京都の山科区にある「将軍塚」は、市内の観光スポットからは少し離れますが、美しい夜景が見られる場所として人気が高まっています。そこで京都の将軍塚について、夜景をはじめとする見どころや行き方、さらには組み合わせたい観光スポットも紹介します。
京都の人気夜景スポット「将軍塚」をご紹介
京都は魅力的な観光スポットが多く、また京都タワーなどから夜景を楽しむことができるのですが、実は京都の夜景スポットとして近年人気が高まっているのが「将軍塚」です。京都の将軍塚とはどのような所なのでしょうか。夜景などのおすすめポイントや行き方などについて紹介します。
京都の「将軍塚」は夜景ドライブにおすすめ!
「将軍塚」というのは京都市山科区の桃山丘陵と呼ばれる丘の上、華頂山の山頂にあるところです。京都の市街地より200メートルほど高いところにあるため、京都を一望できる場所として人気が高く、特に夜景は美しいと評判になっています。
丘陵にあり、さらに電車の駅から距離があることから、ドライブで訪れる方も多いのですが、市内からの距離としてはさほど遠くないことから、京都市内の方が夜景ドライブを楽しむ際の候補地として特に人気が高いです。
ではそもそも、「将軍塚」というのはどのような場所なのでしょうか。またこの名前に関してどのような由来があるのでしょうか。まずはそのあたりから紹介していきましょう。
京都の「将軍塚」とは
将軍塚、と「塚」という漢字が使われていることが示す通り、この将軍塚はもともと古墳時代に作られた円墳です。京都を見下ろす東山の山の上に作られた古墳であり、位置的には現在の京都の繁華街となっている四条通をまっすぐ突っ切ったところになります。
円墳は3つあるのですが、「将軍塚」と呼ばれるのはこのうちの1つで、直径約20メートル、高さ約2メートルの塚になっています。もちろん古墳時代の塚ですから、もともとできたのは京都に平安京ができるずっと前のことです。
現在将軍塚は天台宗青蓮院門跡の飛地境内という扱いになっているのですが、2014年、この地に「将軍塚青龍殿」が作られました。そして東山の山頂に「大舞台」が作られ、ここから京都の街を一望することができるようになりました。これに伴い、夜景ドライブなどで訪れる方が増え、現在に至っています。
「将軍塚」の伝説
さて、今述べたように、将軍塚そのものは京都に平安京が作られるずっと前からこの地にあった古墳です。しかし実は、この場所は平安京が作られる際に大きな役割を果たしており、「京都の始まりの地」と言われるようになっています。
またそれに伴って、将軍塚にはさまざまな伝説が生まれ、それが有名な物語などで広く人口に膾炙しています。そのことが京都の将軍塚をさらに観光スポットとして人気の地としているのです。
そこで次に、この将軍塚にまつわる伝説を時代ごとに少し見て行くことで、将軍塚の歴史についても紹介していきましょう。
平安時代
今から約1200年前、時の桓武天皇は長岡京に遷都します。ところが災厄などが起こったことから、天皇は再度都を遷すことを考えました。その際に家臣の和気清麻呂がこの場所に天皇を連れてきて、この地が都にふさわしいと進言、それに従い、794年に平安遷都が行われました。
この際、天皇は都の安泰を祈願するため、将軍の土偶に甲冑を着せて弓や刀を持たせて、この塚に埋めたのです。これが「将軍塚」という名前の由来となっています。
811年、文字通りの征夷大将軍である坂上田村麻呂が亡くなると、当時の嵯峨天皇は甲冑などを身につけた状態で葬ったと言われます。ただし田村麻呂の墓はここではなく、同じ京都市山科区の別の場所にあります。
鎌倉室町時代
さて、坂上田村麻呂が葬られた後、国に何らかの非常時があると、この塚墓が鼓を打ったような、もしくは雷鳴のような音を立てるという伝説が生まれました。これが「将軍塚鳴動」と呼ばれる伝説です。
今述べたように、もともとは田村麻呂の墓と将軍塚は別のものなのですが、将軍塚が田村麻呂の墳墓に習合されたため、同一の物として将軍塚にこの伝説が言われるようになります。
鎌倉時代の「平家物語」や室町時代の「太平記」などの有名な物語の中にもその話が描かれました。源頼朝が挙兵した治承寿永の乱の前年、将軍塚が三度鳴動した、1349年ごろに「犯星客星」があらわれ、変事の予兆ではと言われた時にも将軍塚が激しく鳴動したという伝説が見られます。
江戸時代以降
江戸時代になると、日本各地の地誌などが多く出版されるようになり、さまざまな土地の有名スポットが多くの人に知られるようになりました。そのうちの1711年に出された本の中に、他の本からの引用という形ですが、将軍塚のいわくや将軍塚鳴動のことなどが書かれています。
明治に入るとさまざまな有名人がこの地を訪れ、京都を一望し、日本の将来に思いをはせたと言われます。その際に植えられたお手植えの松などもあり、そのことを今に伝えています。
現在の「将軍塚」
さて、現在の将軍塚ですが、「将軍塚青龍殿」となり、青蓮院門跡の飛地境内となっています。この青龍殿はもともと1915年に、大正天皇の即位に伴い、剣道など武道の場として北野天満宮前に作られたものです。
しかし1999年にこの道場が閉鎖されることが決まったことから、青蓮院がこの道場を東山に移築し、「青龍殿」として再建させました。この時に先ほど少し触れた「大舞台」も一緒に作られ、現在の将軍塚青龍殿となっており、夜景スポットとして人気です。
ちなみに青龍殿の「青龍」ですが、平安京を作る際に、この京都の地理が「四神相応」と呼ばれる好適地ということで選ばれたということはよく知られています。この中で青龍殿がある方角の東は青龍が守ると言われます。
京都の夜景「将軍塚」の楽しみ方
さて、最初に述べたように、京都の将軍塚は夜景スポットとしてとても人気が高い場所となっています。京都市内から高台になっていることから、京都の街並みを一望できるため、夜景を見るのにも適しており、とてもきれいな夜景を楽しめます。
ここには大舞台なども作られているため、夜景だけでなく昼も京都の景色を一望できますし、また四季折々の植物を楽しむことができるため、一年を通して観光を楽しむ方が多く訪れる場所でもあります。
そこで次に、将軍塚でぜひ見ておきたい、おすすめの景色などを紹介します。将軍塚に行く際にはぜひ時期をチェックして、おすすめの見どころを楽しんできてください。
将軍塚 市営展望台からのパノラマ夜景
将軍塚からの夜景と言えば、まずはここまで述べてきた「大舞台」からのものがおすすめです。この大舞台は有名な清水寺の舞台の4.6倍の広さがあり、観光シーズンでもゆっくりと夜景や京都の風景を一望できます。特に西展望台からは大阪のビルまで見えます。
ただし、この大舞台からの夜景は基本的に、春と秋の特別拝観、ライトアップの時のみ楽しめるため、それ以外の時期は少し移動したところにある将軍塚京都市営展望台からの夜景を楽しむことになります。
こちらの夜景スポットは南に200メートルほど移動したところの、東山山頂公園に設置されており、ドライブがてらに行くのにおすすめの場所です。車以外の行き方としては、京都市営地下鉄東西線「蹴上」駅からタクシーで行くのがおすすめです。
桜や紅葉のライトアップ
今述べた春と秋の特別拝観、ライトアップというのは、桜と紅葉の時期のことです。将軍塚青龍殿には展望台に続いて庭園があり、そこに桜が約200本、紅葉が約220本、その他に藤、シャクナゲ、源平垂れ桃などさまざまな植物が植えられています。
特に桜と紅葉の時期のライトアップでは、京都の夜景を背景として浮かび上がる植物がなんとも幻想的と人気が高く、多くの方がその夜景を楽しむためにこの地を訪れます。
将軍塚青龍殿の庭園は回遊式庭園に枯山水庭園を取り込んで作られたもので、室町時代の手法を取り入れてつくられているため、とても趣深く、一見の価値があります。夜景はもちろん、これらの庭園のライトアップもぜひ楽しんでください。
将軍塚青龍殿に行ってみよう
ここまで述べてきたように、現在の将軍塚青龍殿は青蓮院の飛地境内となっています。しかしこちらの青龍殿には見逃せないものがあります。それが国宝の「青不動明王二童子像」(青不動)です。
もともとの青不動は11世紀ごろに作られたものと言われており、日本三大不動画の一つとして高い評価を受けています。体の色が青黒いことから青不動と呼ばれているのですが、仏教絵画史の傑作と言われ、宮中から下賜されたものとされています。
実はこの青不動は青龍殿の奥殿に本物が安置されていて、その手前に精巧に複製されたものが掲げられ、参拝者誰もがその姿を拝むことができるのです。教科書などにも出てくるほどの有名なものですから、夜景などで将軍塚に行くならぜひ拝観をおすすめします。
京都の夜景「将軍塚」の口コミ情報
それでは実際に、京都の将軍塚に行った方はどのような感想を持ったのでしょうか。次に将軍塚に関する口コミから、そのおすすめポイントをもう少し見て行きましょう。
最初に述べたように、将軍塚青龍殿は京都東山の華頂山の山頂にあります。そのため基本的な行き方としては車やバスなどを利用する必要がありますが、その分混雑を避けて夜景を楽しめるという点も人気のポイントです。
特に紅葉や桜の時期は、京都市内にもたくさんの人気スポットがありますが、その中でも京都の夜景と共に楽しめるという点で将軍塚に足を伸ばすという口コミが多いです。夜景も昼の景色もどちらも楽しめる、ぜひおすすめの場所と言っていいでしょう。
京都の夜景「将軍塚」へのアクセス方法
ここまで述べてきたように、京都の将軍塚は夜景や桜、紅葉と楽しみが多く、人気のスポットなのですが、気になるのが行き方です。京都の観光スポットは近くにバス停があり、比較的頻繁にバスがある、もしくは電車の駅から近いところが多いのですが、将軍塚はそれらの観光スポットから少し離れているためです。
実は将軍塚への行き方には、乗り物を使う方法の他にハイキングがてらに歩いていく方法もあります。また時期によっては将軍塚行きの循環バスが出る時期もあるので、特に桜や紅葉の時期に行くことを予定している方はそちらもチェックをおすすめします。
公共交通機関でのアクセス
まずは公共交通機関を使う行き方です。将軍塚の最も近い駅は、京都市営地下鉄東西線「蹴上」駅で、ここからだとタクシーで5分ほどで行くこともできます。しかし一般的には駅からバス利用となります。
将軍塚行きのバスは同じ東西線の「三条京阪」駅から出る京阪バスの70番系統となります。このバスに乗り、「将軍塚青龍殿」まで行けばすぐそばまで行くことができます。ただしこのバスは基本的に土日祭日と4月、5月の連休、11月は毎日と運行日が限定されるので、事前の確認をおすすめします。
車でのアクセス・駐車場情報
そのため、それ以外の時期の行き方としては、ドライブがてらにアクセスするのが基本です。車での行き方は「東山ドライブウェイ」を利用します。このドライブウェイ上には先ほど紹介した東山山頂公園があり、そこを過ぎたところに将軍塚があります。
ですから、将軍塚の特別拝観やライトアップ以外の時期に京都の夜景を見たいという場合も、この行き方でドライブウェイを通り、市営展望台までいけばいいということになります。
なお、普通自動車の場合は青龍殿福徳門内に駐車場がありますし、近くに市営の無料駐車場などもあります。ドライブがてら行く予定を立てている方は駐車場は特に心配いらないでしょう。
徒歩でのアクセス
最後に、徒歩での行き方について紹介します。将軍塚は山の上にあるのですが、「京都一周トレイル」というハイキングコース上にあるため、ゆっくりハイキングがてらに歩いていく行き方も可能なのです。
この場合、南側になる清水寺、もしくは北側の粟田口から歩くことができます。所要時間は清水寺から40分ほど、粟田口から20分ほどかかります。山とは言いますが、道としてはそれほど険しい山道ではなく、整備もされています。
もう一本、将軍塚は八坂神社の背後にあるため、八坂神社の裏手にある円山神社から将軍塚道を通り徒歩で行く行き方もあります。こちらは徒歩で15分ほどですから、八坂神社観光と組み合わせてハイキングを考えている方にもいいでしょう。
「将軍塚」の周辺観光スポット
最後に、将軍塚青龍殿と組み合わせたいおすすめの人気観光スポットをいくつか紹介します。行き方の所で述べたように、将軍塚から東山方面の清水寺や八坂神社は比較的近く、ドライブがてら観光したいという方に人気が高いです。
また、先ほど述べた最寄り駅である蹴上駅からは、南禅寺などが徒歩ですぐのところにあります。南禅寺はそれだけでも京都の人気観光スポットです。特に三門は有名な歌舞伎の舞台となっているため、ファンの方にもぜひおすすめします。
ドライブで京都観光をする予定の方におすすめしたいのが「青蓮院」です。先ほど述べたように将軍塚は青蓮院の飛地境内ということですが、車で10分ほどの距離にあります。こちらも庭園の人気が高く、江戸時代の小堀遠州の作と言われ、時期によってはライトアップなどが行われます。
また、確実に見られるとは言えませんが、関係がある場所として挙げられるのが、こちらも有名な「高山寺」です。「鳥獣戯画」のあるお寺として有名ですが、こちらに「将軍塚絵巻」が所蔵されています。
鎌倉時代ごろの白描なのですが、当時の将軍塚の様子がわかるものとして知られており、将軍塚に武人の像などが埋められる様子などが描かれており、貴重なものです。もし展示があるようなら、ぜひ実物の将軍塚と共に見てきてください。
京都の夜景スポット「将軍塚」に行こう
京都の「将軍塚」は丘陵上にあることから京都を一望できる夜景スポットとして、また桜や紅葉の名所として人気が高く、時期になると多くの方が訪れます。バスや車の他に徒歩での行き方もあるというのも珍しいかもしれません。ぜひ将軍塚青龍殿で、京都の街並みや夜景をゆっくりと堪能してください。