奈良県葛城市にある「道の駅かつらぎ」は、2016年11月3日にオープンした国土交通省選定の重点道の駅です。南阪奈道路の葛城ICから車でわずか1分というアクセスの良さに加え、奈良県内でも最大級の広さを誇る施設として、連日多くの来訪者で賑わっています。
道の駅かつらぎの最大の魅力は、その充実した施設構成です。地元の新鮮野菜や特産品が並ぶ農産物直売所、多彩なメニューが楽しめる複数のレストラン、子どもたちが木のぬくもりに触れられる木育スペースなど、訪れる人々のさまざまなニーズに応える設備が整っています。
周辺には二上山や當麻寺といった観光スポットも点在しており、ドライブの休憩地点としてだけでなく、奈良観光の拠点としても活用できます。この記事では、道の駅かつらぎの魅力を余すことなくお伝えします。
道の駅かつらぎが抱える課題
道の駅かつらぎを訪れる際に知っておきたいのが、一部店舗の閉店状況です。2025年5月31日をもって、フードコート内の人気ベーカリー「サントルドゥ・ヴィラージュ(Centre de Village)」が閉店しました。本格的なフランス風のパンで人気を集めていましたが、現在は営業していないため注意が必要です。
また、道の駅かつらぎの営業時間は季節によって変動します。夏季(3月〜10月)は各店舗が19時まで営業していますが、冬季(11月〜2月)は18時までと短縮されます。特に冬場に訪れる予定の方は、早めの時間帯に到着するよう計画を立てることをおすすめします。
充実のフードコートで地元グルメを堪能
道の駅かつらぎのフードコートには、地元の食材を活かした魅力的な飲食店が集結しています。それぞれの店舗が独自の特色を持ち、訪れる人々に多彩な味わいを提供しています。
健康からだ食堂
健康からだ食堂は、セルフサービス形式で健康志向のメニューを提供するレストランです。最大の特徴は、地元葛城産の新鮮な野菜をふんだんに使った料理の数々。テレビ番組でも紹介された「健康おばんざい定食」は、複数の小鉢が選べるスタイルで、バランスの取れた食事を手頃な価格で楽しめます。
他にも大和ポークを使ったカツ丼やローストビーフ丼、うどんやラーメンなど、メニューのバリエーションが豊富です。定期的に開催される「丼の日」では、通常よりもお得な価格で丼ものを提供しており、リピーターから人気を集めています。新メニューも頻繁に追加されるため、何度訪れても新しい発見があるレストランです。
葛城茶房フォレストカフェ
フォレストカフェは、店内工房で手作りされる本格ジェラートが自慢のカフェです。特に人気なのが「酒粕ミルクジェラード」。梅の宿酒造の吟醸酒粕と奈良県産の低温殺菌牛乳を使用した、大人の味わいが楽しめる逸品です。お酒の芳醇な香りと濃厚な牛乳のコクが絶妙にマッチしています。
朝の時間帯には洋食プレートも提供しており、ドライブの途中でブランチを楽しむのにも最適です。店内は明るく開放的な雰囲気で、カフェメニューも充実しています。二上山ハイキングの後の休憩や、買い物の合間のティータイムにぴったりの空間です。
寺口ファーム
寺口ファームは地元農家が運営するテナントショップで、健康志向の軽食を提供しています。看板メニューの「桑の葉ソフトクリーム」は、糖の吸収を抑える効果があるとされる桑の葉を使用した健康志向のスイーツです。他にも「ネギコロッケ」や「菊芋茶」など、地元で採れた食材を活かした商品が並びます。
菊芋に含まれるイヌリンも糖分の吸収を抑える成分として注目されており、健康に気を遣う来訪者から支持を集めています。ランチメニューやバーガーなどの軽食もあり、手軽に地元の味を楽しめるスポットです。
M’s 吉保
M’s 吉保は、地元で人気の鉄板焼き店「吉保」の支店です。長年培われた鉄板焼きの技術と秘伝のソースが生み出す料理は、多くのファンを魅了しています。人気メニューは「ホルモン焼きそば」で、ジューシーなホルモンと香ばしい焼きそばの組み合わせが絶品です。
ボリュームたっぷりの「吉保ランチ」も人気が高く、しっかりと食事を取りたい方におすすめです。鉄板で焼き上げられる料理の香りが食欲をそそり、ドライブで疲れた体にエネルギーを補給できます。
ダイニングHAKUHO
2025年6月21日に新しくオープンしたダイニングHAKUHOは、ちゃんこ定食やカレーが味わえる、フードコートの新しい顔となっています。
橋本商店
橋本商店では、ねり天や瓦そばなどのメニューを提供しています。地元の味を気軽に楽しめる店舗として、フードコートの選択肢を広げています。
農産物直売所で葛城の恵みを手に入れる
道の駅かつらぎの農産物直売所は、施設の中でも特に人気の高いエリアです。広々とした売り場は4つの主要コーナーに分かれており、それぞれが豊富な品揃えを誇っています。
野菜・果物・精肉・鮮魚コーナー
朝採れの新鮮野菜や旬の果物が並ぶこのコーナーは、地元農家が直接持ち込む商品が中心です。奈良県のブランド豚「大和ポーク」や県産米「ひのひかり」など、奈良県産の食材も充実しています。淡路岩屋漁港から直送される鮮魚も取り扱っており、山間部の道の駅でありながら新鮮な海の幸も手に入ります。
総菜・花・漬物コーナー
地元農産物を使った総菜が人気のコーナーです。特に評判なのが、あんこをたっぷり使用したおはぎと、地元特産のキュウリを縦半分まるごと使った巻き寿司。これらは道の駅かつらぎの名物として、多くのリピーターが買い求めています。
花売り場は道の駅かつらぎの隠れた名所です。葛城市は二輪菊の生産日本一を誇る地域で、ここで販売される花は日持ちが良いと評判です。県外からも花を目当てに訪れる人がいるほど、品質の高さで知られています。
おみやげ品コーナー
奈良県の特産品や葛城市ならではの商品が揃うコーナーです。後述する桑の葉加工商品やまと当帰葉加工商品など、健康志向の商品が充実しています。県内の銘酒や伝統工芸品も取り扱っており、奈良土産を一カ所で揃えることができます。
工芸品コーナー
地元の工芸作家たちが制作した竹細工、布小物、靴下などが並ぶコーナーです。手作りの温もりが感じられる商品は、ユニークなお土産としても人気があります。大量生産品にはない個性と品質が魅力です。
道の駅かつらぎの特産品・お土産
道の駅かつらぎでは、葛城市や奈良県の特産品を活かした独自のお土産商品を販売しています。健康志向の商品が多いのも特徴です。
桑の葉加工商品
葛城市の名産である桑の葉を使った商品群は、道の駅かつらぎを代表するお土産です。桑の葉に含まれるデオキシノジリマイシンという成分には、糖の吸収を抑制する効果があるとされ、健康に気を遣う方々から注目を集めています。
商品ラインナップは「桑の葉粉末茶」「桑の葉ドレッシング」「桑の葉かりんとう」など多岐にわたり、新商品も続々と開発されています。フードコートの寺口ファームでは「桑の葉ソフトクリーム」を実際に試食できるため、購入前に味を確認することも可能です。
やまと当帰葉加工商品
奈良県は古くから漢方薬の産地として知られており、中でも「大和当帰」は高品質な薬用植物として珍重されてきました。当帰は婦人薬などに使われる漢方の成分で、その根は生薬として、葉は健康食品として活用されています。
道の駅かつらぎでは、「やまと当帰葉ハーブソルト」「やまと当帰飴」「やまと当帰入り葛湯」など、大和当帰を使った加工商品を販売しています。独特の香りと健康効果を併せ持つこれらの商品は、健康志向のお土産として人気があります。
純米吟醸酒・葛城の郷
「純米吟醸・葛城の郷」は、幻の酒米「露葉風」を使用した吟醸酒です。露葉風は現在では奈良県でしか栽培されていない希少な酒米で、香り高い酒米として高い評価を受けています。
二上山麓で栽培された露葉風を、地元の名門酒蔵「梅の宿酒造」の蔵人が丹念に仕込んで完成させた逸品です。フレッシュな香りとフルーティーな味わいが特徴で、食前酒としても楽しめる上品な味わいです。奈良の地酒として、日本酒好きな方への贈り物にも最適です。
家族で楽しめる木育交流棟
道の駅かつらぎの敷地内には、「木育交流棟」と呼ばれる施設があります。ここは観光情報の提供だけでなく、子どもたちが木の温もりに触れられる特別なスペースとして機能しています。
木育スペースでは、木製のおもちゃで遊べるコーナーが設けられており、小さな子ども連れの家族に人気です。木のボールプールをはじめ、さまざまな木製遊具が用意されています。木の香りと温もりに包まれた空間は、子どもだけでなく大人も癒される心地よい環境です。
また、木育交流棟では近隣の観光スポットの紹介やイベント情報も提供しています。道の駅かつらぎを起点に周辺を巡る計画を立てる際に、有用な情報を得ることができます。授乳室やおむつ交換台も完備されているため、乳幼児連れでも安心して利用できます。
道の駅かつらぎ周辺の観光スポット
道の駅かつらぎの周辺には、魅力的な観光スポットが点在しています。道の駅での休憩と合わせて、奈良の歴史と自然を満喫できます。
二上山でハイキングを楽しむ
二上山は、雄岳(標高517m)と雌岳(標高474m)の二つの峰からなる双耳峰で、奈良県と大阪府の県境に位置しています。万葉集にも詠まれた歴史ある山で、古くから信仰の対象とされてきました。
登山道は奈良側・大阪側の両方から整備されており、初心者でも気軽に登山を楽しめます。奈良側の当麻寺駅から出発するルートでは、道の駅「ふたかみパーク當麻」を基点とした周遊コースがあり、歩行時間は約2時間、標高差は約400メートルと手頃な規模です。
山頂からは奈良盆地と大阪平野を一望でき、晴れた日には明石海峡大橋まで見渡せる絶景が広がります。春は桜、初夏はササユリ、秋は紅葉と、四季折々の自然を楽しめるのも二上山の魅力です。ハイキング後は道の駅かつらぎで休憩し、地元グルメで疲れを癒すのがおすすめのコースです。
當麻寺で歴史と文化に触れる
當麻寺は、推古天皇20年(612年)に創建されたと伝わる古刹で、中将姫伝説で知られる奈良を代表する名刹です。境内には国宝指定の本堂(曼荼羅堂)、東塔、西塔をはじめ、多数の重要文化財が保存されています。
特に注目すべきは、中将姫が一夜で織り上げたとされる「當麻曼荼羅」です。本堂内の国宝の厨子に納められており、壮麗な極楽浄土の世界が表現されています。金堂では白鳳時代の仏像群、講堂では平安時代から鎌倉時代の仏像を拝観でき、時代ごとの仏教美術を比較しながら鑑賞できます。
当麻寺駅から徒歩約15分とアクセスも良好です。境内の散策は無料ですが、本堂、金堂、講堂の三堂を拝観する場合は拝観料が必要です。春には牡丹が見事に咲き誇り、「當麻の里ぼたん祭り」も開催されます。道の駅かつらぎから車で数分の距離にあるため、合わせて訪れることをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 拝観時間 | 9:00〜17:00 |
| 三堂拝観料(本堂・金堂・講堂) | 大人500円、小学生250円 |
| 境内散策 | 無料 |
| アクセス | 近鉄南大阪線「当麻寺駅」から徒歩約15分 |
道の駅かつらぎの基本情報とアクセス
道の駅かつらぎは24時間利用可能な駐車場とトイレを完備しており、いつでも休憩施設として利用できます。各店舗の営業時間は季節によって異なるため、訪問前に確認することをおすすめします。
営業時間
| 施設 | 夏季営業時間(3月〜10月) | 冬季営業時間(11月〜2月) |
|---|---|---|
| 農産物直売所 | 9:00〜19:00 | 9:00〜18:00 |
| フォレストカフェ | 9:00〜19:00 | 9:00〜18:00 |
| レストラン | 11:00〜19:00(LO 18:30) | 11:00〜18:00(LO 17:30) |
| 木育交流棟 | 10:00〜17:00 | 10:00〜17:00 |
| 駐車場・トイレ | 24時間 | 24時間 |
車でのアクセス
大阪方面から 南阪奈道路の葛城ICを降りてすぐという抜群の立地です。IC出口の次の信号で右折してUターンするか、右折後に直進して道の駅「かつらぎ」の看板に従って右折すれば、駐車場に到着します。ICから所要時間は約1分です。
奈良方面から 高田バイパスを利用し、葛城市街地から約3分の距離です。葛城市街の降り口からまっすぐ進み、大田南交差点を通過します。南阪奈道路の入口手前を左折すると、道の駅かつらぎの駐車場にアクセスできます。
公共交通機関でのアクセス
最寄り駅は近鉄南大阪線の「磐城駅」「近鉄新庄駅」または「尺土駅」ですが、各駅から徒歩で約30分かかります。そのため、葛城市コミュニティバス(れんかちゃん号)の利用がおすすめです。
葛城市コミュニティバスは1日100円で乗り放題という驚きの料金設定で、「道の駅かつらぎ停留所」で下車すればすぐに施設に到着します。電車で訪れる場合は、時刻表を事前に確認しておくとスムーズです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 道の駅かつらぎ |
| 住所 | 〒639-2153 奈良県葛城市太田1257 |
| 電話番号 | 0745-48-1147 |
| 定休日 | 年中無休(ただし1月1日〜3日は臨時休業) |
| 駐車場 | 普通車102台 |
| 公式サイト | https://michinoeki-katsuragi.jp/ |
道の駅かつらぎで奈良の魅力を満喫しよう
道の駅かつらぎは、奈良県の魅力が凝縮された複合施設です。地元の新鮮な農産物、健康志向の特産品、多彩なグルメ、そして家族で楽しめる木育スペースまで、訪れる人々のさまざまなニーズに応えています。
南阪奈道路の葛城ICから1分という優れたアクセスと、24時間利用可能な駐車場・トイレという利便性の高さも魅力です。二上山ハイキングや當麻寺参拝など、周辺観光の拠点としても最適な立地にあります。
季節ごとに変わる旬の野菜や果物、期間限定のイベント、そして新しくオープンした店舗など、訪れるたびに新しい発見がある道の駅かつらぎ。奈良県を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。地元の人々の温かいおもてなしと、葛城の豊かな恵みが、きっと素敵な思い出を作ってくれるはずです。
