富士山本宮浅間大社奥宮 | 富士山頂に鎮まる、日本一標高の高い神社

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富士山本宮浅間大社奥宮|富士山頂に鎮まる、日本一標高の高い神社
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添乗員ライターがお届けする旅行情報。今回は静岡県富士宮市、富士山頂上に鎮座する富士山本宮浅間大社奥宮を紹介します。奥宮の社殿は富士宮口登山道の頂上にありますが、富士宮口に限らず、吉田口・須走口・御殿場口いずれのルートから登っても、山頂の火口を巡る「お鉢巡り」を経由して参拝できます。この社は、全国に1,300社以上ある浅間神社の総本宮・富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市宮町)の奥宮にあたる社です。麓の本宮からおよそ標高差3,000メートルを登った先に建つこの社は、日本で最も標高の高い場所に鎮座する神社です。

奥宮が開かれるのは、富士登山シーズンにあたる夏の開山期間のみです。神職が常駐するのもこの期間だけで、御札やお守りの授与、御朱印の授与といった授与所の対応も、登拝者で賑わう夏山の間に限られています。冬の間は雪と氷に閉ざされる山頂で、静かに登拝者の訪れを待つ社という側面も、この奥宮ならではの特徴といえます。

項目内容
施設名富士山本宮浅間大社奥宮
開扉時間開山期間中は日の出頃〜午後4時頃
開山期間2026年は7月10日〜9月6日朝まで(気象条件により変更の場合あり)
住所静岡県富士宮市富士山頂上
アクセス富士宮口・吉田口・須走口・御殿場口いずれかの登山道を経由して山頂まで登山(各ルートの五合目からのほか、麓の0合目から登ることも可能)
富士山本宮浅間大社 富士山開山7・8月の行事(2026年8月現在)
目次

参拝前に押さえておきたいこと〜開山期以外は無人、天候にも大きく左右される社

富士山本宮浅間大社奥宮
富士山本宮浅間大社奥宮

奥宮を参拝するうえで、まず理解しておきたいのが開山期間の短さです。神職が常駐し授与所が機能するのは7月上旬から9月上旬までのおよそ2か月間のみで、9月の閉山祭を終えると、翌年の開山まで社は無人となります。開山期間中であっても、開扉時間は日の出頃から午後4時頃までと定められており、山頂の気象条件によって前後することもあります。

さらに、奥宮に参拝するためには自らの足で山頂まで登る必要があります。標高差は五合目からでも約1,300メートルに及び、往復には山小屋での1泊を組み込むのが一般的な行程です。富士山では現在、富士宮口・吉田口・須走口・御殿場口のいずれのルートから登っても入山料1人1回4,000円の納付が原則求められています。安全な登拝のためにも、ルート・マナーについてはしっかりと目を通しておきましょう。麓から気軽に立ち寄れる社ではない点は、あらかじめ心づもりしておきたいところです。

徳川家康が寄進した「8合目以上」〜山頂に神社が建つ理由

富士山頂にある浅間大社奥宮
富士山頂にある浅間大社奥宮

なぜ富士山の頂に神社があるのか。その背景には、富士山そのものを御神体として祀ってきた浅間信仰の歴史があります。浅間大社の御由緒によれば、富士山の噴火を鎮めるため、垂仁天皇の御代に浅間大神を山麓に祀ったのが起源とされ、平安時代の文献にはすでに山頂の様子を記した記述が残っています。久安5年(1149)には末代上人が山頂に大日堂を建てたと伝えられ、これが後の奥宮の前身となりました。

噴火が収まるにつれて、人々の畏れの念は富士登山という形へと変化していきました。室町時代には修験者による登拝が盛んになり、江戸時代には長谷川角行の教えが関東を中心に広がって富士講へと発展、各地から御師の案内を受けた登拝者が富士山を目指すようになります。奥宮は、こうした庶民の信仰登山が積み重ねられてきた歴史の到達点に位置する社でもあります。

奥宮の存在を今に伝える大きな転機となったのが、江戸時代初頭の出来事です。関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は、その御礼として本宮に本殿・拝殿・楼門など30余棟を造営するとともに、富士山8合目以上の土地を大社の境内地として寄進しました。これにより、山頂を含む8合目以上の一帯、約120万坪もの広大な土地が、大社の御神域として位置づけられることになったのです。現在の奥宮社殿は、富士登山の道案内人「強力」たちが資材を人力で運び上げ、1902年に建てられたものが基礎となっています。2011年の静岡県東部地震で柱や石積みに被害を受けた際には、開山期を利用して数年がかりの全面改修が行われ、梁を太くするなど、より頑丈な構造に生まれ変わりました。

富士山をご神体とする社殿〜本殿を持たない独特の造り

富士山本宮浅間大社奥宮の建物
富士山本宮浅間大社奥宮の建物

奥宮のもう一つの魅力は、その建築のあり方そのものにあります。富士山という山全体を御神体としているため、奥宮には本殿がなく、拝殿と幣殿のみで構成されているのが特徴です。御扉には金色で「國鎭無上嶽」の文字が掲げられており、これ以上ない高さで国を鎮めるという意味が込められています。境内には「冨士山頂上淺間大社奥宮」と刻まれた石碑も建てられ、山頂に立つ登拝者にとってのひとつの目印となっています。

御祭神は、麓の本宮と同じく浅間大神こと木花之佐久夜毘売命で、相殿神として夫神の瓊々杵尊、父神の大山祇神が祀られています。木花之佐久夜毘売命は、戸のない産屋に自ら火を放ち、無事に3人の皇子を出産したという故事から、火難消除や安産の神徳でも篤い崇敬を集めており、その御神徳は山頂の奥宮にも受け継がれています。本宮と奥宮では授与される御朱印も異なり、奥宮の御朱印には富士山の溶岩の砂が用いられているのが特色です。標高3,776メートルの頂で受ける朱印は、麓で参拝する御朱印とはまた違った趣を持っています。

開山期だけの特別な授与品と登拝の記録

富士山本宮浅間大社奥宮の焼印受付
富士山本宮浅間大社奥宮の焼印受付

奥宮ならではの授与品として親しまれているのが、金剛杖への朱印(焼印)です。五合目で購入した金剛杖を手に、各山小屋や奥宮で朱印を重ねながら登る文化は古くから続いており、頂上で押される朱印は登頂の証として登山者に喜ばれています。奥宮と久須志神社とでは焼印の意匠も異なるため、両社を巡って集める登拝者も少なくありません。

また、奥宮の東方、御殿場口・須山口登山道を登りきった付近には「銀明水」と呼ばれる霊水の出水口があり、山梨県側の「金明水」と対をなす山頂の湧水として古くから信仰の対象とされてきました。現在はこの銀明水・金明水ともに実際に湧き出ていないことが多く、無料で授与される形ではなく、奥宮の授与所でボトル入りの銀明水が販売されているとの情報があります。

富士山本宮浅間大社奥宮の銀名水
富士山本宮浅間大社奥宮の銀名水

奥宮には「高齢者記帳所」も設けられています。数え年70歳(現代の満年齢ではおおむね69歳)以上で登拝を果たした人が「高齢者登拝者名簿」に記帳すると記念品が授けられる仕組みで、長年にわたり、年齢を重ねてなお富士山頂を目指す人々の足跡を静かに記録し続けてきました。同様の記帳所は、山頂の反対側にある末社・久須志神社にも設けられており、どちらの社で記帳しても対象となります。7月11日には奥宮の開山祭、8月15日には例大祭が執り行われ、開山期の限られた時間の中で、国家安泰や登拝者の安全を祈る神事が続けられています。

全国の浅間神社との関係〜「総本宮」という位置づけ

奥宮は、麓の富士山本宮浅間大社と同一の神社が持つ二つの鎮座地のひとつであり、本宮・奥宮ともに御祭神は木花之佐久夜毘売命で共通しています。浅間大社は、富士山の噴火を鎮めるために浅間大神を祀った最初の神社とされ、その由緒から全国に約1,300社ある浅間神社の総本宮を称してきました。ただし、これは全国の浅間神社すべてが浅間大社から組織的に分祀されたという意味ではなく、地域ごとに異なる由緒を持つ浅間神社も少なくありません。あくまで富士信仰の源流・格式のうえでの「総本宮」という位置づけです。

似た名称を持つ神社として、山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社が挙げられますが、こちらは浅間大社とは別の宗教法人・別の由緒を持つ神社です。両社の間に本社・分社のような上下関係はなく、共通しているのは富士山を御神体とする浅間信仰に根差している点と、世界文化遺産「富士山〜信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産に含まれている点です。奥宮は静岡側の富士宮口・御殿場口の到達点にあたり、久須志神社は山梨側の吉田口・須走口の到達点にあたりますが、山頂は全域が静岡県富士宮市に属するため、久須志神社も所在地としては静岡県内にあります。北口本宮冨士浅間神社は、山梨県富士吉田市にある吉田口登山道の起点(麓)にあたり、それぞれ異なる登山道と結びついた信仰の拠点として今に受け継がれています。

世界文化遺産「富士山」の構成資産として

2013年、富士山は「富士山〜信仰の対象と芸術の源泉」の名称で世界文化遺産に登録されました。当初検討されていた自然遺産としてではなく文化遺産として登録された背景には、噴火を鎮めるために生まれた浅間信仰と、富士講の登拝文化、そして絵画や文学を通じて育まれてきた芸術性が高く評価されたという経緯があります。奥宮を含む富士山山域や湧玉池は、この登録における構成資産のひとつに数えられており、山頂に立つ奥宮そのものが、信仰の対象としての富士山を今に伝える存在といえます。山梨県側の富士河口湖町にも、この世界遺産の価値を紹介する施設が整備されており、富士登山の前後に訪れると、山頂で参拝する奥宮への理解がより深まります。

周辺スポット

奥宮を参拝したあとは、富士山頂ならではの見どころにも足を延ばせます。山頂の火口である大内院を取り囲むようにして峰々を巡る「お鉢巡り」は、富士講の時代から続く登拝の習わしで、奥宮参拝後にこのコースを歩く登拝者が多く見られます。周辺の見どころは、お鉢巡りの行程に組み込みやすい範囲にまとまっているため、山頂での滞在時間に応じて立ち寄り先を選びたいところです。

剣ヶ峰

富士山の最高峰である剣ヶ峰に登る人々
富士山の最高峰である剣ヶ峰に登る人々

富士山の最高地点である剣ヶ峰は、奥宮からお鉢巡りのコースを進んだ先にあります。標高3,776メートルの二等三角点が置かれ、多くの登拝者がこの地点を目指して山頂を巡ります。剣ヶ峰への登頂ルートや山頂ならではの見どころについては、剣ヶ峰を主題とした記事で詳しく紹介しています。

久須志神社

富士山頂に位置する久須志神社
富士山頂に位置する久須志神社

富士宮口の対極、吉田口・須走口側の山頂に鎮座するのが、浅間大社の末社にあたる久須志神社です。山梨側から続く登山道の到達点にあたりますが、山頂は全域が静岡県富士宮市に属するため、久須志神社も所在地としては静岡県内にあります。奥宮と同じく開山期のみ神職が奉仕し、御札やお守りの授与を行っています。御来光の時間帯には、久須志神社周辺に多くの登拝者が集まり、雲海から昇る太陽を仰ぐ光景が見られます。お鉢巡りで山頂火口を一周する行程では、奥宮と久須志神社の双方を巡ることになります。

富士山頂郵便局

富士山頂郵便局の入口
富士山頂郵便局の入口

奥宮の社務所内には、日本一標高の高い場所にある郵便局として知られる富士山頂郵便局が設けられています。開山期間中の限られた日程で営業しており、山頂から手紙やはがきを送れるほか、富士山をかたどった風景印を押してもらうこともできます。

富士宮エリアの宿泊施設

富士宮口から山頂を目指す行程では、登山前後の拠点となる富士宮エリアでの宿泊が便利です。駅前の利便性を重視する人にも、田貫湖畔でゆったり過ごしたい人にも選びやすいよう、タイプの異なる3施設を紹介します。

富士宮富士急ホテルは、JR身延線富士宮駅から徒歩約2分という好立地にあり、富士宮口五合目行きのバスもホテル正面のバスターミナルから発着しています。北向きの高層階からは遮るものなく富士山を望むことができ、地元食材を使った無料の朝食バイキングも人気です。

富士宮富士急ホテル

富士宮富士急ホテル

料金・空室状況を確認:

天然温泉「さくやの湯」スーパーホテル富士宮は、富士宮ICから車で約9分の郊外に位置し、男女別の天然温泉大浴場を備えたビジネスホテルです。ナトリウム・カルシウム塩化物泉の湯は冷え性や筋肉痛への効能が知られ、登山の疲れを癒すのに適しています。無料の朝食バイキングと無料駐車場も備えており、車での滞在に向いています。

天然温泉「さくやの湯」スーパーホテル富士宮

天然温泉「さくやの湯」スーパーホテル富士宮

料金・空室状況を確認:

休暇村富士は、田貫湖のほとりに建つリゾートホテルで、客室やレストラン、大浴場など館内のどこからでも富士山を望める眺望が魅力です。アルカリ性の温泉大浴場に加え、静岡県ならではの山海の幸を使ったビュッフェも用意されており、登山前後にゆったりと過ごすのに適した宿です。

休暇村富士

休暇村富士

料金・空室状況を確認:

まとめ

富士山本宮浅間大社奥宮と富士館
富士山本宮浅間大社奥宮と富士館

富士山本宮浅間大社奥宮は、日本一標高の高い場所に鎮座するという特別さに加え、徳川家康による8合目以上の寄進という歴史的な経緯、本殿を持たない独特の社殿構造、そして溶岩の砂が用いられた御朱印など、麓の本宮とはまた異なる魅力を備えた社です。開山期間が7月上旬から9月上旬までと限られているため、参拝を計画する際は開山日程と山小屋の予約状況を早めに確認しておくと安心です。登山前後の宿泊先には、富士宮駅前の富士宮富士急ホテルをはじめ、天然温泉を備えたスーパーホテル富士宮や田貫湖畔の休暇村富士など、行程に合わせて選べる宿が揃っています。開山期間の短さと登山という参拝の手段そのものが、この社を特別なものにしているといえます。麓の本宮を訪れて浅間造りの社殿や湧玉池の清らかな湧水に触れ、後日改めて山頂の奥宮を目指すというように、本宮と奥宮をあわせて巡る計画を立てるのも、富士山信仰の奥行きを味わう一つの方法です。

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