忍野八海観光ガイド|世界遺産・富士山の湧水池を巡る山梨県忍野村の名所

本記事にはプロモーションが含まれています。
忍野八海観光ガイド|世界遺産・富士山の湧水池を巡る山梨県忍野村の名所
  • URLをコピーしました!

添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は山梨県南都留郡忍野村にある「忍野八海(おしのはっかい)」を紹介します。

忍野八海は、富士山の伏流水を水源とする8つの湧水池の総称です。富士山に降り積もった雪解け水が、溶岩層の間で長い歳月をかけてろ過され、澄み切った水となって湧き出しています。1934年に国の天然記念物、1985年に全国名水百選に選ばれ、2013年6月には世界文化遺産「富士山〜信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として登録されました。

池の底までくっきり見えるほど透明度の高い水、茅葺き屋根の民家や水車が残る里山の風景、そして晴れた日には水面に映る富士山。日本の原風景と呼ぶにふさわしい景観が、標高約940mの高原の村に広がっています。首都圏から日帰りで訪れる観光客も多く、富士五湖エリアを代表する景勝地の一つです。

項目内容
施設名忍野八海(おしのはっかい)
営業時間見学自由(底抜池がある榛の木林資料館は9:00〜17:00)
定休日なし(榛の木林資料館は不定休)
住所山梨県南都留郡忍野村忍草
アクセス富士急行線富士山駅から路線バスで「忍野八海」バス停下車/車は東富士五湖道路山中湖ICから約10分、中央自動車道河口湖ICから約20分
目次

訪問前に知っておきたい注意点

観光客で混雑した忍野八海
観光客で混雑した忍野八海

忍野八海を訪れる際に戸惑いやすいのが、最も観光客で賑わう中心部の大きな池「中池」が、実は八海の8つの池には含まれていないという点です。中池は売店に隣接する人工池で、水深約10mの底まで見通せる美しさから記念撮影の定番になっていますが、天然記念物や世界遺産の構成資産にあたるのは、出口池・お釜池・底抜池・銚子池・湧池・濁池・鏡池・菖蒲池の8つです。中池だけを見て帰ってしまうと、本来の忍野八海を巡らないまま観光を終えることになるため、事前に池の位置関係を把握しておくと安心です。

また、忍野八海は国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットで、昼前後の中心部はかなり混雑します。静かな雰囲気の中で池を眺めたい場合は、団体客が到着する前の早朝の時間帯が向いています。夜間はライトアップが行われておらず、街灯も少ないため、明るい時間帯の見学が基本です。池の水は貴重な湧水であり、硬貨を投げ入れる行為や水に手を入れる行為は水質保全の観点から控える必要があります。

巨大な湖から霊場へ〜忍野八海の歴史

忍野八海の澄みきった池で泳ぐ魚
忍野八海の澄みきった池で泳ぐ魚

現在の忍野村一帯は、その昔「宇津湖(うつこ)」と呼ばれる巨大な湖でした。延暦19年(800年)の富士山の大噴火によって宇津湖は溶岩流で二分され、忍野湖と山中湖が生まれたと伝わります。その後、忍野湖は長い年月をかけて水を涸らし、湖底だった盆地が今の忍野村となりました。湖が消えた後も富士山の伏流水を水源とする湧水池がいくつか残り、その代表格が忍野八海です。

忍野八海は古くから、清浄で霊力のある水として禊(みそぎ)と信仰の対象でした。富士山信仰の開祖とされる長谷川角行の修行の地に連なる霊場として、富士登拝を行う富士講の信者たちは、登山に先立ちこの地の池で水行を行ったと伝えられています。8つの池は「富士山根元八湖霊場」と名付けられ、略して「元八湖霊場」と呼ばれるようになりました。

江戸時代には「江戸八百八講」といわれるほど富士講が隆盛し、忍野八海も重要な巡礼地として賑わいました。しかし江戸末期には衰退し、それを嘆いた大我講の開祖・友右衛門が、天保14年(1843年)に8つの池それぞれに八大竜王を祀り、竜王名と和歌を刻んだ石碑を建立して霊場を再興します。これを機に、忍野八海は関東一円の富士講の間で広く知られるようになりました。明治政府の廃仏毀釈により富士信仰は徐々に衰え、第二次世界大戦後には禊を行う行者の姿はほとんど見られなくなりましたが、昭和40年(1965年)頃から観光地として注目され始め、現在に至ります。

なお、8つの池は北極星と北斗七星の形を表しているとされ、離れた場所にある出口池が北極星、残る7つの池が北斗七星にあたると言われています。信仰の場としての歴史を知ってから池を巡ると、単なる景勝地とは違った奥行きが感じられるはずです。

8つの池それぞれの見どころ

忍野八海の8つの池は、それぞれに個性と伝承を持っています。出口池を除く7つの池は徒歩10分圏内にまとまっており、番号順に巡ると霊場としての由緒をたどれます。すべて歩いて回る場合の所要時間は約2時間、出口池を省いて7カ所を回る場合は約1時間が目安です。

一番霊場「出口池」

八海の中で最も面積が広い池です。中心部から徒歩12分ほど離れた場所にあり、周囲に売店もないため、観光客の姿は少なく、最も自然に近い姿の池を静かに眺められます。池を見下ろす林の中には出口稲荷大明神の社があります。

二番霊場「お釜池」

八海の中で最も小さな池ですが、釜の中で熱湯が沸騰するように水が湧き上がる様子からこの名が付いたと言われるほど、水量は豊富です。水中で揺れるバイカモと、吸い込まれるような青い水深のコントラストが見事です。

三番霊場「底抜池」

有料施設「榛の木林資料館」の敷地内にある池です。水深約1.5mと浅く静かな佇まいですが、この池で洗い物をしていて誤って手を離すと渦に巻き込まれ、後にお釜池に浮かび上がるという言い伝えがあり、お釜池と地底で水脈がつながっているとされています。詳細は後述の榛の木林資料館の項で紹介します。

四番霊場「銚子池」

酒器の銚子に似た形からその名が付いた池です。池の底から砂を巻き上げながら水が湧き出す様子を間近に観察でき、縁結びの池としての伝承も残っています。

五番霊場「湧池」

忍野八海の五番霊場「湧池」
忍野八海の五番霊場「湧池」

忍野八海を代表する池で、八海一の湧水量と景観を誇ります。土産物店が立ち並ぶ最も賑やかな通りに面し、向かいには水車小屋があります。揺れ動く水面と深い水底の造形は圧巻で、1983年にはNASAが宇宙で雪を作る実験にこの湧池の水を使用したという逸話も残っています。

六番霊場「濁池」

忍野八海の六番霊場「濁池」
忍野八海の六番霊場「濁池」

湧池に隣接し、阿原川と合流している池です。みすぼらしい行者が一杯の水を求めて断られ、池の水が濁ってしまったという伝説が名前の由来ですが、現在の水は澄んでいます。

七番霊場「鏡池」

忍野八海の七番霊場「鏡池」
忍野八海の七番霊場「鏡池」

その名の通り、水面に富士山を鏡のように映し出す池です。風のない晴れた日に見られる「逆さ富士」は、忍野八海を代表する撮影ポイントの一つです。

八番霊場「菖蒲池」

鏡池の東側にある池で、大人の背丈ほどに育つショウブなどの水辺の植物が茂ります。奥には八海菖蒲池公園が整備されています。

富士山と四季が織りなす絶景

雪が積もった忍野八海と富士山
雪が積もった忍野八海と富士山

忍野八海の魅力は、池そのものだけではありません。茅葺き屋根の民家、水車小屋、田畑が広がる里山の風景の向こうに富士山がそびえる構図は、まさに日本の原風景です。

春は4月中旬から下旬にかけて桜が見頃を迎えます。村の北側を流れる新名庄川沿いには約400mにわたってソメイヨシノの並木が続き、富士山・桜・清流を一枚に収められる「お宮橋」周辺は、この時期ならではの撮影ポイントです。夏は標高約940mの高原らしい涼しさで、8月の平均気温は22℃前後と過ごしやすく、避暑を兼ねた散策に向いており、毎年8月8日には村最大の行事「八海祭り」が開催されます。秋は10月中下旬から11月中旬にかけてモミジやイチョウが色づき、紅葉と池と富士山の組み合わせが楽しめます。冬は空気が澄み、雪化粧した富士山と茅葺き屋根の雪景色が幻想的です。

名水が育む忍野グルメ

忍野八海の中池とお土産店の建物
忍野八海の中池とお土産店の建物

富士山の湧水は、忍野の食文化も支えています。名物の「忍野そば」は、湧水と地元産のそば粉で打つ素朴でコシのある麺が特徴で、忍野村は山梨県内でも有数の良質なそば粉の産地です。池の周辺には忍野そばを出す食事処が点在するほか、山梨名物のほうとうを味わえる店もあります。だんごや川魚の塩焼きといった食べ歩きも楽しめるため、散策の合間の昼食や小腹満たしには困りません。

底抜池と榛の木林資料館

忍野八海の榛の木林資料館
忍野八海の榛の木林資料館

三番霊場の底抜池だけは、有料施設「榛の木林資料館」の敷地内にあるため、見学には入館料が必要です。資料館は18世紀後半に建てられた、忍野村に現存する最古の茅葺き民家「渡邉家」を開放したもので、館内には当時のままの家具や家財道具、徳川時代の武具、古文書などが展示されています。中でも天正10年(1582年)に武田家が滅んだ後、北条氏直が郡内領での総決起を促したと伝わる「後北条氏の朱印状」は、戦国期の歴史を伝える貴重な資料です。

敷地内には底抜池のほか鯉の池やニジマスの池もあり、展望スペースからは茅葺き屋根越しの富士山を望めます。混雑する中心部と比べて人が少なく、落ち着いて忍野の原風景を味わえる穴場でもあります。開館時間は9:00〜17:00、定休日は不定休です。

忍野八海そのものの見学は無料で、入場料がかかるのはこの榛の木林資料館のみです。

区分入館料(税込)
大人(中学生以上)300円
子供(小学生以下)150円
幼児(1歳以上〜幼稚園児)100円
榛の木林資料館の入館料(2026年7月現在)

忍野八海周辺の立ち寄りスポット

忍野 しのびの里

忍野八海から車で約5分の場所にある忍者のテーマパークです。忍者ショーや手裏剣打ち体験、からくり屋敷などが揃い、富士山を借景にした日本庭園も見事です。子ども連れでも大人だけでも楽しめる施設で、忍野八海の散策と組み合わせやすい立地です。

山梨県立富士湧水の里水族館(さかな公園)

忍野八海から車で約5分、さかな公園内にある淡水魚専門の水族館です。富士の湧水を利用した二重回遊水槽では、大型魚と小型魚が同じ水槽を泳いでいるように見える展示が名物で、清流の魚たちが泳ぐ姿には水族館とはひと味違う清涼感があります。雨の日の行程にも組み込みやすいスポットです。

忍草浅間神社

忍野八海に隣接する、忍野の守護神として祀られてきた神社です。御神体として祀られる三神像は文化財に指定されており、こぢんまりとした境内ながら歴史の重みを感じさせます。池巡りとあわせて参拝できる距離感も魅力です。

忍野八海観光に便利なホテル

忍野村周辺には、山中湖や富士吉田エリアを中心に、富士山観光の拠点となる宿が揃っています。ここでは忍野八海へのアクセスが良く、評価の高い3軒を紹介します。

富士山と湖を望むリゾート ホテルマウント富士

山中湖を見下ろす標高1,100mの高台に建つリゾートホテルです。正面に山中湖、右手に富士山を望むロケーションが最大の特徴で、山中湖温泉「紅富士の湯」を源泉とする「満天星の湯」と、富士山と山中湖を一望する展望露天風呂「はなれの湯」の2つの湯処があります。忍野八海へは車で15分ほどで、富士五湖観光全体の拠点に向いた一軒です。

富士山と湖を望むリゾート ホテルマウント富士

富士山と湖を望むリゾート ホテルマウント富士

料金・空室状況を確認:

富士マリオットホテル山中湖

世界的ホテルチェーンのMarriott(マリオット)系列で、山中湖畔の静かな林の中に佇む高原リゾートです。客室はいずれも40㎡を超えるゆとりある造りで、山中湖温泉を引いた大浴場と露天風呂を備えます。温泉付きの客室もあり、国際ブランドならではの安定したサービスと自然環境の両方を求める人に合う宿です。

富士マリオットホテル山中湖

富士マリオットホテル山中湖

料金・空室状況を確認:

庭園と感動の宿 富士山温泉 ホテル鐘山苑

富士吉田市にある温泉旅館で、広大な日本庭園と、地上約35mの屋上から富士山と向かい合う絶景露天風呂「露天風呂 富士山」で知られています。「2024年プロが選んだ旅館100選」で全国総合8位に選ばれた実績を持ち、季節の和会席や庭園でのもてなしなど、日本旅館らしい滞在を堪能できます。忍野八海へは車で15分前後の距離です。

庭園と感動の宿 富士山温泉 ホテル鐘山苑

庭園と感動の宿 富士山温泉 ホテル鐘山苑

料金・空室状況を確認:

まとめ〜富士山の恵みを歩いて感じる忍野八海

忍野八海と富士山
忍野八海と富士山

忍野八海は、富士山の雪解け水が長い歳月をかけて湧き出した8つの池と、里山の風景、そして富士信仰の歴史が一体となった世界遺産の構成資産です。中池と八海の違いを押さえたうえで、出口池から菖蒲池まで番号順に巡れば、霊場としての由緒と池ごとの個性を存分に味わえます。底抜池のある榛の木林資料館まで足を延ばせば、茅葺き民家越しの富士山という忍野らしい一枚にも出会えるはずです。

日帰りでも十分楽しめますが、早朝の静かな忍野八海や周辺の温泉を味わうなら宿泊がよい選択肢になります。特に、山中湖と富士山を一望する展望露天風呂を備えたホテルマウント富士を拠点にすれば、忍野八海へ車で15分ほどと近く、富士五湖エリアの観光を効率よく組み立てられます。富士山の恵みが生んだ名水の里で、日本の原風景に浸る一日は、富士五湖観光の中でも印象深い時間になるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次