神戸は異人館や港の景色で知られる街ですが、市内には古代の創建伝承を持つ神社が数多くあります。縁結びの生田神社と氷室神社、勝運で名高い弓弦羽神社と二宮神社、学問の北野天満神社など、目的別に9社を取り上げ、御朱印や参拝時間、アクセスの情報をまとめます。
神戸の神社を巡る前に押さえたい4つの注意点
神戸の神社は魅力が多い一方で、事前に知っておくと動きやすくなる点があります。回り方を決める前に、巡拝で戸惑いやすい4点を確認しておきましょう。
9社は市内の東西に広く点在している
今回の9社は、東灘区、中央区、兵庫区、長田区、垂水区に分かれています。弓弦羽神社と保久良神社は東灘区の阪急御影駅や岡本駅の周辺、舞子六神社は垂水区の山陽西舞子駅の近くにあり、中心部の生田神社や二宮神社とは距離が離れています。1日で全社を回るより、エリアごとに分けて計画するほうが無理がありません。
閉門時間と授与所の時間は神社ごとに異なる
境内に入れる時間と、御朱印やお守りを授与する時間は別に設けられています。生田神社は朝7時に開門し、閉門は季節によって17時から18時30分まで変わります。北野天満神社は7時30分から17時、長田神社の授与所は9時から16時です。夕方に到着すると、境内には入れても御朱印を頂けない場合があります。
保久良神社は山道を歩いて参拝する
保久良神社は標高185メートルの山腹にあり、阪急岡本駅から徒歩で25分から30分ほどかかります。住宅地を抜けると急な坂道が続くため、歩きやすい靴で向かう必要があります。眺望と引き換えに体力を使う参拝になります。
湊川神社は最寄り駅を取り違えやすい
湊川神社の最寄りは、徒歩約5分の地下鉄大倉山駅です。社名につられて一駅西の湊川公園駅で降りる人が多く、そこからだと徒歩約11分かかります。JR神戸駅からは徒歩約3分で、乗る路線に合わせて降りる駅を選べます。
神戸の神社の歴史|神功皇后の伝承から港町の発展まで
神戸の神社には、神功皇后にまつわる古い伝承や、平清盛の福原遷都、阪神・淡路大震災からの復興といった歴史が重なっています。参拝の前に由来を知っておくと、境内の見え方が変わります。
生田神社が神戸の地名の由来になった
生田神社は、神功皇后の摂政元年にあたる201年の創建と伝わる古社で、『日本書紀』にも登場します。生田の神に仕える家を「神戸(かんべ)」と呼んだことが、神戸という地名の語源になったとされています。かつては現在の中央区一帯が社領で、各地から集めた稲で境内の神職が酒造りをしたことが、灘の酒造りの起源になったとも伝わります。
神戸八社巡りと二宮神社の名の由来
神功皇后が生田の大神を祀った際、生田神社の周辺にある八つの神社を巡拝したと伝えられています。参拝の順に一宮から八宮と名付けられ、これらを巡る「神戸八社巡り」が今も続いています。二宮神社は、神功皇后が二番目に参拝したことから、その名が付いたとされます。
平清盛の福原遷都と北野天満神社・氷室神社
1180年、平清盛が福原へ都を移した際、新しい都の鬼門を守るため、京都の北野天満宮から菅原道真の分霊を迎えて創建されたのが北野天満神社です。氷室神社には、平清盛が福原の新都を整えるなかで安芸の宮島から市杵島姫命を勧請したという由来があり、兵庫津七弁天の一つ、夢野弁天としても数えられます。『日本書紀』には、氷を貯蔵する氷室が見つかったという記述があり、境内の氷室旧跡がその場所と推測されています。
湊川神社の創建と震災からの復興
湊川神社は、南北朝時代の武将、楠木正成を祀る神社で、1872年(明治5年)に明治天皇の勅命で創建されました。境内には、正成が最期を迎えた殉節地と伝わる史跡があり、水戸光圀が建てた墓碑も残っています。また、弓弦羽神社では1995年の阪神・淡路大震災で社務所が全壊し、鳥居や灯籠も崩れましたが、氏子が力を合わせて復興を進めました。長田神社も震災で被害を受け、2000年に復旧しています。
神戸の神社の魅力は「目的で選べる」ところにある
神戸の神社は、祀られる神様や由来がはっきりしているため、願いごとに合わせて参拝先を選びやすいのが特徴です。縁結び、勝運、学問、商売繁盛と、神社ごとに色合いが異なります。御朱印や御朱印帳も神社ごとに意匠が違うので、巡るほどに収集の楽しみが広がります。
縁結びで知られる神戸の神社2選
恋愛や良縁を願う参拝者が集まるのが、生田神社と氷室神社です。どちらも縁結びの由来がはっきりしており、願いごとに添えた授与品や参拝の作法があります。
生田神社|三宮の中心にある縁結びの古社
生田神社は、三宮駅から北へ歩いた繁華街の一角にあり、稚日女尊を祀っています。長田神社、湊川神社とともに神戸三大神社に数えられ、境内には複数の末社があります。縁結びのほか、商売繁盛や家内安全など、幅広いご利益があるとされます。
境内に広がる「生田の森」は、かつて源平の戦場にもなった場所です。繁華街のすぐそばでありながら、森に入ると街の音が遠のきます。
縁結びの授与品が多いのも特徴で、水に浮かべると文字が浮かび上がる「縁結び水みくじ」が親しまれています。御朱印は、本殿の生田神社と、神戸七福神の弁財天を祀る末社の市杵島神社の2種類が通常のもので、季節ごとの限定御朱印も授与されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 生田神社 |
| 営業時間 | 開門7:00〜(閉門は季節により17:00〜18:30)、御朱印・お守りの授与は9:00〜16:30 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市中央区下山手通1-2-1 |
| アクセス | JR三ノ宮駅から徒歩約10分 |
氷室神社|愛のポストで知られる恋愛の神社
氷室神社は、神戸市兵庫区の住宅街にあり、縁結びの神様である大国主大神と、市杵島姫命などを祀っています。「れんあい弁天」の名で親しまれ、約1800年の歴史を持つ古社です。
源平合戦の際、平清盛の甥にあたる平通盛と妻の小宰相が、戦の前に別れを惜しんだ場所と伝わります。再会が叶わなかったこの逸話が、恋愛にまつわる神社としての評判を広げたといわれます。
本殿の前には「愛のポスト」が置かれ、理想の相手について詳しく書いた「愛の手紙」を投函する風習があります。専用の用紙が神社に用意されているため、書く内容を前もって考えておくと落ち着いて参拝できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 氷室神社 |
| 営業時間 | 参拝自由、社務所は8:00〜18:00 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市兵庫区氷室町2-15-1 |
| アクセス | JR三ノ宮駅から市バス7系統で約23分、「石井町」下車、徒歩約5分 |
勝運・必勝祈願で知られる神戸の神社3選
勝負事や受験、仕事の節目に参拝する人が多いのが、弓弦羽神社、二宮神社、湊川神社です。いずれも由来が明確で、勝利にちなむ授与品や象徴があります。
弓弦羽神社|八咫烏がシンボルの必勝祈願の社
弓弦羽神社は、神戸市東灘区の住宅街にあり、阪急御影駅から徒歩約5分の場所にあります。849年に社殿が建立されたと伝わり、熊野大神を祀ります。神功皇后が戦勝を祈ってこの地に熊野大神を祀り、弓と甲冑を納めたという伝承があります。
熊野大神の使いとされる三本足の八咫烏が、この神社のシンボルです。日本サッカー協会も同じ八咫烏をシンボルとしていることから、2013年には御影石で八咫烏を刻んだサッカーボールの碑が置かれました。「ゆづる」と読む社名から、フィギュアスケートの羽生結弦選手が参拝してきた神社としても広く知られ、ファンの絵馬が並びます。
鳥居の近くにあるムクノキは、神戸市の天然記念物に指定されています。御影石を敷いた参道を歩くと、住宅街とは思えない静けさがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 弓弦羽神社 |
| 営業時間 | 境内自由、授与所は9:00〜17:00、祈祷受付は9:30〜16:00 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市東灘区御影郡家2-9-27 |
| アクセス | 阪急御影駅から徒歩約5分 |
二宮神社|「正勝さん」と呼ばれる勝運の神社
二宮神社は、三宮駅から北東へ徒歩約8分、二宮商店街に近い静かな一角にあります。主祭神は天照大御神の長男にあたる正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命で、地元では「正勝さん」の愛称で呼ばれています。勝運のご利益があるとされ、受験や就職、結婚といった節目の祈願に訪れる人が多い神社です。
嵐のメンバーと同じ名字であることから、ファンが訪れる場所としても知られます。授与品には、嵐のメンバーカラーにちなんだ5色のお守りが用意されています。境内には、樹齢700年を超えるとされる欅があり、戦災を乗り越えた神社の歴史を伝えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 二宮神社 |
| 営業時間 | 開門7:00〜17:00、授与所は9:00〜17:00 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市中央区二宮町3-1-12 |
| アクセス | 三宮駅から北東へ徒歩約8分 |
湊川神社|楠木正成を祀る「楠公さん」
湊川神社は、神戸駅の近くにある広い境内を持つ神社で、地元では「楠公さん」と呼ばれています。智・仁・勇を備えた名将と伝わる楠木正成を祀り、開運や大願成就を願う人が訪れます。
境内には、正成が最期を迎えた場所と伝わる殉節地と、水戸光圀が建てた墓碑があります。都市の中にあって緑が多く、史跡と参拝を同時に味わえる点が特徴です。御朱印には、楠木家の家紋にちなむ菊水紋があしらわれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 湊川神社 |
| 営業時間 | 日の出から日没まで |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市中央区多聞通3-1-1 |
| アクセス | JR神戸駅から徒歩約3分、地下鉄大倉山駅から徒歩約5分 |
学問と眺望で選ぶ神戸の神社2選
高台から街を見渡せる神社や、古い祭祀の跡が残る神社もあります。学問成就を願う北野天満神社と、山腹に鎮座する保久良神社は、景色も参拝の楽しみになります。
北野天満神社|異人館街を見下ろす学問の神様
北野天満神社は、異人館の「風見鶏の館」の東隣にあり、学問の神様である菅原道真を祀ります。北野という地名の由来になった古社で、約300年前に造営された本殿は、拝殿などとともに神戸市の重要な伝統的建造物に指定されています。
境内は高台にあり、拝殿の前から神戸の街と港を見渡せるため、「天空の社」とも呼ばれます。受験期には、合格祈願の絵馬が数多く奉納されます。通常の御朱印のほか、月替わりの切り絵の御朱印があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 北野天満神社 |
| 営業時間 | 開門7:30〜17:00、授与所は9:00〜17:00 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 兵庫県神戸市中央区北野町3-12 |
| アクセス | JR三ノ宮駅から徒歩約15分 |
保久良神社|灘の一つ火が灯る山腹の古社
保久良神社は、神戸市東灘区の保久良山の山腹に鎮座し、標高185メートルの境内から大阪湾を見渡せます。『延喜式神名帳』に記載された式内社で、祀られているのは椎根津彦命などです。境内からは弥生時代中期のものとされる祭祀用の土器が見つかっており、古くから聖なる場所とされてきたことがうかがえます。
神社の名物が、本殿の南側に立つ石灯籠「灘の一つ火」です。昔から沖を行く船の目印とされ、日没のころに火が灯されます。境内にある保久良梅林も、梅の季節の見どころです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 保久良神社 |
| 住所 | 兵庫県神戸市東灘区本山町北畑680 |
| アクセス | 阪急岡本駅から徒歩約25〜30分(登山道) |
商売繁盛と御朱印で選ぶ神戸の神社2選
地元で長く信仰されてきた神社と、御朱印の種類で人気を集める神社の2社です。節分の神事や毎月の限定御朱印など、日を選んで訪れる楽しみもあります。
長田神社|事代主神を祀る「長田さん」
長田神社は、神功皇后が新羅からの帰途、武庫の水門でお告げを受けて祀ったと伝わる古社です。主祭神の事代主神は「えびす様」として知られ、商売繁盛や開運招福、厄除けの神様として、地元の人々から「長田さん」と呼ばれて親しまれています。
毎年2月3日の節分の日には、室町時代から続く古式追儺式が行われます。松明をかざした7匹の鬼が舞台で踊り、新年の災厄を焼き払う神事で、鬼が投げ捨てた松明の燃え残りを持ち帰ると厄除けになるといわれます。毎月1日には「おついたち詣で」があり、多くの参拝者が訪れます。境内には、国登録有形文化財の楠宮稲荷社があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 長田神社 |
| 営業時間 | 開門5:00〜18:00(10月〜3月は6:00〜)、授与所は9:00〜16:00 |
| 定休日 | なし(通年開門) |
| 住所 | 兵庫県神戸市長田区長田町3-1-1 |
| アクセス | 地下鉄長田駅から徒歩約5分 |
舞子六神社|月替わりの限定御朱印が集まる海辺の神社
舞子六神社は、明石海峡大橋に近い垂水区の舞子にあり、山陽電鉄の山陽西舞子駅から東へ徒歩約2分です。古い資料では、元禄2年(1686年)に六社大明神の社が建てられたのが始まりとされ、イザナギノミコト、イザナミノミコト、アマテラスオオミカミ、スサノオノミコト、エビスノオオカミ、ツキヨミノミコトの六柱を祀っています。
御朱印の種類が多い神社で、通常の御朱印に加え、毎月6日に参拝した人だけが頂ける「六日参り」の御朱印や、季節の花をあしらった花御朱印などがあります。スサノオノミコトを祀る神社が合同で行う「兵庫スサノヲ四社詣」にも参加しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 舞子六神社 |
| 営業時間 | 参拝は終日、授与は9:00〜16:00 |
| 住所 | 兵庫県神戸市垂水区西舞子1-5-7 |
| アクセス | 山陽電鉄・山陽西舞子駅から東へ徒歩約2分 |
神社の周辺で立ち寄りたい神戸のスポット
神社の参拝に、周辺の散策を組み合わせると一日の満足度が上がります。ここでは、先に紹介した神社から歩いて回れる範囲のスポットを取り上げます。
北野異人館街
北野天満神社のある北野は、明治後期から大正前期にかけて外国人の居留地として開発された住宅街です。坂道に洋館が並ぶ景観が残り、神社の高台から降りながら異人館の外観を眺める散策は、神戸らしさを手軽に味わえる定番コースとしておすすめです。
三宮神社
三宮神社は、三宮という地名の由来になった神社で、JR三ノ宮駅から徒歩約8分、旧居留地のすぐそばにあります。幕末に起きた神戸事件の発生地として、鳥居の脇に記念の碑が立っています。生田神社や二宮神社と同じ八社巡りの一社なので、中心部の参拝とあわせて立ち寄るのがおすすめです。
神戸布引ハーブ園とうろこの家
新神戸駅の周辺には、異人館の「うろこの家」や、自然を楽しめる神戸布引ハーブ園があります。北野天満神社から新神戸駅方面へ足を延ばせば、街並みと緑の景色を一日で組み合わせられるので、神社巡りの合間の寄り道におすすめです。
神戸の神社巡りに便利なホテル3選
神戸の神社は市内に広く点在するため、移動の拠点になる立地のホテルを選ぶと、巡拝の日程が組みやすくなります。ここでは、アクセスと眺望に定評のある3軒を取り上げます。
ANAクラウンプラザホテル神戸
IHGグループのホテルで、新幹線も停車する新神戸駅に直結しています。37階建てで、全客室が14階以上にあり、神戸の市街地や大阪湾を一望できます。三宮までは地下鉄で1駅のため、北野天満神社や生田神社、二宮神社へも出かけやすい立地で、神社巡りの拠点としておすすめです。
ホテルオークラ神戸
メリケンパークにそびえる地上35階建てのホテルで、JR元町駅から徒歩約10分です。三宮バスターミナルからは無料のシャトルバスが運行されており、中心部との行き来に困りません。海と山の景色が楽しめ、湊川神社や長田神社を回る日の宿としておすすめです。
神戸メリケンパークオリエンタルホテル
港に面した船のような外観が特徴で、全客室に海風を感じるバルコニーが付いています。JR元町駅から徒歩約15分で、三宮駅からは無料のシャトルバスが出ています。港の夜景を楽しみながら、翌日の神社巡りの計画を立てる滞在がおすすめです。
神戸の神社巡りを心に残る旅にするために
神戸の神社は、神功皇后の伝承から平清盛の福原遷都、震災からの復興まで、街の歴史と深く結びついています。縁結びの生田神社と氷室神社、勝運の弓弦羽神社や二宮神社、学問の北野天満神社と、願いごとに合わせて参拝先を選べるのが神戸の魅力です。
回り方としては、中心部の生田神社、三宮神社、二宮神社を歩いて巡り、翌日に東灘区の弓弦羽神社や保久良神社、兵庫区や長田区の神社へ向かう分け方が無理のない計画です。閉門や授与所の時間に余裕を持って動けば、御朱印も落ち着いて頂けます。
北野異人館街で洋館の街並みを歩いてから北野天満神社の高台に上り、夜は新神戸駅直結のANAクラウンプラザホテル神戸で神戸の夜景に包まれる一日は、神戸の神社巡りの魅力を一度に味わえる旅程としておすすめです。


