添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は、茨城県つくば市にあるJAXA筑波宇宙センターをご紹介します。
正門を入ると、全長約50mのH-IIロケットの実機が真っ先に目に入ります。展示館「スペースドーム」は入館無料で、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の実物大モデルにも入れます。予約制の有料ガイドツアーに参加すれば、宇宙飛行士の養成エリアや「きぼう」運用管制室まで足を延ばせます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | JAXA筑波宇宙センター(宇宙航空研究開発機構 筑波宇宙センター) |
| 営業時間 | 10:00〜17:00(見学受付は9:30〜16:30) |
| 定休日 | 不定休、年末年始(12月29日〜1月3日)、施設点検日など |
| 住所 | 〒305-8505 茨城県つくば市千現2-1-1 |
| アクセス | つくばエクスプレス「つくば駅」から関東鉄道バス「荒川沖駅」行きで「物質材料研究機構」下車、徒歩1分(つくば駅からタクシーで約10分) |
開館日・食事・ツアー予約の3つのポイント
筑波宇宙センターは、今も研究と運用が続く現役の施設です。一般的な観光施設とは勝手が少し違うため、見学前に押さえておきたい点を3つにまとめました。
開館日は不定休で、臨時休館もある
開館時間は10:00〜17:00で、見学受付は9:30〜16:30です。休館日は不定休、年末年始(12月29日〜1月3日)、施設点検日などで、日によって変わります。業務の都合で臨時休館になったり、見学ツアーが中止になったりすることもあります。休館日は、JAXAが公開している開館カレンダーに載っています。
ロケット広場、展示館「スペースドーム」(説明員による無料の展示館ガイドを含む)、プラネットキューブ(企画展示・ミュージアムショップ)は予約が不要です。開館日であれば、受付で手続きをせずに自由に入れます。
食堂とコンビニは平日の昼だけ
敷地内の食堂とコンビニは、どちらも平日のみの営業で、一般の利用時間は12:30〜13:30です。土曜・日曜・祝日と休館日には使えないため、週末は館内で食事をとる場がありません。見学の前後に、つくば駅周辺などで食事を済ませる計画になります。
見学エリアは敷地の一部に限られる
自由に入れるのは、正門から入って左手側の見学エリアだけです。研究棟や運用施設の内部に入れるのは、予約制の有料ガイドツアーに参加した場合に限られます。ツアーは、インターネットで予約する完全予約制です。
研究学園都市に1972年に生まれた宇宙開発の拠点
約53万㎡の敷地で進む研究と運用
筑波宇宙センターは、筑波研究学園都市の一角にあり、1972年に宇宙開発の拠点として開設されました。敷地面積は約53万㎡で、日本で最大規模の宇宙開発拠点です。人工衛星やロケットの研究開発、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟の運用、宇宙飛行士の養成など、日本の宇宙開発の中心にあたる業務が、同じ敷地の中で進められています。
H-IIロケットが正門脇に立つ理由
正門近くのロケット広場に立つH-IIロケットは、かつて地上試験用に造られた本物の機体です。全長は約50m、重さは約260t、直径は約4mあります。宇宙へ向かう輸送手段の実機を、間近で見上げられる貴重な展示です。
入館無料で見学できるロケット広場とスペースドーム
ロケット広場で見上げる50mの実機
正門を入ってすぐの広場に、H-IIロケットの実機が展示されています。全長約50mの本物の機体は、見学の第一歩として記念撮影の場所になっています。
スペースドームの12の展示
展示館「スペースドーム」は、日本の宇宙開発の歩みと現在の取り組みを、12の展示に分けて紹介しています。主な展示は次のとおりです。
- ドリームポート:100万分の1スケールの地球が出迎える入口の展示
- 大型LEDカーブビジョン:2025年の大阪・関西万博で展示された、幅10m、高さ3mの高精細ディスプレイ
- 人工衛星による宇宙利用:データ中継技術衛星「こだま」の試験モデルや、技術試験衛星「きく」シリーズ、陸域観測技術衛星「だいち」の試験モデルなど
- 未来をひらく人工衛星:超低高度衛星技術試験機「つばめ」や、水気候変動観測衛星「しきさい」
- 有人・宇宙環境利用:「きぼう」日本実験棟の実物大モデルと、宇宙ステーション補給機「こうのとり」の試験モデル
- ロケット・輸送システム:燃焼試験で使われた本物のLE-7AとLE-5ロケットエンジン、1/20スケールのロケットモデル
- 宇宙科学研究・月惑星探査:月周回衛星「かぐや」の試験モデル
中でも「きぼう」の実物大モデルは、宇宙飛行士が実際に使う実験棟と同じ大きさで、内部の空気感を体感できる展示です。
説明員の展示館ガイドと音声ガイド
スペースドームの中だけを巡る無料のガイドもあります。JAXAの公式サイトでは「説明員による展示館ガイドを随時実施しています」と案内されており、JAXAの宇宙開発の歴史や楽しい小ネタなどを、展示エリアごとに説明員が解説します。参加費は無料で、予約は不要です。有料の見学ツアーとは別の枠で、ツアーに申し込まなくてもスペースドームの展示を説明つきで回れます。
実施時間は10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00の1日6回です。業務の都合により、説明が中止になったり、時間や内容が一部変わったりする場合もあり、当日の状況は展示館入口の案内板に掲示されます。気軽に参加できる解説として、展示の背景をつかんでから自由見学に移る流れが取りやすい仕組みです。
各展示コーナーにはQRコードが掲示されており、スマートフォンで読み取ると、日本語と英語の音声ガイドが聞けます。
入館料とガイドツアーの料金
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 入館料(ロケット広場・スペースドーム・プラネットキューブ) | 無料 |
| 展示館ガイド(スペースドーム内・説明員による解説) | 無料(予約不要) |
| ガイド付き見学ツアー(一般・18歳以上) | 500円(税込)※高校生(高等専門学校生)を除く |
| ガイド付き見学ツアー(高校生以下・18歳未満) | 無料 |
予約制のガイド付き見学ツアーで入る宇宙飛行士養成エリアと運用管制室
ガイド付き見学ツアーは、普段は入れない運用施設の内部へ、ガイドが添乗するバスで巡る約1時間10分のコースです。展示館とは別枠の体験で、通常コースの内容は次のとおりです。
宇宙飛行士養成エリア
宇宙飛行士養成棟は、宇宙飛行士の選抜から養成訓練、健康管理、そして宇宙での長期滞在に向けた宇宙医学研究までを担う場所です。宇宙に行ったときと同じ感覚になる6°ヘッドダウンベッドレストなどの展示を見られるほか、閉鎖環境適応訓練設備と低圧環境適応訓練設備を、ガラス越しに見学できます。
「きぼう」運用管制室
「きぼう」運用管制室は、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟を正常な状態に保ちながら、実験の運用や宇宙飛行士の支援を24時間体制で行う場所です。宇宙ステーションの映像やデータを常に監視し、実験装置のリモート操作や、宇宙飛行士との交信を行う現場を、ガラス越しに見学できます。
開催時間と英語ガイドの回
個人での参加は、平日・休日とも11:30と15:00の2回で、各回の定員は40名です。毎週木曜日の11:30の回は英語ガイド専用で、英語での案内でも問題なければ、どなたでも申し込めます。参加できるのは1人1日1回までです。
当日は、広報・情報棟(E-2)の見学案内受付で、予約番号と本人確認書類を提示して手続きします。ツアーの内容は小学校高学年以上を想定したもので、展示館「スペースドーム」の案内は含まれません。個人向けの予約は、ツアー開始の1時間前に締め切られます。
見学日によって内容が変わる場合や、都合により一部の見学ができない場合があるほか、ツアー自体が休止になることもあります。
ロケット打上げ音響体験と特別公開
視聴覚室で聞くロケット打上げの音
土曜・日曜・祝日に不定期で、視聴覚室を会場にした「ロケット打上げ音響体験」が開かれます。約10分間のプログラムで、各回50名、参加は自由で無料です。開催のない日もあります。
近年は毎年開かれる特別公開
筑波宇宙センターでは、近年、毎年のように特別公開の日が設けられています。入場は無料で、職員が仕事を語るトークや、宇宙探査をテーマにしたプロジェクションマッピングなど、年ごとに企画が並びます。普段の見学エリアを越えた敷地内の施設を、会場として使うイベントです。
社員食堂とミュージアムショップ
一般も利用できるJAXAの社員食堂
食堂は平日のみ、12:30〜13:30に一般の利用を受け付けています。利用の前に、広報・情報棟ロビーの受付で手続きをして「食堂利用者証」を受け取り、1人ずつ身につけます。混雑時は利用までに待ち時間が出る場合があります。支払いは、交通系電子マネーやQRコード決済、クレジットカードなどに対応しています。
10名以上の団体は、利用予定日の2週間前までに申し込む事前予約制で、利用時間は12:50〜13:30です。 コンビニも平日のみで、利用時間は食堂と同じ12:30〜13:30です。
プラネットキューブの企画展示とグッズ
プラネットキューブには、宇宙に関するその時々のトピックを紹介する企画展示スペースと、JAXAや宇宙に関連したグッズを扱うミュージアムショップが入っています。展示館を見終えたあとに、お土産を選ぶ場所として使われています。
車いす・ベビーカーと授乳室
スペースドーム内は、車いすとベビーカーのまま見学できます。盲導犬、介助犬、聴導犬は一緒に入場できます。オストメイト対応トイレ、授乳用ベンチとおむつ交換台も用意されています。
筑波宇宙センターへのアクセス
電車とバスで行く
つくばエクスプレス「つくば駅」からは、関東鉄道バス「荒川沖駅」行きに乗り、「物質材料研究機構」で下車して徒歩1分です。JR常磐線「荒川沖駅」からは、関東鉄道バスの「筑波大学中央」行きまたは「つくばセンター」行きに乗り、同じく「物質材料研究機構」で下車します。タクシーの所要時間は、つくば駅から約10分、荒川沖駅から約15分です。
東京駅から高速バスで行く
東京駅八重洲南口から「筑波大学」行きまたは「つくばセンター」行きの高速バスに乗り、「並木一丁目」で下車すると、徒歩1分で着きます。
車で行く場合と駐車場
常磐自動車道の桜土浦ICからは約3.5km、約7分です。圏央道のつくば中央ICからは約6.4km、約12分かかります。見学者用の駐車場は50台分あります。カーナビは、住所の「茨城県つくば市千現2-1-1」で検索します。電話番号で検索すると、正門以外の場所に案内されることがあるためです。
土日祝に走るつくばサイエンスツアーバス
土曜・日曜・祝日には、つくばセンターのバスターミナルから、つくば市の研究機関などを巡る「つくばサイエンスツアーバス」も運行されています。
筑波宇宙センター周辺の観光スポット
筑波宇宙センターの周辺には、科学を題材にした施設が集まっています。見学のあとに足を延ばすと、つくばの「科学の街」らしさをさらに味わえます。
地質標本館
産業技術総合研究所の地質標本館は、日本の地質、地下資源、海洋の地質、火山と地熱、地震と活断層などを、テーマごとに展示する博物館です。展示は地球の歴史から身近な鉱物まで幅広く、地質の視点で日本列島を知ることができます。宇宙とは違う角度から、地球の成り立ちに触れたい方におすすめです。
つくばエキスポセンター
つくば駅から徒歩約5分にあるつくばエキスポセンターは、体験型の展示が並ぶ科学館です。プラネタリウムや科学実験の展示など、宇宙や科学を体感できる内容です。筑波宇宙センターの見学とあわせて、宇宙の話題を一日じっくり楽しみたい方におすすめです。
筑波実験植物園
国立科学博物館の筑波実験植物園は、国立科学博物館が運営する、植物の多様性をテーマにした植物園です。宇宙の展示で頭をいっぱいにした一日の締めくくりに、緑の中をゆっくり歩くプランとして取り入れるのがおすすめです。
つくば駅周辺の宿泊施設
筑波宇宙センターは、つくば駅からタクシーで約10分の距離にあります。駅の周辺に泊まれば、バスやタクシーで気軽に向かえます。ここでは、つくば駅周辺の3軒を紹介します。
ホテル日航つくば
つくば駅A3出口から徒歩2分、バスターミナルのすぐそばにあるシティホテルです。本館は11階建て、別館は5階建てで、客室は全164室あります。本館2階にはレストラン「セリーナ」があり、朝はモーニングブッフェを楽しめます。2020年4月に現在の名称に変わりました。バスの乗り場に近く、筑波宇宙センター行きの路線へスムーズに乗れるので、見学を朝一番から始めたい方におすすめです。
ダイワロイネットホテルつくば
つくばエクスプレスのつくば駅A5出口から徒歩約1分、客室数240室の駅前ホテルです。商業施設「トナリエつくば」がすぐ近くにあり、北千住や秋葉原へも電車で直通できます。選べる枕と、全室に備わるフランスベッドが特徴です。駅の目の前なので、荷物を預けて身軽に筑波宇宙センターへ出かけたい方に向いています。
ホテルJALシティつくば
つくば駅A3出口から徒歩約8分、つくば国際会議場に隣接するホテルです。フロント前には、客が自由に取れるアメニティが並んでいます。2020年4月に現在の名称へリブランドされました。国際会議場の周辺は緑の遊歩道が続き、静かな環境で滞在したい方におすすめです。
まとめ
筑波宇宙センターは、入館無料で予約不要の展示館とロケット広場だけでも、半日を過ごせる見応えがあります。さらに、予約制の有料ツアーで宇宙飛行士の養成エリアと「きぼう」運用管制室に入れば、日本の宇宙開発の現場を一歩深く知れます。食堂とコンビニは平日の12:30〜13:30に限られるため、昼食の時間帯を意識すると、一日の流れが組み立てやすくなります。
見学のあとは、つくばエキスポセンターや地質標本館へ足を延ばし、科学の街をじっくり巡るのが定番の楽しみ方です。1日では回りきれない見どころの多さを考えると、つくば駅から徒歩2分のホテル日航つくばに泊まり、翌朝のバスで余裕を持って筑波宇宙センターへ向かう一泊二日の旅を、ぜひ計画してみてください。
