和歌山観光完全ガイド|白浜・高野山・熊野古道のモデルコースと見どころ

和歌山県 観光スポット特集
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和歌山県は、海と山の両方を満喫できる関西屈指の観光地です。白く輝く砂浜が続く南紀白浜、世界遺産に登録された霊場高野山、古からの参詣道である熊野古道、本州最南端の串本など、多彩な魅力が詰まっています。

関西圏からのアクセスも良好で、大阪から特急電車で約2時間半、車でも3時間程度で到着できます。南紀白浜空港を利用すれば、東京からわずか1時間のフライトで訪れることが可能です。温暖な気候に恵まれ、一年を通じて観光を楽しめるのも大きな魅力といえるでしょう。

目次

和歌山観光が抱える課題

和歌山県を訪れる観光客の多くが直面するのが、観光スポットの分散という問題です。白浜エリア、高野山エリア、熊野古道エリア、串本エリアはそれぞれ数十キロ離れており、効率的に回るには事前の計画が不可欠となります。

公共交通機関の本数も限られているため、レンタカーの利用が推奨されますが、山間部の運転に不慣れな方には負担となる場合があります。また、各施設の営業時間や定休日がバラバラで、せっかく訪れても見学できないといった事態も起こりがちです。

宿泊施設の選択も重要なポイントです。白浜温泉に連泊するか、高野山の宿坊に泊まるか、それとも熊野本宮温泉郷を選ぶかで、翌日の観光ルートが大きく変わってきます。

効率的に巡るモデルコースの提案

和歌山観光を最大限に楽しむには、目的とテーマを明確にしたモデルコースの設定が効果的です。ここでは、主要な3つのモデルコースをご紹介します。

南紀白浜満喫コース(1泊2日)

白浜エリアは和歌山観光の王道ルートです。美しい海岸線、温泉、動物園が一箇所に集まっており、家族連れからカップルまで幅広い層に人気があります。

1日目は午前中にアドベンチャーワールドを訪れ、多彩な動物たちとの触れ合いを楽しみます。園内は広大なため、4〜5時間は確保したいところです。午後は白良浜で海水浴やビーチ散策を満喫し、夕方には円月島の夕日を眺めます。夜は白浜温泉の温泉宿に宿泊し、地元の海の幸を堪能しましょう。

2日目は朝から千畳敷、三段壁を巡る絶景ツアーです。千畳敷では広大な岩盤の上を歩き、三段壁では断崖絶壁から打ち寄せる荒波を眺めることができます。三段壁洞窟まで降りて、熊野水軍の歴史に触れるのもおすすめです。午後はとれとれ市場で海産物のショッピングを楽しんでから帰路につきます。

南紀白浜では、明光バスが運行する1日〜3日間有効のフリーパスが便利です。白浜駅と主要観光スポットを結ぶ路線バスが乗り放題となり、レンタカーなしでも効率的に観光できます。

世界遺産巡礼コース(2泊3日)

高野山と熊野古道を巡る本格的な巡礼コースです。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をじっくりと体験できます。

1日目は南海高野線とケーブルカーを乗り継いで高野山へ。標高約800メートルの盆地に広がる寺院群は、まさに別世界の趣です。金剛峯寺では国内最大級の石庭「蟠龍庭」や狩野派の襖絵を鑑賞し、壇上伽藍では根本大塔や金堂を参拝します。夕方は奥之院まで足を延ばし、弘法大師御廟に詣でます。夜は宿坊に宿泊して、精進料理と朝のお勤めを体験しましょう。

2日目は高野山から龍神温泉を経由して熊野本宮大社へ向かいます。熊野本宮温泉郷に宿泊し、温泉で旅の疲れを癒やします。世界遺産に登録されている湯の峰温泉の「つぼ湯」は、世界で唯一入浴できる世界遺産として知られています。

3日目は熊野古道の中辺路ルートを歩きます。初心者には大門坂から熊野那智大社までの約2.5キロメートルのコースがおすすめです。苔むした石畳と杉並木の参道は、古の巡礼者たちの思いが感じられる神聖な空間です。熊野那智大社を参拝した後は、日本一の落差133メートルを誇る那智の滝へ。滝のそばまで近づいて、その迫力を体感できます。

串本・紀伊半島最南端コース(1泊2日)

本州最南端の串本を中心に、豊かな海の自然を満喫するコースです。

1日目は串本海中公園からスタートします。日本初の海中公園として知られ、水族館では約500種5,000点の海洋生物を展示しています。特に24メートルの水中トンネルは圧巻で、サメやエイが頭上を泳ぐ姿を間近で観察できます。海中展望塔では、水深約6メートルの海底世界をガラス越しに覗くことができ、ラムサール条約に登録された串本の海の豊かさを実感できるでしょう。

午後は橋杭岩を訪れます。海岸から約850メートルにわたって一列に並ぶ奇岩群は、国の名勝・天然記念物に指定されています。弘法大師が一夜で作り上げたという伝説も残る不思議なスポットです。日の出の名所としても有名で、岩の間から朝日が昇る光景を見ることができ、多くのカメラマンが早朝から訪れます。岩のシルエットと朝日のコントラストが作り出す景色は、神々しい雰囲気に満ちています。

夕方は潮岬へ。本州最南端の岬に立つと、水平線が丸く見える雄大なパノラマが広がります。潮岬観光タワーでは「本州最南端訪問証明書」を発行してもらえるので、記念に入手してはいかがでしょうか。

2日目は串本周辺でマリンアクティビティを体験するのもおすすめです。ダイビングやシュノーケリング、釣りなど、黒潮の恵みを受けた豊かな海を存分に楽しめます。

南紀白浜の必見スポット

白良浜

南紀白浜の象徴ともいえる白良浜は、約620メートルにわたって真っ白な砂浜が続く関西屈指のビーチリゾートです。砂浜の砂は90%の珪酸を含む石英砂で、サラサラとした感触が特徴です。

ハワイのワイキキビーチと友好姉妹浜の関係にあり、南国ムード満点の雰囲気を楽しめます。浜辺にはヤシの木が立ち並び、青い海と白い砂浜のコントラストが美しい景観を作り出しています。

海水浴シーズンには毎年約60万人以上が訪れ、関西一のビーチリゾートとして賑わいます。夏には白浜花火大会が開催され、冬の12月から2月にかけてはイルミネーションイベント「白砂のプロムナード」が実施されるなど、一年を通じて楽しめるスポットです。

砂浜に隣接して水着着用の混浴露天風呂があり、夏は温泉に浸かりながら海を眺め、冬は足湯スポットとして利用できます。温泉と海水浴を同時に楽しめるという、白浜ならではのユニークな体験が可能です。

基本情報

項目内容
施設名白良浜海水浴場
住所和歌山県西牟婁郡白浜町864
海水浴期間5月3日〜8月31日(2025年)
アクセスJR白浜駅からバスで約15分「白良浜」下車すぐ
駐車場周辺に有料駐車場あり
問い合わせ南紀白浜観光協会 0739-43-5555

千畳敷

千畳敷は、その名の通り広大な岩盤が畳を敷き詰めたように連なる景勝地です。瀬戸崎の先端に位置し、柔らかい砂岩からなる大岩盤が長い年月をかけて波に浸食され、複雑で独特な地形を形成しています。

第三紀層の白く柔らかい岩は、太平洋に向けてスロープ状に突き出しており、その上を歩いて海の近くまで行くことができます。足元の岩には波の浸食によって作られた様々な模様が見られ、自然の造形美を間近で観察できるのが魅力です。

強風が吹くことがあるため、訪れる際は足元に十分注意が必要です。特に海に近い場所では波しぶきがかかることもあるので、滑りにくい靴を履いていくことをおすすめします。

千畳敷は「和歌山の夕陽100選」に選ばれており、夕暮れ時には太平洋に沈む夕日が岩盤を朱色に染め上げる幻想的な光景が広がります。撮影スポットとしても人気が高く、多くのカメラ愛好家が訪れます。

基本情報

項目内容
施設名千畳敷
住所和歌山県西牟婁郡白浜町2927-72付近
見学時間自由
入場料無料
アクセスJR白浜駅からバスで約20分「千畳口」下車徒歩5分
駐車場無料駐車場あり(約20台)
問い合わせ白浜町観光課 0739-43-6588

三段壁

三段壁は、高さ50メートルを超える断崖絶壁が約2キロメートルにわたって続く壮大な景勝地です。千畳敷とともに「和歌山の夕陽100選」に選ばれており、展望台からは岩肌に激しく打ち寄せる大迫力の荒波を眼下に見ることができます。

三段壁の最大の見どころは、地下36メートルに広がる三段壁洞窟です。エレベーターで洞窟内に降りると、平安時代に栄えた熊野水軍が船を隠したと伝えられる広大な空間が現れます。洞窟内には当時の様子を再現した番所小屋が設置されており、水軍の歴史を肌で感じることができます。

洞窟の奥には、鉱山の縦穴跡や牟婁大辯財天が祀られています。牟婁大辯財天は水の神様として信仰を集めており、海上安全や航海の無事を祈願する参拝者が絶えません。

洞窟内は波の浸食によって作られた自然の造形物が数多く見られ、荒波が洞窟に打ち寄せる様子は迫力満点です。照明で演出された洞窟内部は神秘的な雰囲気に包まれ、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚を味わえます。

2016年には「恋人の聖地」に選定され、展望台付近にはハート型のモニュメントが設置されています。カップルでの記念撮影スポットとしても人気を集めています。

基本情報・料金

項目内容
施設名三段壁・三段壁洞窟
住所和歌山県西牟婁郡白浜町2927-52
営業時間8:00〜17:00(最終入場16:50)
定休日年中無休(荒天時は一時閉鎖の場合あり)
アクセスJR白浜駅からバスで約20分「三段壁」下車すぐ
駐車場無料駐車場あり(約100台)
問い合わせ0739-42-4495
区分料金
大人(中学生以上)1,500円
小学生750円
小学生未満無料
三段壁洞窟公式サイト (2025年10月現在)

円月島

円月島は、白浜沖に浮かぶ南北130メートルの小島で、正式名称を高嶋といいます。中央に海蝕作用によって開いた円形の穴があることから円月島と呼ばれ、地元の人々に親しまれています。

三段壁・千畳敷とともに「和歌山の夕陽100選」に選ばれており、島の円い穴を通して沈む夕日は絶景として知られています。特に春分の日と秋分の日前後には、穴の中心に夕日がすっぽりと収まる光景を見ることができ、多くの写真愛好家が訪れます。

白浜からはグラスボートや遊覧船が運行されており、海上から円月島を眺めることができます。グラスボートは船底がガラスになっており、海中の魚やサンゴを観察しながら円月島周辺をクルージングできるため、子供連れの家族に人気があります。

遊覧船では白浜の海岸線を巡りながら、海側から千畳敷や三段壁などの景勝地を眺めることができます。陸上からとは異なる角度で白浜の美しい風景を楽しめる、おすすめのアクティビティです。

基本情報

項目内容
施設名円月島(高嶋)
住所和歌山県西牟婁郡白浜町臨海
見学自由(上陸不可)
アクセスJR白浜駅からバスで約15分「臨海」下車徒歩3分
駐車場周辺に有料駐車場あり
問い合わせ南紀白浜観光協会 0739-43-5555

アドベンチャーワールド

アドベンチャーワールドは、動物園・水族館・遊園地が一体となった南紀白浜を代表するテーマパークです。広大な敷地には約140種1,400頭の動物が暮らしており、動物たちがのびのびと過ごす姿を間近で観察できます。

かつては日本最多の4頭のジャイアントパンダを飼育し、中国以外では世界最多となる17頭の繁殖に成功した実績を誇っていました。2025年6月28日に全4頭が中国へ返還されましたが、現在は7月よりレッサーパンダの展示が開始され、新たな魅力を発信しています。

サファリワールドでは、専用バス「ケニア号」に乗車して、アフリカゾーンをサファリ形式で巡ることができます。ライオン、トラ、チーター、ゾウ、キリン、シマウマなど、大型草食動物と肉食動物が暮らすエリアを間近で観察できる人気アトラクションです。

マリンワールドでは、イルカやアシカのパフォーマンスショーが毎日開催されています。特にイルカショーは音楽と一体となった感動的なパフォーマンスで、国内外から高い評価を得ています。

ふれあい広場では、カピバラ、アルパカ、カバ、チンパンジーなどの動物を間近で観察したり、小動物と触れ合ったりすることができます。エサやり体験も実施しており、子供たちに大人気のエリアです。

遊園地エリアには、観覧車、ジェットコースター、ゴーカートなど、約20種類のアトラクションが揃っています。小さな子供から大人まで楽しめる乗り物が充実しており、動物観察の合間に気分転換ができます。

基本情報・料金

項目内容
施設名アドベンチャーワールド
住所和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399
営業時間10:00〜17:00(季節により変動)
定休日不定休(公式サイトで要確認)
アクセスJR白浜駅からバスで約10分
駐車場普通車1,200円、大型車2,000円
問い合わせ0570-06-4481

アドベンチャーワールドの入園料金

区分1日入園券2DAYSスマイルパス
大人(18歳以上)5,300円7,300円
シニア(65歳以上)4,800円6,800円
中人(中高生 12〜17歳)4,300円6,300円
小人(幼児・小学生 4〜11歳)3,300円3,300円
アドベンチャーワールド料金案内 (2025年10月現在)

白浜温泉

白浜温泉は、有馬温泉・道後温泉と並ぶ日本三古湯の一つに数えられる歴史ある温泉地です。日本書紀や万葉集にも登場し、歴代の天皇が訪れたことが記録されている由緒ある温泉です。

大正時代に本格的な開発が進み、現在では白良浜沿いを中心に大小さまざまな温泉宿が立ち並ぶ、関西を代表するリゾート温泉地として発展しています。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性などに効能があるとされています。

白浜温泉の大きな魅力は、外湯めぐりを楽しめることです。日帰り入浴が可能な公衆浴場がいくつかあり、それぞれ異なる趣を持っています。

崎の湯

海岸沿いに位置する露天風呂で、目の前に雄大な太平洋が広がります。波しぶきが届くほど海に近く、まるで海に浸かっているかのような開放感を味わえる人気の外湯です。万葉集に詠まれた歴史ある湯壺で、日本最古の湯の一つとも言われています。

牟婁の湯

日本書紀に登場する歴史ある温泉で、白浜温泉発祥の地とされています。白良浜から徒歩圏内にあり、温泉街の中心部に位置しています。内湯と露天風呂があり、地元の人々にも愛される銭湯です。

白良湯

白良浜海水浴場の目の前に位置する温泉施設です。海水浴の後に気軽に立ち寄れる立地で、夏季は特に多くの利用者で賑わいます。

温泉街の各所には足湯スポットも設けられており、観光の合間に気軽に立ち寄って疲れを癒やすことができます。海を眺めながら足湯に浸かるという、リゾート地ならではの贅沢な時間を過ごせるでしょう。

基本情報

項目内容
エリア名白浜温泉
住所和歌山県西牟婁郡白浜町
アクセスJR白浜駅からバスで10〜20分
問い合わせ南紀白浜観光協会 0739-43-5555

世界遺産・高野山の見どころ

金剛峯寺

金剛峯寺は、弘法大師・空海によって816年に開かれた高野山真言宗の総本山です。「紀伊山地の霊場と参詣道」として2004年にユネスコ世界遺産に登録され、日本仏教の聖地として国内外から多くの参拝者を集めています。

標高約800メートルの盆地に位置し、周囲を1000メートル級の山々に囲まれた金剛峯寺は、古くから真言密教の修行道場として知られてきました。現在も100以上の寺院が点在し、このような寺院の密集地は日本では類を見ません。

金剛峯寺の主殿は国の重要文化財に指定されており、中に入って内部を見学することができます。豪華絢爛な狩野派の襖絵や、国内最大級の広さを誇る石庭「蟠龍庭」は必見です。蟠龍庭は約2,340平方メートル(約707坪)の広さがあり、白い砂で雲海を表現し、その中を雄雌の龍が遊ぶ姿を石で表現した日本最大級の枯山水庭園です。

また、台所では直径2メートルを超える大釜が2つ並んでおり、かつて大人数の僧侶や参拝者の食事を賄っていた様子を偲ぶことができます。

金剛峯寺では、写経体験や阿字観瞑想などの体験プログラムも実施されています。特に阿字観は真言宗に伝わる瞑想法で、大日如来を表す梵字「阿」を見つめながら心を落ち着ける修行法です。初心者でも参加可能で、高野山での特別な体験として人気を集めています。

基本情報・料金

項目内容
施設名金剛峯寺
住所和歌山県伊都郡高野町高野山132
拝観時間8:30〜17:00(受付は16:30まで)
定休日年中無休
アクセス南海高野線極楽橋駅からケーブルカーで高野山駅、バスで「金剛峯寺前」下車すぐ
駐車場無料駐車場あり
問い合わせ0736-56-2011
区分料金
一般1,000円
小学生300円
高野山真言宗総本山金剛峯寺 (2025年10月現在)

壇上伽藍

壇上伽藍は、弘法大師・空海が高野山を開いた際に最初に整備した場所で、高野山の二大聖地の一つです。奥之院とともに高野山信仰の中心をなしており、真言密教の根本道場として重要な役割を担っています。

境内には根本大塔、金堂、御影堂、中門など19の建造物が立ち並んでいます。これらの建物は長い歴史の中で何度も火災や落雷の被害に遭い、その度に再建されてきました。

根本大塔

真言密教の根本道場のシンボルとして建立された多宝塔で、高さ48.5メートルの朱塗りの塔です。多宝塔としては日本最初のものとされ、内部には立体曼荼羅が描かれています。中央に金剛界の大日如来、その周囲に金剛界四仏、16本の柱には堂本印象画伯による十六大菩薩が描かれており、密教の世界観を立体的に表現しています。

金堂

壇上伽藍の中心に位置する高野山の総本堂で、重要な宗教行事のほとんどがここで執り行われます。現在の建物は7度目の再建で、1932年に完成しました。堂内には本尊の薬師如来が安置されています。

御影堂

弘法大師・空海が住まいとしていた建物で、空海の御影(肖像画)が祀られています。毎朝6時には生身供という儀式が行われ、空海が今も生きているかのように食事が供えられます。この儀式は1200年以上にわたって一日も欠かさず続けられています。

中門

2015年に172年ぶりに再建された壇上伽藍の正門です。高野山開創1200年記念大法会を記念して再建され、左右には持国天と多聞天の四天王像が安置されています。朱塗りの堂々とした姿は、壇上伽藍の新たなシンボルとなっています。

基本情報・料金

項目内容
施設名壇上伽藍
住所和歌山県伊都郡高野町高野山152
拝観時間8:30〜17:00
定休日年中無休
アクセス高野山駅からバスで「金堂前」下車すぐ
駐車場周辺に有料駐車場あり
問い合わせ0736-56-3215
区分料金
金堂・根本大塔共通券800円
金堂のみ500円
根本大塔のみ500円
壇上伽藍案内 (2025年10月現在)

奥之院

奥之院は、弘法大師・空海が835年に入定(永遠の瞑想に入る)したとされる御廟があり、大師信仰の最も神聖な場所です。壇上伽藍とともに高野山の二大聖地の一つとされています。

一の橋から弘法大師御廟まで約2キロメートルの参道が続いており、その両側には20万基を超える墓石や供養塔が立ち並んでいます。織田信長、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗など、戦国武将や諸大名の墓が数多くあり、日本史に興味がある方には見逃せないスポットです。

樹齢数百年の杉並木に囲まれた参道は、昼間でも薄暗く神秘的な雰囲気に包まれています。苔むした古い墓石や石塔が並ぶ光景は、時代を超えた日本人の信仰心の深さを感じさせます。

参道の終点にある御廟橋を渡ると、弘法大師が今も生きて瞑想を続けているとされる御廟があります。毎日午前6時と10時30分には、空海に食事を運ぶ「生身供」の行列が御廟へと向かい、1200年以上続く儀式を目にすることができます。

奥之院の特徴は、民族や宗教を問わず全てを受け入れてきた寛容さにあります。仏教徒だけでなく、キリスト教徒や他宗教の信者の墓、さらには企業の慰霊碑なども建立されています。この多様性こそが、高野山が長年にわたって多くの人々の信仰を集めてきた理由の一つといえるでしょう。

基本情報

項目内容
施設名奥之院
住所和歌山県伊都郡高野町高野山
拝観時間8:30〜17:00(参道は24時間開放)
拝観料無料
アクセス高野山駅からバスで「奥の院前」下車徒歩10分
駐車場一の橋周辺に無料駐車場あり
問い合わせ0736-56-2002

慈尊院

慈尊院は、弘法大師・空海の母・玉依御前が晩年を過ごした寺院で、高野山の麓に位置しています。「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産として世界遺産に登録されています。

慈尊院はもともと高野山の政所(まんどころ)として、様々な実務を行う施設として建立されました。空海の母が高野山を訪ねた際、女人禁制のため山に入ることができず、この地に留まったことから「女人高野」とも呼ばれています。

明治時代初期まで高野山は女人禁制が続いており、女性はこの慈尊院で高野山参りを行っていました。現在は子授け、安産、育児、授乳、良縁の神様として広く信仰を集め、特に乳がん平癒の祈願に訪れる女性が多くなっています。

境内には本尊の弥勒菩薩を安置する本堂のほか、多宝塔があります。多宝塔は国宝に指定されており、内部には大日如来が安置されています。

慈尊院へは「町石道」と呼ばれる高野山への参詣道の起点にもなっており、ここから高野山まで約24キロメートルの道のりを歩く巡礼者もいます。町石道沿いには1町(約109メートル)ごとに石塔が立てられており、道しるべとなっています。

基本情報

項目内容
施設名慈尊院
住所和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
拝観時間8:00〜17:00
拝観料境内無料
アクセス南海高野線九度山駅から徒歩約25分
駐車場無料駐車場あり
問い合わせ0736-54-2214

熊野古道・熊野三山の魅力

熊野古道・中辺路ルート

熊野古道は、熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)へと続く参詣道の総称で、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。道そのものが世界遺産に登録されるのは世界的にも珍しく、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に次いで2例目です。

熊野古道には複数のルートがありますが、最も人気があるのが中辺路ルートです。田辺から熊野本宮大社を経て、熊野那智大社へと続く約70キロメートルの道のりで、古くから多くの参詣者が歩いてきました。

初心者におすすめなのは、大門坂から熊野那智大社までの約2.5キロメートルのコースです。石畳の道が比較的よく整備されており、約1時間で熊野那智大社に到着できます。苔むした石畳と樹齢数百年の杉並木が作り出す景観は、まさに古の参詣道の雰囲気を色濃く残しています。

大門坂の入口には「夫婦杉」と呼ばれる樹齢800年の巨大な杉が2本並んでおり、パワースポットとして人気があります。そこから石段を登っていくと、苔むした石畳の参道が続き、周囲は深い森に包まれます。

参道の途中には「多富気王子」という休憩所跡があり、かつてはここで参詣者が身を清めたといわれています。現在も清らかな水が湧き出ており、古道を歩く旅人の喉を潤しています。

大門坂は桜と紅葉の名所としても知られ、春には桜が、秋には紅葉が石畳の参道を彩ります。特に紅葉の時期は、朱色に染まった木々と苔むした石畳のコントラストが美しく、多くの写真愛好家が訪れます。

基本情報

項目内容
ルート名熊野古道・中辺路ルート(大門坂)
所在地和歌山県東牟婁郡那智勝浦町
距離約2.5km(大門坂〜熊野那智大社)
所要時間約1時間
難易度初級〜中級
アクセスJR紀伊勝浦駅からバスで「大門坂」下車すぐ
駐車場大門坂駐車場あり(無料)

熊野那智大社

熊野那智大社は、熊野本宮大社、熊野速玉大社とともに熊野三山を構成する神社の一つです。那智山の中腹、標高約350メートルの位置に鎮座し、近くにある那智の滝を神として崇める自然崇拝から起こった神社です。

創建は4世紀と伝えられ、古くから多くの参詣者を集めてきました。平安時代には皇族や貴族が盛んに熊野詣を行い、鎌倉時代以降は武士や庶民にも広がりました。「蟻の熊野詣」という言葉があるように、参詣者の列が途切れることなく続いた様子が伝えられています。

朱塗りの社殿は467段の石段を登った先にあり、境内からは那智の滝や那智山の山並みを一望できます。本殿は熊野夫須美大神を主祭神として祀り、縁結びや諸願成就の御利益があるとされています。

境内には樹齢850年を超える大楠があり、幹の空洞部分を通り抜けることができます。この「胎内くぐり」は、新たな命を授かるという意味があり、多くの参拝者が体験しています。

また、熊野那智大社では八咫烏をお守り神としており、境内には八咫烏のモチーフが随所に見られます。八咫烏は日本サッカー協会のシンボルマークとしても知られ、サッカーファンの参拝も多くなっています。

基本情報

項目内容
施設名熊野那智大社
住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
参拝時間5:00〜17:00
拝観料境内無料(宝物殿は別途)
アクセスJR紀伊勝浦駅からバスで「那智山」下車徒歩15分
駐車場有料駐車場あり
問い合わせ0735-55-0321

那智の滝

那智の滝は、落差133メートルを誇る日本一の名瀑で、華厳の滝、袋田の滝とともに日本三名瀑の一つに数えられています。一段の滝としては落差日本一を誇り、轟音とともに流れ落ちる姿は圧巻です。

那智の滝そのものが御神体として崇められており、滝の前には飛瀧神社が建立されています。古くから自然崇拝の対象とされ、滝に打たれる滝行修行も行われてきました。

飛瀧神社の拝殿から那智の滝を遥拝できますが、参入料を納めれば滝の真近くまで近づくことができます。お瀧拝所舞台からは、滝を正面から見上げる形となり、水しぶきを浴びながら滝のパワーを全身で感じられます。

那智の滝と三重塔が一緒に写る景色は、絵葉書やポスターでもよく知られる日本を代表する風景の一つです。隣接する青岸渡寺の三重塔と那智の滝を同時に撮影できるスポットは、国内外から訪れる観光客に人気の撮影ポイントとなっています。

那智の滝は季節によって表情を変えます。春は新緑、夏は豊富な水量、秋は紅葉、冬は澄んだ空気の中で凛とした姿を見せてくれます。雨上がりは水量が増して迫力が増し、晴れた日には滝壺に虹がかかる幻想的な光景を見ることもできます。

基本情報・料金

項目内容
施設名那智の滝(飛瀧神社)
住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
参拝時間7:00〜16:30
アクセス熊野那智大社から徒歩約15分
駐車場有料駐車場あり
問い合わせ0735-55-0321
区分料金
お瀧拝所舞台300円
熊野那智大社公式サイト (2025年10月現在)

熊野本宮温泉郷

熊野本宮大社の周辺に点在する熊野本宮温泉郷は、湯の峰温泉、渡瀬温泉、川湯温泉の総称です。世界遺産の参詣道を歩いた後に、歴史ある温泉で疲れを癒やすことができます。

湯の峰温泉

約1800年の歴史を持つ日本最古の温泉の一つで、熊野詣の湯垢離場(ゆごりば)として利用されてきました。温泉街には「つぼ湯」という小さな共同浴場があり、世界遺産に登録された温泉施設として唯一入浴が可能です。

つぼ湯は一度に2〜3人しか入れない小さな浴槽ですが、1日に7回も湯の色が変わる神秘的な温泉として知られています。青、白、乳白色など、時間帯によって様々な色に変化し、訪れるたびに異なる体験ができます。利用は30分の交代制で、順番待ちの時間が長くなることもありますが、一度は体験したい特別な温泉です。

川湯温泉

川底から73度の源泉が湧き出すユニークな温泉です。河原を掘るとお湯が湧き出すため、スコップで自分だけの温泉を作ることができます。夏から秋にかけては、川の中に入って天然の露天風呂を楽しむことが可能です。

冬季(12月〜2月)には、大塔川をせき止めて作られる巨大な露天風呂「仙人風呂」が登場します。長さ約40メートル、幅約15メートルという西日本最大級の露天風呂で、雄大な自然の中で温泉を満喫できます。入浴は無料で、水着着用での混浴となっています。

渡瀬温泉

西日本最大級の露天風呂を持つ近代的な温泉施設です。大露天風呂「四季の湯」は500平方メートルの広さがあり、開放感抜群の入浴が楽しめます。打たせ湯、気泡湯、寝湯など8種類の湯があり、様々な温泉を楽しむことができます。

施設内には薬草ハーブ園も併設されており、入浴後に散策することもできます。家族連れやグループでの利用に適した施設です。

基本情報

項目内容
エリア名熊野本宮温泉郷
住所和歌山県田辺市本宮町
アクセスJR紀伊田辺駅からバスで約2時間
問い合わせ熊野本宮観光協会 0735-42-0735

串本・紀伊半島最南端エリア

串本海中公園

串本海中公園は、1970年に日本で最初に指定された海中公園です。黒潮の影響を受ける串本の海は、本州で唯一サンゴの群生地があり、約150種類のサンゴと1000種類以上の魚類が生息しています。

水族館では、串本の海を忠実に再現した展示が特徴です。全長24メートルの水中トンネルでは、頭上をサメやエイが悠々と泳ぐ姿を観察でき、まるで海底を散歩しているかのような体験ができます。

約500種5,000点の海洋生物を展示しており、クマノミ、ウミガメ、タコ、クラゲなど、黒潮の海に暮らす多彩な生き物を間近で見ることができます。特に串本の海の生態系を再現した大水槽は見応えがあり、サンゴ礁に群れる色とりどりの熱帯魚の姿は圧巻です。

海中展望塔は、海中公園のシンボル的施設です。海上からエレベーターで水深6.3メートルの海中展望室に降りると、窓の外には串本の海が広がります。ガラス越しに自然の海を観察でき、天候や季節によって異なる海の表情を楽しめます。

半潜水型海中観光船「ステラマリス」も人気のアトラクションです。船底がガラス張りになっており、座ったまま海中の様子を観察できます。約25分間のクルージングで、サンゴ礁や熱帯魚の群れを快適に鑑賞できます。

ダイビングパークでは、体験ダイビングやシュノーケリングのプログラムも実施されています。初心者でもインストラクターの指導のもと、安全に串本の海を体験することができます。

基本情報・料金

項目内容
施設名串本海中公園
住所和歌山県東牟婁郡串本町有田1157
営業時間9:00〜16:30(最終入場16:00)
定休日年中無休
アクセスJR串本駅からバスで約13分
駐車場無料駐車場あり(約200台)
問い合わせ0735-62-1122
区分料金
大人(高校生以上)1,800円
小中学生800円
幼児(3歳以上)200円
串本海中公園公式サイト (2025年10月現在)

橋杭岩

橋杭岩は、串本を代表する奇勝です。海岸から約850メートルにわたって、大小40余りの岩柱が一列に並んでいます。その姿が橋の杭のように見えることから、橋杭岩という名がつけられました。

約1500万年前の火成活動によって形成されたと考えられており、柔らかい部分が侵食されて硬い部分だけが残り、現在の姿になったとされています。国の名勝・天然記念物に指定され、吉野熊野国立公園の一部となっています。

弘法大師が一夜で橋を架けようとしたが、夜明けとともに作業が中断され、杭だけが残ったという伝説も残されています。この伝説が橋杭岩の神秘性をさらに高めています。

橋杭岩は日の出の名所として広く知られています。特に春分の日と秋分の日前後には、岩の間から朝日が昇る光景を見ることができ、多くのカメラマンが早朝から訪れます。岩のシルエットと朝日のコントラストが作り出す景色は、神々しい雰囲気に満ちています。

毎年11月には期間限定で夜間ライトアップが実施されます。闇夜に浮かび上がる橋杭岩は、昼間とはまったく異なる幻想的な表情を見せてくれます。

橋杭岩の周辺は海水浴場にもなっており、夏には透明度の高い海で泳ぐことができます。磯遊びも楽しめるため、家族連れに人気のスポットです。

基本情報

項目内容
施設名橋杭岩
住所和歌山県東牟婁郡串本町橋杭
見学時間自由
入場料無料
アクセスJR串本駅から車で約5分、徒歩約20分
駐車場有料駐車場あり
問い合わせ串本町観光協会 0735-62-3171

潮岬

潮岬は、本州最南端に位置する岬です。北緯33度26分、東経135度46分の地点で、黒潮が日本列島に最も近づく場所としても知られています。

潮岬灯台の周辺は芝生の広場「望楼の芝」となっており、約10万平方メートルの広大な敷地が広がっています。かつて海軍の望楼(監視塔)があったことから、この名がつけられました。青々とした芝生と青い海、青い空が織りなす景色は開放感に満ちています。

潮岬観光タワーの展望台からは、270度以上の視界が開け、地球が丸いことを実感できる雄大なパノラマが楽しめます。天気が良い日には、紀伊大島や遠く世界遺産の那智山の山並みまで見渡すことができます。

潮岬観光タワーでは「本州最南端訪問証明書」を発行してもらえます。証明書には訪問日と自分の名前が入り、本州最南端に来た記念として多くの観光客が入手しています。

毎年1月には「本州最南端の火祭り」が開催されます。新年の無病息災を祈願する伝統行事で、巨大な炎が夜空を焦がす光景は圧巻です。

潮岬灯台は、1873年に初点灯した歴史ある灯台で、現在も現役で航行する船舶の安全を守っています。白亜の美しい姿は潮岬のシンボルとなっており、灯台の周辺からは太平洋の雄大な景色を一望できます。

基本情報・料金

項目内容
施設名潮岬・潮岬観光タワー
住所和歌山県東牟婁郡串本町潮岬2706-26
営業時間8:30〜16:30
定休日年中無休
アクセスJR串本駅からバスで約15分「潮岬観光タワー前」下車すぐ
駐車場無料駐車場あり
問い合わせ0735-62-0810

和歌山観光で特別な思い出を

和歌山県は、海・山・温泉・世界遺産という多彩な魅力が一つの県に凝縮された、日本でも有数の観光地です。白浜の美しいビーチリゾート、高野山の荘厳な寺院群、熊野古道の神秘的な参詣道、串本の豊かな海洋自然と、訪れる人それぞれの興味に応じた楽しみ方ができます。

南紀白浜では、家族連れならアドベンチャーワールドで多彩な動物たちと触れ合い、白良浜で海水浴を楽しみ、温泉でゆっくり過ごすという王道の観光が可能です。カップルには、千畳敷や円月島の夕日を眺めるロマンチックなひとときがおすすめです。

高野山では、1200年の歴史を持つ宗教都市の荘厳な雰囲気に浸り、宿坊で精進料理や朝のお勤めを体験することで、日常を離れた特別な時間を過ごせます。金剛峯寺の見事な庭園、壇上伽藍の朱塗りの建造物、奥之院の神秘的な参道は、一度訪れたら忘れられない光景となるでしょう。

熊野古道は、平安時代の貴族から現代の巡礼者まで、時代を超えて多くの人々が歩いてきた道です。苔むした石畳と杉並木の参道を歩けば、古の人々の信仰心と自然への畏敬の念を肌で感じることができます。那智の滝の迫力ある姿は、自然の偉大さを改めて実感させてくれます。

串本の海は、本州で唯一サンゴの群生地を持つ特別な場所です。串本海中公園で海洋生物を観察し、橋杭岩の不思議な景観に驚き、潮岬で本州最南端に立つという経験は、旅の記憶に深く刻まれることでしょう。

和歌山観光の魅力は、これらの観光スポットを組み合わせることで、何度訪れても新しい発見がある点にあります。初めての訪問では白浜と高野山、二度目は熊野古道と温泉、三度目は串本でダイビングといった具合に、目的を変えて何度でも楽しめます。

関西圏からのアクセスの良さも和歌山の強みです。週末を利用した1泊2日の小旅行から、ゴールデンウィークや夏休みを利用した本格的な周遊旅行まで、日程に応じて様々なプランを立てることができます。

和歌山の自然、歴史、文化、グルメを存分に味わい、心に残る特別な旅の思い出を作ってください。本記事で紹介したモデルコースや観光スポット情報が、皆様の和歌山観光の計画にお役立ていただければ幸いです。四季折々の美しさを見せる和歌山の大地で、かけがえのない時間をお過ごしください。

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