添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は大分県別府市のシンボル的存在である別府タワーをご紹介します。2023年にリニューアルオープンを果たし、昭和の面影を残しながら最新の魅力を備えたこのタワーは、温泉地別府を訪れる際に必見のスポットです。
2023年のリニューアルで蘇った歴史的価値
別府タワーは1957年に完成した高さ100メートルの観光塔です。2022年から2023年にかけて大規模改修が実施され、2023年1月27日にリニューアルオープンしました。この改修により、タワーの高さが90メートルから建設当初の100メートルに復元され、外観も竣工当時と同じグレーカラーに塗り替えられました。
リニューアルに伴い、展望台は16階と17階の2フロア構成となり、「海と山と湯のまち展望台」として生まれ変わりました。また、5階には芝生を敷き詰めた「キタハマデッキ」が新設され、2階には別府アートミュージアムが加わるなど、見どころが大幅に増えています。
夜間には日本夜景遺産に認定されたライトアップが実施され、別府の夜を彩る新たな観光資源となっています。国の登録有形文化財にも指定されているこのタワーは、別府観光において外せない存在です。
「塔博士」内藤多仲が設計したタワー6兄弟の三男坊
別府タワーの歴史を語る上で欠かせないのが、設計者である内藤多仲博士の存在です。内藤博士は「塔博士」として知られる早稲田大学名誉教授で、戦後日本の鉄骨構造タワー建築を数多く手がけました。
内藤博士が設計した6つのタワーは「タワー6兄弟」と呼ばれています。1954年完成の名古屋テレビ塔を長男として、1956年の通天閣が次男、1957年の別府タワーが三男、同年のさっぽろテレビ塔が四男、1958年の東京タワーが五男、そして1964年の博多ポートタワーが末っ子です。


別府タワーは日本で3番目に建てられた高層タワーとして、歴史的にも重要な位置を占めています。東京タワー完成の1年前に誕生したこのタワーは、内藤博士の技術力と建築美学を体現した作品です。
別府温泉観光産業大博覧会の目玉施設として誕生
別府タワーが建設された背景には、1957年3月20日から開催された別府温泉観光産業大博覧会があります。この博覧会の目玉施設として構想され、地元の財界人らが設立した別府観光開発株式会社が当時の金額で2億8,000万円を投じて建設しました。
資金繰りの関係で工事が遅れ、タワーの完成は博覧会の閉幕直前の1957年5月10日となりました。しかし、完成時には従業員募集に約4,000人もの希望者が訪れ、当時の北小学校を3、4周するほどの列ができたというエピソードが残っています。
1960年代から1970年代前半にかけては別府観光の全盛期で、年間100万人もの観光客と修学旅行生がタワーに上りました。タワー内のレストランでは1日4,000食を提供するほどの賑わいを見せ、別府のシンボルとして確固たる地位を築きました。
経営危機を乗り越えた復活の歴史
1970年代に入ると、隣接する国道10号の拡幅工事により敷地の一部が削られ、入場者数が減少し始めました。1987年には大きな収入源だった広告ネオンサインの契約が打ち切られ、経営危機に陥り解体撤去も検討されるまでとなりました。
しかし、1988年にタイホーレジャーグループ(後に開世通商株式会社、現カイセイ地所トラスト株式会社)が会社を買収し、解体を免れました。2007年10月2日には国の登録有形文化財に登録され、2021年3月には現在の運営会社であるカイセイ地所トラスト株式会社が別府タワーを買収し、大規模改修へと繋がりました。
360度パノラマビューが楽しめる展望台の魅力
地上55メートルの高さに位置する16階と17階の展望台「海と山と湯のまち展望台」では、360度のパノラマビューが楽しめます。別府市街はもちろん、別府湾、鶴見岳、国東半島、大分市の高崎山まで見渡すことが可能です。晴れた日には遠く四国まで望むことができます。
営業時間は9時30分から21時30分(最終入館21時)までで、年中無休です。地方の観光スポットとしては珍しく夜遅くまで営業しているため、昼間の景色と夜景の両方を楽しむことができます。
17階展望フロアの見どころ
17階は展望台の受付があるフロアで、「天空スクリーン 光のステージ」や「別府タワー神社」が設置されています。また、別府タワー竣工当時の設備類が展示されており、昭和30年代の別府の風景写真も見ることができます。
このフロアには「展望カフェ~湊~」があり、飲み物を購入して景色を眺めながらゆっくりと過ごすことが可能です。お土産品の販売コーナーもあり、別府タワー限定グッズが人気を集めています。特に別府タワーのマスコットグッズは記念品として多くの観光客に選ばれています。
16階展望フロアの特徴
16階は宇宙をイメージした「スペースファンタジー ギャラクシーウォーク」が設置されたフロアです。座席スペースはバーカウンター風になっており、ゆっくりと景色を楽しむことができます。
このフロアの座席には電源コンセントとUSB端子(USB type-A, DV 5V 2.4A)が設置されており、スマートフォンの充電が可能です。観光中にバッテリーが心配な方にとって、大変便利な設備となっています。
別府の温泉街を彩る湯けむりの風景

別府タワーの展望台から最も特徴的に見えるのが、温泉の湯けむりが立ち上る風景です。別府市は日本有数の温泉地で、市内各所から湯けむりが立ち上る様子を一望できます。
特に朝の時間帯や夕方には湯けむりが美しく見え、温泉地ならではの情緒ある景色が広がります。鉄輪温泉エリアからの湯けむりは特に迫力があり、別府が「泉都」と呼ばれる理由を体感できます。
日本夜景遺産に認定された幻想的なライトアップ

2023年のリニューアルに伴い、別府タワーのライトアップは大幅にレベルアップしました。鉄骨部分には様々な色でのライトアップが可能なLED照明が増設され、日本夜景遺産に認定されています。
夜間のライトアップは毎日実施され、時期やイベントに応じて様々なカラーリングが楽しめます。タワー自体が美しく照らされる様子は、別府の夜景の新たなシンボルとなっています。
展望台から眺める別府の夜景
夜の展望台からは、別府市街の夜景が宝石箱のように輝いて見えます。市街地の灯りと別府湾の暗闇のコントラストが美しく、デートスポットとしても人気を集めています。
座席やカウンター席が設置されているため、夜景をゆっくりと鑑賞することができます。21時30分まで営業しているため、食事の後に訪れて夜景を楽しむこともできます。
5階キタハマデッキで味わうタワーの迫力
5階屋上に新設された「キタハマデッキ~空と光のテラス~」は、芝生が敷き詰められた開放的な空間です。昼と夜で異なる表情を見せ、芝生の上でゆっくりとくつろぐことができます。
このデッキの最大の魅力は、別府タワーを間近で見上げることができる点です。100メートルのタワーを足元から見上げる迫力は、展望台とはまた違った感動を与えてくれます。「中間展望デッキ」も設置されており、外から景色を眺めることが可能です。
ただし、雨の日は5階が閉鎖されることがあるため、天候には注意が必要です。また、5階からの中間展望デッキは階段のため、車椅子の方は利用できません。
別府アートミュージアムで芸能人アートに触れる
2階には2022年3月19日にオープンした「別府アートミュージアム」があります。有名芸能人が制作した絵画作品などが展示されており、精巧な別府タワーのミニチュアも見どころの一つです。
映画「大怪獣ブゴン」の撮影で使用された別府タワーのミニチュアも展示されています。このミニチュアのネオンサインは実物と異なり、「Beppu」、「別府タワー」、「ようこそ別府」となっており、映画ファンにとって興味深い展示です。
営業時間は9時から17時まで(最終入館16時30分)で、展望台とのセット券が用意されています。展示品の一部は購入することもでき、アート作品を自宅に持ち帰ることも可能です。
タワーを支える建築技術と構造
別府タワーは鉄骨鉄筋コンクリート構造の建物の上に鉄骨構造の塔を組んだ設計となっています。秒速160メートルの台風にも耐えうる構造で、耐震性にも優れています。
タワー完成時の高さは100メートルでしたが、後にアンテナなどを取り外したため90メートルとなっていました。2022年から2023年にかけての大規模改修で避雷針を付け替え、建設当初の100メートルに復元されました。
この改修では展望台のガラスもすべて交換され、より安全で快適な観覧環境が整えられました。内藤多仲博士の設計思想を尊重しながら、現代の技術と安全基準を満たした改修が実現しています。
別府タワー入場料金と利用情報
別府タワーの入場料金は、展望台のみ、別府アートミュージアムのみ、またはセット券から選択できます。
| 区分 | 展望台 | 別府アートミュージアム | セット券 | キタハマデッキ |
|---|---|---|---|---|
| 大人 | 800円 | 1,000円 | 1,300円 | 200円 |
| 中学・高校生 | 600円 | 800円 | 1,000円 | 200円 |
| 4歳~小学生 | 400円 | 600円 | 700円 | 200円 |
| 3歳以下 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
団体(20名以上)の場合は割引料金が適用されます。障がい手帳をお持ちの方は、一律200円引き(団体の場合は100円引き)となります。別府アートミュージアムは最終入館が16時30分のため、両方を見学する場合は時間配分に注意が必要です。
駐車場は第1駐車場と第2駐車場があり、展望台または別府アートミュージアムを利用する場合は1時間無料です。5階キタハマデッキのみの利用では無料対象外となります。
アクセス情報と周辺環境

別府タワーは別府駅から徒歩約10分、別府ICから車で約15分の場所に位置しています。海沿いの国道10号線に面しており、アクセスは良好です。
公共交通機関でのアクセス
JR別府駅から徒歩の場合、駅前の通りを海側に向かって進み、国道10号線に出たら北方向(別府港方面)に進みます。別府タワーの高い姿が目印となり、迷うことなく到着できます。
バスを利用する場合は、大分交通または亀の井バスの「別府タワー前」停留所で下車すると、目の前が別府タワーです。「別府北浜」停留所やバスセンターからも徒歩約3分です。
車でのアクセスと駐車場
東九州自動車道別府ICから出て、県道11号を別府市街地方面に約3キロメートル直進します。所要時間は約5分です。別府タワーの敷地内に第1駐車場と第2駐車場があり、展望台または別府アートミュージアムを利用する場合は1時間無料です。
第1駐車場の隣にはセブンイレブンがあり、観光前後の買い物に便利です。満車の場合は第2駐車場を利用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 別府タワー |
| 営業時間 | 9:30~21:30(最終入館21:00) |
| 定休日 | 基本年中無休(メンテナンス時を除く) |
| 住所 | 大分県別府市北浜3丁目10番2号 |
| 電話 | 0977-26-1555 |
| アクセス | JR別府駅から徒歩約10分、別府ICから車で約15分 |
| 駐車場 | あり(展望台・ミュージアム利用で1時間無料) |
館内施設とフロアガイド

別府タワーは1階から17階まで、様々な施設が入った複合施設です。
1階
1階にはレストラン「CREOLE CAFE」があり、多国籍料理を提供しています。エントランスには券売機が設置されており、展望台チケットを購入できます。PayPayやau PAYなどのQRコード決済を利用する場合は、チケットを購入せずにエレベーターで17階に上がり、受付で決済することも可能です。
2階
2階には別府アートミュージアムとカイセイグループの本社事務所があります。ミュージアムの入場受付はこのフロアです。
3階
3階には「カプセルホステル別府タワー」があり、宿泊施設として営業しています。別府観光の拠点として利用することができます。
4階
4階には「カラオケ クイーンズエコー」があります。ハンモックの部屋、ステージ付きの部屋、坪庭のある和室など、多種多彩な部屋がある新感覚のカラオケ店で、翌5時まで営業しています。
5階
5階には「キタハマデッキ~空と光のテラス~」があります。芝生が敷き詰められた屋上テラスで、昼夜問わず開放的な空間を楽しめます。
16階・17階
16階と17階は「海と山と湯のまち展望台」です。17階に受付、展望カフェ、お土産コーナーがあり、両フロアで360度のパノラマビューを堪能できます。
合わせて訪れたい別府の観光スポット
別府タワー観光の前後に立ち寄りたい、周辺の魅力的なスポットをご紹介します。
的ヶ浜公園
別府タワーに隣接する的ヶ浜公園は、別府湾に面した美しい公園です。海を眺めながら散歩ができ、砂浜、噴水、和風庭園があります。別府タワーから見下ろす海とはまた違った魅力があり、タワー見学の後に立ち寄るのに最適です。
竹瓦温泉
別府駅から徒歩約8分の場所にある竹瓦温泉は、国の登録有形文化財に指定されている歴史ある共同浴場です。唐破風造りの屋根が特徴的な建物で、1879年(明治12年)に創設されました。普通浴と砂湯があり、別府の温泉文化を体験できます。
別府地獄めぐり
別府を代表する観光コース「地獄めぐり」は、別府タワーから車で約20分の鉄輪・亀川エリアにあります。海地獄、血の池地獄、龍巻地獄など、7つの地獄を巡ることができます。それぞれの地獄は異なる色や特徴を持ち、自然の力強さを感じることができます。
海地獄は約1,300年前の鶴見岳噴火によって誕生したコバルトブルーの熱泉で、国指定名勝です。温度は約98度あり、深さは200メートル以上といわれています。血の池地獄は酸化鉄を多く含む赤い熱泥の池で、こちらも国指定名勝です。龍巻地獄は間欠泉で、30分から40分ごとに105度の熱水が噴出します。
グローバルタワー
別府国際コンベンションセンター(ビーコンプラザ)内にあるグローバルタワーは、別府タワーと並ぶもう一つの展望タワーです。世界的建築家・磯崎新氏が設計した高さ125メートルのガラス張りのタワーで、地上100メートルの展望デッキからは別府市街や別府湾を一望できます。
日本夜景遺産に登録された夜景が美しく、セミオープンタイプの展望デッキは開放感があります。別府タワーとは異なる視点から別府の景色を楽しむことができ、2つのタワーを比較するのも興味深い体験です。
別府駅周辺の商店街
別府駅周辺には、駅前通り商店街、流川通り、楠銀天街など複数の商店街があります。レトロな飲み屋街や温泉街ならではの雰囲気を楽しめます。別府駅えきマチ1丁目別府では、別府や大分の名産品やお菓子が揃っており、お土産選びに最適です。
オンライン予約でスムーズに入場
別府タワーの展望台チケットは、オンラインで事前購入することができます。KKdayやアソビューなどのサイトから購入可能で、ポイントも貯まります。
事前購入の場合、当日はスマートフォンの画面を見せるだけでスムーズに入場でき、券売機での購入待ち時間を省くことができます。特に観光シーズンや週末には、事前購入がおすすめです。
KKdayでは別府タワーの展望台入場チケットを販売しており、予約時にポイントが貯まります。次回の旅行やアクティビティの予約にポイントを活用することができます。
アソビューでも別府タワーのチケットを取り扱っており、各サイト独自のポイント制度や割引キャンペーンがあります。利用するサイトのポイント制度を確認し、最もお得な方法で予約するとよいでしょう。
周辺のオススメ宿泊施設
別府タワー観光を満喫するなら、徒歩圏内の評価が高い宿泊施設に滞在するのがおすすめです。
ホテルアーサー KITAHAMA BASE
別府タワーから徒歩約10分、別府駅から徒歩約3分の好立地にある2024年リニューアルのホテルです。100%源泉掛け流しの天然温泉を備え、サウナ付きの大浴場が無料で利用できます。最上階の展望レストランでの朝食が人気で、別府湾を一望しながら食事が楽しめます。創業1913年の歴史を持ちながら、現代的な設備を備えたライフスタイルホテルとして生まれ変わりました。

別府温泉 ホテル三泉閣
別府タワーから徒歩約1分の最高の立地を誇る温泉ホテルです。2025年5月に全館リニューアルオープンし、シティホテルの快適さと伝統的な日本旅館の趣を融合させた和モダンな空間を提供しています。9階の展望デッキからは別府タワーを眼前に望むことができます。姉妹宿2施設の大浴場も無料で利用でき、温泉好きには理想的な宿です。

別府駅前 ホテルシーウェーブ別府
別府駅から徒歩約1分の船をイメージしたスタイリッシュなホテルです。源泉掛け流しの露天風呂と大浴場を完備し、ビジネスホテルの料金設定でありながら本格温泉を楽しめます。和洋折衷のバイキング朝食が好評で、宿泊者専用の駐車場も完備しています。別府タワーまでは徒歩約10分で、観光の拠点として最適です。

別府八湯 御宿 野乃別府
別府タワーから徒歩約6分の場所に位置するドーミーインチェーンの温泉旅館です。最上階の大浴場からは別府湾の絶景を眺めながら入浴でき、セルフロウリュウのサウナも完備しています。湯上りアイスや乳酸菌飲料のサービスがあり、別府八湯の天然温泉を気軽に楽しめます。和の雰囲気を大切にした館内で、旅館らしい寛ぎを提供します。

ホテルニューツルタ
別府タワーから徒歩約8分、的ヶ浜公園前に位置する老舗ホテルです。地上20メートルの展望浴場から別府湾を一望でき、日本情緒と西洋感覚がマッチした独特の雰囲気を持っています。楽天トラベルで4.0以上の高評価を獲得しており、温泉と景観の両方を楽しめる宿として人気です。

まとめ:昭和の歴史と令和の魅力が融合する別府のシンボル

別府タワーは1957年の完成以来、67年以上にわたって別府のシンボルとして愛され続けてきました。2023年のリニューアルにより、昭和レトロな雰囲気を残しながら、最新の展望設備と日本夜景遺産に認定されたライトアップを備えた観光スポットとして生まれ変わりました。
「塔博士」内藤多仲が設計したタワー6兄弟の一つとして歴史的価値を持ち、国の登録有形文化財にも指定されています。360度のパノラマビューから望む別府市街、別府湾、そして温泉の湯けむりが立ち上る風景は、他では見ることのできない別府ならではの絶景です。
展望台、別府アートミュージアム、キタハマデッキと多彩な施設を備え、昼は開放的な景色を、夜は宝石箱のような夜景を楽しむことができます。別府地獄めぐりや竹瓦温泉など、周辺の観光スポットと合わせて訪れることで、より充実した別府観光が実現します。
別府を訪れる際は、ぜひ別府タワーに立ち寄り、展望台から温泉地別府の全景を眺めてみてください。昭和の歴史と令和の魅力が融合したこのタワーは、忘れられない旅の思い出を提供してくれることでしょう。
