐって大宮(浅間大社側)と須走の間で争いが起こり、元禄の争論、さらに安永8年(1779年)の幕府裁許にまで発展した経緯があります。この裁定により、富士山8合目より上は浅間大社の神域として取り扱われることになり、山頂の宗教施設全体の管理体制が定まりました。

明治時代に入ると神仏分離令が施行され、山中の仏像は撤去されて仏教的な地名は神道的なものへと改められました。これにより、大宮・村山口山頂の大日堂は浅間神社(現・富士山本宮浅間大社)の奥宮に、吉田口・須走口山頂の薬師堂は同社の東北奥宮、すなわち現在の久須志神社となったのです。かつて薬師如来を祀っていた名残から、医薬の神である大名牟遅命と少彦名命が祭神として迎えられました。

争いを経て一つの神域としてまとまった歴史は、現在の管理体制にも受け継がれています。富士山8合目より上は今も浅間大社奥宮の境内地として扱われており、久須志神社もその一部として、開山期のみ神職が奉仕する形が保たれています。かつて仏堂として山頂に建っていた建物が、時代を経て神社としての姿に整えられていった過程は、富士山信仰の変遷そのものを映し出しているといえるでしょう。江戸時代の争論の記録は、山頂という限られた場所をめぐって複数の勢力が関わってきたことを今に伝える貴重な手がかりにもなっています。

世界遺産の構成要素であり御来光の名所

富士山の山頂にある鳥居付近で迎えるご来光(日の出)
富士山の山頂にある鳥居付近で迎えるご来光(日の出)

久須志神社は、世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」を構成する「山頂の信仰遺跡群」の一部に位置づけられています。奥宮や剣ヶ峰、久須志岳などとともに、火口を取り囲む信仰の場としての価値が認められた結果です。加えて、久須志神社は御来光の見事さでも古くから知られています。吉田口・須走口ルートを登り切った登山者の多くが、夜通しの登山を経てこの一帯で朝日を迎えることから、夏の開山期には多くの登拝者が集まります。東側に開けた立地は、山頂に到達したタイミングと日の出の時刻が重なりやすく、長時間の登山を終えた直後に朝日を仰げる点も人気の理由の一つです。

吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居と狛犬
吉田ルートの登山道山頂付近にある久須志神社の鳥居と狛犬

鳥居の前で登山者を出迎える狛犬や、境内に立つ「冨士山頂上淺間大社奥宮」と刻まれた石碑も、山頂に立った達成感を実感させてくれる存在です。石碑には久須志神社が浅間大社奥宮の一部であることが示されており、火口を挟んだ両社が一体の神域であることを改めて感じさせます。世界遺産としての価値は建物そのものだけでなく、こうした信仰の痕跡が山頂に凝縮して残っている点にも見出されています。

授与品と登拝文化に触れられる社殿

久須志神社
久須志神社

開山期間中の久須志神社では、御朱印のほか、五合目で購入した金剛杖への朱印(焼印)も受けられます。山小屋ごとに杖へ焼印を重ねながら登る文化は古くから親しまれており、山頂での朱印はその締めくくりとして人気があります。杖を何本もの焼印で埋めていく様子は、登山の道のりをそのまま形に残す記念にもなっています。奥宮と同様に、久須志神社にも70歳以上の登拝者を対象とした「高齢者記帳所」が設けられており、記帳すると記念品が授けられる仕組みが用意されています。また、久須志神社は須山口・河口湖口を含む複数の登山道から到達できる立地にあるため、どのルートを選んでも山頂での参拝という共通の目的地になっている点も特徴です。授与所には開山期のみ神職が常駐しており、御札やお守りの授与のほか、家内安全などの祈願も受け付けています。閉山期に入ると社務所も無人となるため、こうした授与品を受けられるのは1年のうちごく限られた期間だけになります。

周辺スポット

久須志神社を参拝したあとは、お鉢巡りの行程に組み込みやすい範囲に点在する山頂ならではの見どころへ足を延ばせます。時間や体力に応じて立ち寄り先を選びたいところです。

富士山本宮浅間大社奥宮

富士山本宮浅間大社奥宮の建物
富士山本宮浅間大社奥宮の建物

火口を挟んで対極にあたる富士宮口山頂には、久須志神社と対をなす富士山本宮浅間大社奥宮が鎮座しています。富士宮口ルートの終着点にあたる社殿で、荘厳な社殿建築と山頂ならではの授与品が登拝者を出迎えます。開山期には縁結びのお守りなど、麓の本宮とはまた違った授与品も揃います。

剣ヶ峰

富士山の最高峰である剣ヶ峰に登る人々
富士山の最高峰である剣ヶ峰に登る人々

富士山の最高地点である剣ヶ峰は、お鉢巡りのコースをさらに進んだ先にあります。標高3,776メートルの二等三角点が置かれ、多くの登拝者が最終目的地としてこの地点を目指します。「日本最高峰」の標柱の前で記念撮影をする登山者の姿が絶えない、富士登山の集大成ともいえる場所です。

久須志岳

久須志神社からほど近い峰が久須志岳です。かつては薬師嶽と呼ばれ、久須志神社の社名の由来ともなった場所とされています。お鉢巡りの途中で立ち寄りやすく、火口の成り立ちを感じられる一角です。

大内院

久須志神社をはじめとする山頂の社殿群が取り囲むのが、火口部分にあたる大内院です。曼荼羅世界になぞらえて考えられてきた山頂部の中心にあたり、お鉢巡りの行程全体を通してその広がりを実感できます。

伊豆岳

久須志岳とともに八神峰に数えられる峰の一つが伊豆岳です。大正時代の関東大震災の直後に噴気が確認されたと伝わる場所で、火山としての富士山の一面に触れられるスポットとして、お鉢巡りのルート沿いに立ち寄る登山者が見られます。

富士山登山の拠点となるホテル

須走口・吉田口方面から久須志神社を目指す場合、静岡県側の御殿場・小山町エリアに宿を取ると前泊・後泊がしやすくなります。

御殿場高原 時之栖

御殿場高原の広大な敷地内にあるリゾートホテルで、天然温泉の大浴場や露天風呂を備えています。富士山を望む立地でありながら、御殿場駅からの無料シャトルバスも利用でき、登山前後の移動に便利です。

御殿場高原 時之栖

御殿場高原 時之栖

料金・空室状況を確認:

ホテルジャストワン富士小山

東名高速道路の足柄スマートICから車で2分という好立地にあり、客室や大浴場から富士山を一望できるビジネスホテルです。天然温泉の大浴場を備え、登山前に体を休めるのに適しています。

ホテルジャストワン富士小山

ホテルジャストワン富士小山

料金・空室状況を確認:

レンブラントプレミアム富士御殿場

標高550メートルの高台に建ち、露天風呂から富士山の裾野から山頂までを一望できる宿です。天然温泉に加えてサウナも備えており、登山後に疲れた体をゆっくりと癒やせます。

レンブラントプレミアム富士御殿場

レンブラントプレミアム富士御殿場

料金・空室状況を確認:

まとめ

久須志神社と吉田ルート山頂の様子
久須志神社と吉田ルート山頂の様子

久須志神社は、薬師堂として山頂に建てられた時代から、争論と神仏分離を経て東北奥宮としての地位を確立してきた歴史を持ち、世界遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成要素にも数えられる社殿です。短い開山期間と入山手続きという制約はあるものの、御来光や周辺の信仰遺跡群とあわせて参拝することで、山頂ならではの時間を過ごせます。

久須志神社を目指す登山では、須走口五合目や吉田口五合目までのアクセス、そして下山後の宿泊先をあらかじめ組み立てておくことが、無理のない登山計画につながります。前泊や下山後の宿泊には、御殿場高原 時之栖のように富士山を望みながら天然温泉でゆっくり過ごせる宿を拠点にすると、登山と参拝の計画を立てやすくなるでしょう。

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